8日午後3時半ごろ、いわき市平、小名浜、勿来地区の広範囲で地響き、空振のような衝撃が短時間で2度確認された。市内の各警察署、消防署では、沿岸域にいた市民からの問い合わせが相次いだといい、1日たった現在も原因が分かっていない。
いわき東署、小名浜消防署、福島海上保安部では沿岸域を中心に調べを進め、いわき東署では県警のヘリコプターを要請して沿岸域を中心に近海を探索、小名浜消防署では沿岸域の事業所を中心に聞き取りなどを行ったが、原因につながるものは発見されなかった。市消防本部にも数件の問い合わせがあり、各消防署と連携を図ったが、爆発事故などの災害情報は寄せられていない。
また、自衛隊郡山駐屯地=郡山市大槻町=でも調査を行ったが、同時間帯に市内上空を戦闘機が通過した記録はなく、「何も把握していない」。福島地方気象台では9日、あらためて小名浜字船引場の小名浜特別地域気象観測所(旧小名浜測候所)に設置してある地震計などを確認したが、揺れは感知されておらず、風の変動もなかったという。一方、国立天文台=東京都三鷹市=では「衝撃波は火球、隕石(いんせき)のような塊が落下することで発生することはあり、雷雲なども考えられるが、実際に観測、証拠をつかんでいないので断言はできない」としている。
体感したという市民からの情報は後を絶たず、小名浜字燈籠原に住む自営業の女性(43)は「自宅にいるところで体感した。地震でないと知ると気持ち悪い。日曜の午前中にも1度同じような揺れがあった」。川部町に住む主婦(29)は窓ガラスが衝撃で揺れたといい、「『ドンッ』と下から突き上げるような大きな音で窓ガラスが揺れた。子どもを抱っこして外に出ようとしたら、もう1度揺れた」、錦町の公務員男性(50)は「午後8時ごろに外に出たら2度ほど空が白く強く光った。昼間の衝撃と関係があるか分からないが、昭和58年ごろにも同じような騒ぎがあったと記憶している」と振り返っていた。
平中神谷の民家、泉町一丁目のいわき民報社みなみ支社でも衝撃が確認されており、広範囲での原因不明の衝撃音に「大災害の前兆でなければいいが」などと多くの市民を不安がらせている。