リーマンショックを予見した数少ない専門家の一人であるWilliam Whiteが、迫り来る次の金融危機はリーマンショックを上回ると悲観的な予測をしています。
先進国の金融緩和への過度の依存が、負債拡大を途上国にまで広げ、世界経済を"debt trap"に陥らせてしまった、という分析です。
Combined public and private debt has surged to all-time highs to 185pc of GDP in emerging markets and to 265pc of GDP in the OECD club, both up by 35 percentage points since the top of the last credit cycle in 2007.
この難局を脱することは容易ではありませんが、ホワイトは中央銀行への過度の依存から、ケインズ的な政府支出に移ることを提唱しています。
There is no easy way out of this tangle. But Mr White said it would be a good start for governments to stop depending on central banks to do their dirty work. They should return to fiscal primacy - call it Keynesian, if you wish - and launch an investment blitz on infrastructure that pays for itself through higher growth.
スティグリッツが言うところの「単純明快な真実」の実践ということです。
- 作者: ジョセフ・E・スティグリッツ,峯村利哉
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アメリカが大恐慌から抜け出しはじめたのは、世界戦争にそなえるべく、政府の支出がうなぎ上りになってからだった。わたしたちは単純明快な真実を把握する必要がある。回復をもたらしたのは政府の財政出動だ。金融政策の修正でもなく、銀行制度の復活でもなく、ケインズ主義的な景気刺激策なのだ。
別のインタビューでは、ドイツ、中国、韓国等の外需依存の国々に賃上げ→内需拡大への転換を提唱しています。
名指しはされていませんが、日本もこれらの国々に含んでもよさそうです。
「偏った所得分配→所得不足部門の負債依存←それを容易にする金融緩和」が続いてきたことが世界経済を"debt trap"に導いてしまったとすれば、経済の安定には所得再分配が極めて重要ということでしょう。