突然、めまいや吐き気、動悸といった症状とともにパニック発作が現れるパニック障害。場合によっては、うつ病になる可能性もあります。パニック障害を発症する原因として、どのようなことが考えられるのでしょうか?
◆パニック障害の3大症状とは?パニック発作、予期不安、広場恐怖
パニック障害は、突然不安が大きくなるパニック発作を繰り返す病気です。青年期に見られ、この病気を発症すると、「発狂しそうだ」「自分は死んでしまうのではないか」などの不安にかられ、周りに助けを求めたり、進行すると「誰も助けてくれない」という恐怖感にかられたりします。
パニック障害の代表的な症状として、次の3つがあります。
- パニック発作
- 予期不安
- 広場恐怖
※パニック障害と広場恐怖は独立した別の精神疾患ですが、ここでは併存するという意味で掲載しています。
予期不安は、パニック発作を繰り返し起こすことで、「いつ、どんな状況で発作が起こるか予期できない」ため、発作がいつ出るか不安になる症状です。広場恐怖は、もしパニック発作が起きてもその場から逃げることができない、または誰も助けてくれないといった状況にいることを強く不安に思い、電車やバスに乗れない、誰かと一緒でないと外に出れないなどの症状が見られます。
◆パニック障害の原因は?パニック発作には脳の働きが関係していた!?
過去には、パニック障害の原因は周囲の環境である、性格や気持ちの問題である、といった説がありました。しかし、現在では社会的な要因(国や文化など)や身体的な要因、心理的な要因(ストレスなど)に加えて、「脳の働きに異常があること」が原因かもしれないということがわかってきました。パニック障害で異常が見られると言われる代表的な脳の部位は、扁桃体(大脳辺縁系)、前頭葉、青斑核と呼ばれる部分です。
聞きなれない言葉だと思いますので、以下に簡単に説明します。
- 扁桃体
「怖い」「嫌い」といった感情に関係する脳の部位です。これらの感情には、扁桃体から分泌されるセロトニンという物質が関係しています。扁桃体の異常により、セロトニンの分泌に異常が見られ、パニック障害を起こしている可能性が考えられています。
- 前頭葉
我慢する、認知するといったことに働く脳の部位です。パニック障害の患者さんでは、前頭葉の働きに異常があるということが報告されてきています。
- 青斑核
恐怖を感じるときにノルアドレナリンという物質を出す役割を持つ脳の部位です。ノルアドレナリンが異常に分泌されると、パニック障害が起こる可能性が考えられています。
パニック障害の原因となりうる代表的な脳の部位を紹介しました。ストレスと脳の活動の関係はまだ検証段階です。また、この他の部位に関しても研究が進んでいますので、今後さらに解明されていくかもしれません。
パニック障害では、薬の服用と認知行動療法(心理的な治療方法)などが主な治療法として知られています。もし症状が現れた場合は、お近くの精神科を受診することをおすすめします。