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台湾地震発生から72時間 救助活動続く
2月9日 5時03分

台湾地震発生から72時間 救助活動続く
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台湾の南部で起きた地震ではこれまでに38人の死亡が確認され、地元の当局は、9日朝早く、生存率が急激に下がるとされる地震発生から72時間が過ぎるなか、夜を徹して救助活動を続けています。
台湾南部で、今月6日に起きた地震では、これまでに、合わせて38人の死亡が確認されています。このうち36人は台南市郊外で倒壊した16階建てのマンションで亡くなっていて、地元の当局は、この建物の中には、依然として100人以上が取り残されているおそれがあるとみています。
このため、9日朝早くに生存率が急激に下がるとされる地震発生から72時間が過ぎるなか、当局は、8日夜から建設用の大型機械を投入して捜索を阻んでいる大きながれきを取り除く作業を始めるなど、夜を徹して救助活動を続けています。
現場では、大がかりながれきの撤去は、生存者を傷つける可能性もあるとして心配そうな表情で見守る家族などに対して、救助関係者が、残された時間が限られるなか、こうした作業の必要性を説明し理解を求めていました。
家族などからは、当局の説明は十分ではないという不満の声が出ていました。夫の弟が取り残されているという女性は、「発生した直後から来ていますが捜索に時間がかかっていると感じます。夜になると冷え込むし、焦っています」と話していました。

「鉄筋少なく欠陥あったおそれも」

台湾の地震で倒壊したマンションについて、現場の映像を分析した専門家は耐震性を保つために重要な鉄筋がほとんど入っていない場所があるなど強度が不足していて、建物に欠陥があったおそれを指摘しています。
耐震構造などに詳しい早稲田大学の濱田政則名誉教授は、今回倒壊したマンションについて、耐震性を保つために特に重要な鉄筋が不足していたと指摘しています。濱田名誉教授は「現場の映像を分析すると特に重要な柱と『はり』の接合部に鉄筋がほとんど入っていないところが多く見られる。コンクリートは押される力には強いが引っ張られる力には弱く、鉄筋の量が不十分だと地震の揺れに耐えられなくなる」としています。
さらに建物の構造について、「道路に面した1階の部分に壁がなく、柱だけで支える構造のうえ、強度も不十分だったため、揺れで柱が建物を支えられなくなり崩壊に至ったと考えられる」と指摘しています。
このマンションではコンクリートの中に缶が混ざっていたと伝えられていますが、濱田名誉教授は、こうした混入からも工事などが正しく行われていたかどうか疑問だとしています。そのうえで、「周囲の他の建物が壊れていないことから、この建物の強さが不十分だったことは明らかで当時の基準と比べても工事や設計に欠陥があったおそれもある。今後は十分な調査が必要だ」と指摘しています。

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