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株式投資、FXのまとめ解説(初心者向け)

株式投資、FXや節税などのお役立ち情報をまとめたり解説したりするブログ。初心者向けから幅広く。

人民元の謎。中国の外貨準備が減るとき何が起きている?

FX-人民元 FX



人民元の基礎解説を行うよ

人民元は国家(中央銀行)に強く管理されている通貨です。でも、固定相場ではない。管理変動相場制といわれる人民元の仕組みを解説してみます。

 

目次

 

なぜ、人民元は管理された通貨と呼ばれるのか?人民元基準値とは?

固定相場から管理変動相場へ

かつては完全にドルに連動されていた人民元。しかし中国の経済規模(輸出量)が増えるに従いアメリカとの摩擦が深刻化、米国の圧力をかわすためには、人民元の改革が不可欠な状況になります。

2005年7月についに中国は長く続けてきたドルペッグ(ドルへの連動)を取りやめることになります。

まず、人民元の対ドルレートを2.1%切り上げた上、一定の範囲内なら価格変動を許容する管理変動相場制に移行します。

2008年9月のリーマン・ショック発生時に、一旦ドルペッグ制に戻ったものの、景気回復の速かった中国は2010年6月に再び「管理変動相場制」に復帰します。

 

人民元は管理変動相場制。どのように管理されているのか?

中国の中央銀行である中国人民銀行は、毎日午前9時15分ごろに、人民元取引の目安となる対ドルレートの「基準値」を発表します。

 人民元の当日の取引価格は、この基準値の上下2%以内の水準に規制されており、それ以上の変動はできない仕組みになっています。

許容変動幅を超えそうな場合は、中国通貨当局が 市場介入を実施して過度な変動を防ぐことで、2%のレンジ内にコントロールしています。

 

かつては裁量、現在は前日終値を基準に決定

かつての人民元基準値の決め方は、市場開始前に十数行の銀行(報告行)が当日の取引に使用するのに適切と考えるレートを、中国外貨取引センターに報告します。

これに基づき加重平均をして人民元の基準値を作成 していたが、実際には中国人民銀行が政策的な意図をもってコントロールしていたといわれています。

政策的な意図とは

・米国に配慮したいとき→人民元基準値を高め

・国内の輸出産業を支えたいとき→人民元基準値を安め

みたいなイメージです。

 

その後人民元改革が進み、2015年8月以降、基準値の算出は前日の市場の終値が参考にされることになりました。

基準値が前日終値に近いたことで、市場原理が働く余地が広げられたことは間違いありません。

ただし、中国当局は基 準値の算出方法について詳細を明らかにしていないことも事実です。

そのため、基準値には、概ね合理的な方向には改革されているものの、いまだに当局の政策意図が反映されているとみられており、この基準値がどの水準で決まるかが、しばしば朝の為替市場、株式市場で話題になります。

 

 

 

元は中国国内と海外市場、どちらで多く取引されている?

人民元がどこで取引されているかについては国際決済銀行(BIS)が明らかにしています。

2014年時点で人民元の取引高は1日平均1196億ドルで、 このうち国内(オンショア)取引は604億ドル、国外(オフショア)取引は592億ドルとほぼ同水準。

ただ、取引形態をみると割合は異なります。

 

実際のモノとの連動が強いスポット取引では国内取引が8割弱。

金融取引としての性質が強いフォワードやオ プション取引では海外取引が7割程度。

 

まあ、なんとなく直観と一致する結果です。

 

ちなみに海外(オフショア)市場は香港が絶対的な地位を占めており、決済や貿易融資の9割以上、預金の6 割程度が集中しています。これに続くのがシンガポール、ルクセンブルグ、英国となっています。

金融都市ロンドン(シティ)を抱える英国が、中国に接近している理由の一つがこの人民元取引市場を狙ってのものと言われています。

 

中国人民銀行はどこで介入を行うのか?

原則として、中国人民銀行は国内(オンショア)の外国為替市場で介入を行います。

最近では国外(オフショア)市場でも国有銀行を通じて元買い・ドル売り介入を実施していると言われています。

現在海外勢は人民元売りを強め、オフショア市場における人民元がオンショア市場における人民元よりも大幅に下落しています。オフショア市場への異例の介入には、CNHと CNYの差を縮めて投機的な動きを抑制する狙いがあるとみられています。

 

中国の外貨準備が減る(増える)ってどうゆうこと?

中国の外貨準備が2016年1月の1か月の間に12兆円も減少したとのニュースがありました。これは何を意味しているのでしょうか?

上で述べたように、中国人民銀行は人民元のレートを基準値から一定の範囲内にコントロールすることが求められています。

それには、為替市場への介入が必要なわけですが、この介入には外貨準備が用いられます。

外貨準備とはその名の通り、外貨(ドル)です。この外貨が減っているということは、外貨(ドル)を売って、人民元を買う、という取引で人民元相場を支えているわけですね。

中国からの資金流出も激しくなってきたものです。