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アサヒ、成長へM&Aが柱 「意思決定にスピード感」
GHD社長に小路氏

2016/2/9 21:15
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握手するアサヒビールの小路次期社長(左)と次期会長の泉谷社長(9日午後、東京都千代田区)
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握手するアサヒビールの小路次期社長(左)と次期会長の泉谷社長(9日午後、東京都千代田区)

 アサヒグループホールディングス(GHD)は9日、傘下のアサヒビールの小路明善社長(64)が3月24日付で社長兼最高執行責任者(COO)に就任すると正式発表した。国内ではビール最大手の地位を固める半面、海外展開は同業他社に比べ遅れが目立つ。世界的な再編が加速する中、会長兼最高経営責任者(CEO)に就くアサヒGHDの泉谷直木社長(67)と二人三脚で、M&A(合併・買収)を柱とした成長戦略を始動させる。

 「スピード感ある意思決定で、ダイナミックな投資を実行する」。小路次期社長は9日の記者会見で力を込めた。目線の先にあるのは海外だ。

 この日、発表した2016年から3年間の中期経営方針では、国際事業を成長のけん引役と位置付け、M&Aなどに積極投資する方針を示した。15年12月期で8.8%の自己資本利益率(ROE)は10%以上にし、1株利益は年平均10%程度伸ばしていく。

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 小路氏はアサヒビール社長として、主力の「スーパードライ」のシェアを守りつつ、ウイスキーやワインを拡販。15年12月期の国内酒類事業の営業利益は1187億円とアサヒGHD全体の約8割(連結調整前)を稼ぐドル箱事業に育てた。

 国内酒類の収益力はライバルのキリンホールディングスなどをしのぐ半面、課題は海外だ。オーストラリアで清涼飲料などを手がけるが、国際事業の売り上げは全体の10%強にとどまる。「数千億円規模の大規模なM&Aが成長持続に欠かせない」(国内証券)

 海外では、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)が2位の英SABミラーを買収することで合意。世界シェア約3割を握る巨人が誕生する。アサヒの世界シェアは1%台で、大型M&Aに打って出ても規模では既に勝負にならない。

 そこで小路氏は「(品質の高さなど)日本発の強みを生かしたグローバルプレーヤーを目指す」と話す。海外の事業規模を拡大すると同時に、日本で磨いたコスト競争力の移植なども取り組む。

 同日発表した15年12月期の連結決算は、純利益が前の期比11%増の764億円となり、15期連続で過去最高を更新した。国内のビール類は販売数量が減ったが、ウイスキーやワインが伸びた。物流効率化などが寄与し、国際事業が営業黒字に転換した。

 16年12月期も増収、最終増益を見込む。新商品の投入で国内ビール類の販売量はプラスに転じ、円高でオーストラリアなどの売り上げが目減りする影響を抑える。

 同日記者会見した奥田好秀常務は「今後3年間も安定的な増配を目指す」と話し、株主還元も引き続き重視する方針で、18年までに国際会計基準配当性向30%を目指す。

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