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3万年前、祖先はどうやって海を…航海を再現へ

国立科学博物館 渡来ルート確認のプロジェクト開始

 3万年前、日本人の祖先はどうやって海を渡ることができたのか−−。国立科学博物館は9日、大陸から琉球列島への航海を再現して、科学的に渡来ルートを確かめるプロジェクトを開始すると発表した。代表の海部陽介・人類史研究グループ長は「失敗など途中経過も公開して、多くの人と謎解き体験を共有したい」と話す。

     海部さんによると、アフリカ起源のホモ・サピエンス(新人)が日本にやってきた経路は、朝鮮半島から対馬を経由して九州北部へ▽大陸と陸続きだった台湾から琉球列島を北上▽サハリンと陸続きだった北海道から南下−−の3ルートと考えられている。特に琉球列島への航海は、流れの強い黒潮を横切る必要があり、最も難しかったとみられる。

     プロジェクトチームには人類学、考古学に加え、植物学などの専門家や、探検家ら26人が参加。人口を維持するのに必要な移住者数を試算し、舟の大きさなどを検討。沖縄の遺跡からおのが出土していないため、自生する植物を編んで古代舟を復元し、チームの船が伴走して安全を確保しながら、当時の航海を再現する。

     チームは今年7月、沖縄・与那国島−西表島間(約75キロ)で実験し、来年7月に台湾から日本最西端の沖縄・与那国島まで200キロ以上の航海に挑む。プロジェクトの経過は、11月から同館で開催されるラスコー洞窟壁画展(毎日新聞社など主催)でも紹介される予定。

     総費用約5000万円は民間など外部から調達。第1弾として今年の航海にかかる約2000万円を目標にインターネットを通じた「クラウドファンディング」を活用して広く出資を募る。募集期間は4月12日まで。プロジェクトや出資の詳細はホームページ(http://readyfor.jp/projects/koukai)。【大場あい】

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