長期金利マイナスの衝撃、史上初の異常事態
TBS系(JNN) 2月9日(火)18時26分配信
住宅ローンなどの目安となる長期金利が初めてマイナス、となり、「お金を借りた方が利息をもらえる」という異常な事態を迎えました。日銀が導入を決めたマイナス金利の影響は、円高と株価の下落をはじめ、私たちにとって“痛み”の方が目立ち始めています。午後0時35分過ぎ。その瞬間は訪れました。長期金利の利回りがマイナスとなりました。
「暗闇の中を手探りで前に一歩一歩進む」(三菱UFJ信託銀行資金為替部・高坂晋一課長)
住宅ローンや長期金利の目安となる償還までの期間、10年の国債の利回りが、一時、初めてマイナス0.01%をつけたのです。100万円で買った国債を10年間満期まで持ち続けると逆に1000円の損失が生じる、という異常事態。
「中国の減速、同時に起こった原油安、これらを受けてリスク回避の動きが強まっていた中で、(日銀が)マイナス金利の導入を決定した。これがダメ押しになっている」(三菱UFJ信託銀行資金為替部・高坂晋一課長)
世界経済の先行きへの不安から“安全資産”とされる日本の国債に資金が集まっていたところに、先月、日銀がマイナス金利の導入を決めたことで国債を買う動きがさらに強まったためです。
その影響は、すでに出始めています。東京都内の住宅展示場では、来店する客が2割ほど増えているといいます。
「住宅ローンも安くなるかと思い、住宅探しを始めた」(女性)
住宅ローン金利は長期金利と連動しているため、これから住宅を買おうという人には一定のメリットになります。
一方で、メリットよりも深刻なのが急速に進む「円高」と「株安」です。9日の東京市場で、円相場は一時、1ドル=114円台半ばまで2円以上円高が進み、平均株価は900円を超える大幅な下落となりました。
「賃金も上がってほしいところですけど、しばらく足踏みですかね」(男性)
「定年になって退職金を将来の老後のために(証券会社に)預けてあるが、ちょっと考えないといけない」(男性)
急激な「円高」は、輸出企業を中心に企業の業績を悪化させます。さらに、「株安」で日本株の運用比率を引き上げた公的年金の運用も大きなマイナスとなるため、私たちが将来受け取る年金が減ってしまうことも予想されるのです。
急速な金利の低下は、日銀の想定を超えてデメリットの方が目立ち始めています。(09日17:02)
最終更新:2月9日(火)19時35分
読み込み中…