日本年金機構は8日、各地にある年金事務所の77%が機構本部の指示に従わず、障害年金の支給申請書を希望者に渡していなかったとの調査結果を、社会保障審議会の部会に示した。障害年金は制度が複雑で、窓口で誤った説明をしてしまうこともあるため、機構は2016年度から専門職員を順次配置する方針。
調査は昨年4~6月、全国に312ある年金事務所のうち56カ所と「街角の年金相談センター」4カ所を対象に、機構の依頼を受けた社会保険労務士が身分を明かさずに訪問する「覆面調査」の形で実施した。
機構は昨年2月、申請書の交付を徹底する指示を年金事務所に出している。今回の調査結果について、機構は「申請に必要な診断書の取得にはお金がかかる。受給条件に該当しない人に申請書を渡し、その人が診断書を取ってしまうとお金が無駄になるので、きちんと調べてから渡した方が良いという意識が強い」としている。
申請書の交付を含め、障害年金に関する窓口対応計150項目を調べた結果、120項目以上が完全にできたのは20%の事務所にとどまった。
機構は来月から職員向けに窓口対応の手引を導入し、申請者には書類一式をまとめた「障害年金請求キット」を渡すようにする方針だ。〔共同〕
障害年金、日本年金機構