ピンク色との邂逅
母から小包が来た。
薄いピンク色のニットだった。
「これは、私は着られないぞ。」というのが、率直な感想だった。
ピンク色との和睦が難しい理由
理由1:年齢
アラサーであります。
理由2:私の顔だち
私の顔はというと、「気が強そうなタヌキ顔」。
母の瓜実顔で、昔の女優さんのような華やかさは、欠片もない。
理由3:ピンク色への拒否感ないし心理的距離感
ピンク色の洋服は、子供の頃から選んだことがない。
ピンク色は、街を歩けばスカウトされるような可愛らしくって華やかな顔立ちのマイシスターの色であり、ガリ勉ちんちくりんの私は青やネイビー。
そう勝手に決めて今に至る。
ピンク色は、「可愛い」と自認している女の子の色
だから、畏怖があった。
そして、「私は可愛いと思います♡」と言って歩いてるみたいに見えて、自分がピンク色を着るのも、ピンク色を着ている女の子のことも、とても苦手だった。
ピンク色を堂々と着られる女性は、
「あなたがどう思っても、私は今日の私は可愛い/素敵と思う」という、デクレアメント(宣言)ができる人。
そして、そのために、自分自身の輪郭を、自分でデザインし、描ける人。
ピンク色を堂々と着られる女の子と友達になれなかった理由
今ならわかる。
怯えることで自分を守ってきた私には、堂々勇敢な女の子が眩しいのだわ。
アラサー女に、ピンクのニットかぁ。
でも、お礼をと、母にLINEした。
母からは、すぐに、
「たまには着ない色の服を着てみてね。若いときを大切に」
と返信があった。
若さってなんだ
若いときを大切に。
当人の私は、そのフレーズの意味を多分理解していない。
その意味が本当にわかるとき、「若さ」は既に私の心と体から、するりっとなくなってるときなのかも。
えいやー!と、母からもらったニットを着てみた今日。
ちょっとだけピンク色との和平交渉ができた気がするし、勇敢になれた気がする。
アラサー女のピンク、痛いと思った人がいたって、今日の私は気にしない。
うん、悪くない日。