例えば、僕達は経済の成長にしても、会社の売上予想にしても、何か進歩の予想をする時は、来年には2倍、再来年には3倍、そして翌年には4倍と、直線的な進歩で予測を立てるため、仮にこのペースで予定通り成長したとしても、30年後にはせいぜい30倍にしか成長しません。
しかし、人工知能のような1年で倍増する指関数的な進歩の場合、1年後には2倍ですが、2年後には4(2²)倍、3年後には8(3³)倍というスピードで成長し、10年後には1000倍、20年後には100万倍、そして30年後には10億倍の規模で成長するため、現在、人工知能はまだまだ人間には及びませんが、20年後には、現在人間が行っている47%の仕事が20年以内に機械によって代行され、2045年までに人工知能は人間の知能を超えるだろうと予測されています。
また進化の歴史をたどってみれば、地球の歴史は約46億年、生命が生まれたのが30〜40億年前、直立二足歩行をする猿人が生まれたのが300〜400万年前、農業が始まり文明ができはじめたのが5000年前、イギリスで産業革命が起こったのが200年前、無線ができたのが100年前、コンピュータが生まれたのが60年前、人々がパーソナル・コンピュータを使い始めたのが30年前、インターネットが生まれたのが20年前、そしてiPhoneが発表されたのが2007年で、今は1年に一度モデルチェンジする程度ですが、人工知能やその他の技術が発展することによって、これが半年に一回、3ヶ月に一回、そして1日に一回と、どんどん加速していき、いずれ人工知能は強い意識を持つようになるだろうと、現在、人工知能研究の世界的権威とも呼ばれる、レイ・カーツワイル氏は述べています。
例えば、100メートル走の世界記録は現在、9,58秒ですが、どんなに足の遅い人でも100秒あれば、100メートルを走り切ることができるので、その差はせいぜい10倍ぐらいです。しかし、知能の天才は、凡人が一生かかっても分からないことを瞬時に導き出すことができるので、その差は100倍にも、10,000倍にもなってくることでしょう。
結局、人間と人工知能が競うことになれば、僕達人間は、人工知能に10倍しか差がつけられない分野で勝負しても、絶対に勝つことはできないでしょうし、逆に2045年までに10,000倍差をつけられる分野がどこなのかを見極め、次の30年でどこまでその分野を鍛えられるかにすべてがかかっているように思います。
直感とか感性という言葉が、今まで以上に大事になってくることは間違いありません。
参考:松田 卓也「2045年問題 コンピュータが人類を超える日」/ 松尾 豊「人工知能は人間を超えるか」