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稲荷茶屋の再建に取り組む(左から)毛利友紀さんと和義さん、森宣希さん=神戸市中央区神戸港地方
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稲荷茶屋の再建に取り組む(左から)毛利友紀さんと和義さん、森宣希さん=神戸市中央区神戸港地方
改修前の稲荷茶屋(毛利さん提供)
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改修前の稲荷茶屋(毛利さん提供)
神戸新聞NEXT
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 ハイカーらでにぎわう六甲山系の「再度山(ふたたびさん)」(神戸市中央区、標高470メートル)の麓で、12年前に廃業した「稲荷茶屋」が復活する。かつて茶屋を利用した同市の夫婦が思い出の建物を買い取り、憩いの空間を再現。今年4月の開業を目指し、「地域の人たちが気軽に集える場所をもう一度つくりたい」と意気込む。(鈴木雅之)

 再度山は神戸の都心部近くにあり、毎日身近な山に登り、その回数を記録する「毎日登山」発祥の地とされる。稲荷茶屋は昭和初期に創業。木造平屋3棟が並び、うどんや飲み物などの販売のほか、登山や散策の人に休憩スペースを提供してきた。店主が体調を崩したため、2004年に廃業した。

 再建に取り組むのは毛利和義さん(67)と友紀(ゆき)さん(62)夫婦=同市中央区。30年ほど前、休みの日には3人の子どもと再度山を訪れ、そばの小川で水遊びや虫捕りなどを楽しんだ。茶屋で食べるうどんもお目当ての一つだったという。

 茶屋の廃業を知った友紀さんが「思い出の場所を残したい」と14年12月に土地と建物を購入。かつて自分たちと同じように茶屋を愛した人の思いも反映させようと、軒先に貼り紙を掲げて再建に向けたアイデアを募った。

 10年以上放置された茶屋は周囲に雑草が茂り、荒れ果てていた。昨夏から改修を始め、外観はそのままにし、内装だけを変えた。再建メンバーには会社員森宣希(のぶき)さん(25)=同市灘区=も加わり、今後の活用に向けて若い世代の考えも反映させようとアイデアを膨らませている。

 茶屋と多目的スペースの2棟が完成間近で、かつての「稲荷茶屋」の看板もそのまま使う。今年中に残る1棟の改修も終わる予定だ。

 営業形態や茶屋のメニューなどはまだ決まっていないが、友紀さんは「みなさんの意見も聞きながら、いろんな世代の人たちが集まる交流の場所にしたい」と話している。

【オーナー高齢化減少続く】

 近代登山発祥の地とされる六甲山系では、戦前から多くの茶屋が営まれてきた。六甲山系の地図製作に関わる専門家らによると、神戸市垂水区から西宮市までの頂上や麓などには現在15軒の茶屋が営業。近年は経営者の高齢化などから減少傾向にあるという。

 六甲山系に詳しい前田康男さん(68)=神戸市灘区=によると、神戸の居留地に住んだ外国人によって登山文化が“輸入”され、大正から昭和初期にかけて相次いで茶屋が開業した。太平洋戦争などの影響で、登山客が減少するなどして一時は数軒にまで減少したが、昭和30年代ごろからの登山ブームで20軒ほどに増えたという。

 登山地図の監修に携わるアウトドア用品店「白馬堂」(同市灘区)の浅野晴良さん(43)によると、近年は、店主の高齢化や後継ぎの不在、コンビニエンスストアの普及などの影響で、茶屋は減少傾向という。2001年版のガイドブック「ヤマケイ関西六甲山」(山と渓谷社)に掲載された茶屋は19軒。地図には名前が残るものの、営業されていない茶屋もあるといい、浅野さんが14年に実施した調査では、15軒が確認できたという。

  
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