シニアカーは高齢者向けに作られた、三輪または四輪の一人乗り車両です。日本でもおじいちゃんやおばあちゃんが乗っている姿をよく見かけます。
ギネス認定ルールでは、シニアカーの動力は市販のものを使わなければならないとあるものの交換は可能。また外観は誰が見てもシニアカーと分かる必要があります。 そこでアンダーソンはレーシングカートのシャシーを改造(というか残っているのはほぼタイヤだけ)してスズキのバイク、バンディット 600 用の600ccエンジンを搭載。その上にシニアカーのシートを固定し、さらにステアリングとボディカウルを装着しました。
ようやくできあがったギネスチャレンジ用シニアカーは、2本出しのエキゾーストパイプやドラッグレース用の補助輪も追加装備し、もはやベース車両の面影も消え去ってははいるものの、かろうじてシニアカーといえる形状をキープしていました。
実際の走行ではマシュー・ハインがドライバーとして搭乗。ハインは、一時は並走したバイクすら置き去りにする急加速で見事な走りを披露し、新たな世界記録 173.16km/h を叩き出しました。
はたから見ればバカバカしい挑戦ではあるものの、それを達成するには否が応にも真剣な取り組みが必要となります。ましてやスピードへの挑戦は人間が本能的に惹かれる分野。英国では F1 用エンジンで燃料ポンプを駆動し、ロケットと戦闘機のジェットエンジンを組み合わせたハイブリッドエンジンで時速1600kmを目指す超音速自動車 BloodHound といった大規模プロジェクトも進行しています(今年予定していた記録への挑戦は2017年に延期)。
ちなみに2014年には現在 F1 に参戦中のホンダが、900ccエンジンを搭載した"世界最速の芝刈り機"を作り上げ、187.6km/hでこちらもギネス認定を獲得しています。