オバマ大統領「石油に増税して、その分クリーンな交通手段に回そうよ」

2016.02.08 16:41
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自動運転車や公共交通へのシフトを加速、させたい。

今、原油価格がだだ下がりで、数十年ぶりのレベルに達しています。生活に必要なコストが下がるのは歓迎ですが、このままだと「石油でいいじゃん!」となってしまい、ハイブリッド車や太陽光発電といったより環境負荷の低い技術への乗り換えが進みにくくなってしまいます。つまり二酸化炭素排出量削減がとどこおり、相変わらず地球温暖化が進行、という成り行きが考えられます。そこでバラク・オバマ大統領が新たな計画を提案しています。それは、石油企業に税金を課し、それで新しいクリーンな交通インフラの費用をまかなうというものです。

2月4日、ホワイトハウスが21st Century Clean Transportation System(21世紀クリーン交通システム)に関する計画を発表しました。この計画は、石油1バレルあたり10ドル(約1200円)を石油会社に課し、それを資金源として新たな交通インフラを作ろうという趣旨です。原油価格は今30ドル(約3600円)を割ることもあるので、それに対して10ドルというのはけっこうな割合です。でも1年半ほど前までは1バレル100ドル(約1万2000円)前後だったので、それを考えるとまだまだ安あがりです。考え方としては、米国の交通インフラが化石燃料から脱却するのを石油会社に助けてもらう感じです。発表文書にはこうあります。


大統領の計画により、米国のクリーンな交通インフラに対する投資は約50%増えると見込まれ、また二酸化炭素汚染や石油消費の削減、新たな雇用創出のための既存の投資を再構築していく。石油への新たな税は、米国のクリーン技術関連の革新とリーダーシップを後押しし、今後数十年を見すえた交通環境の変革の推進につながるだろう。


この計画には、この1年ほどのオバマ大統領による環境系、交通系の提案の中でももっとも大きなインパクトがありそうです。石油に対する新たな税金で、米国政府には毎年200億ドル(約2.4兆円)の収入増加が見込まれます。ここから、自動運転車計画にも、資金調達が難航している公共交通や高速鉄道計画にも、資金が提供されていくことでしょう。ムダな道路を作るのではなく、公共交通や自転車、歩行者向けの施策が優先されていくことも期待したいです。もちろんこれらについて誰もが賛同はしておらず、特に共和党の合意を取り付けるのは難しいと思われます。

交通手段は米国の二酸化炭素排出量の約30%を排出しています。これを大きく減らせれば、去年の年末のCOP21で設定された目標値実現に向けて前進できるはずです。そして原油価格の低い今が、大きなアイデアを導入するチャンスなんです。


Image by Everett Collection / Shutterstock.com
source: White House

Alissa Walker-Gizmodo US[原文
(miho)

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