原油価格の記録的な安値が、世界経済を揺るがしています。
一昨年(2014年)、1バレル=100ドル台だったニューヨークの原油先物価格は、今年(2016年)に入り、一時26ドル台まで急落。
およそ12年ぶりの安値を更新しました。
原油価格の下落は、産油国の経済を直撃。
サウジアラビアでは財政赤字が11兆円を超える見通しとなり、ロシアでもルーブル安で急激なインフレへの不安が広がっています。
シェール革命によって最大の産油国となったアメリカでも、多くのエネルギー企業の経営が悪化。
大量倒産への懸念が広がっています。
原油価格はどこまで下落するのか。
今後の推移と影響について読み解きます。
香月
「特集・キャッチ!インサイト。
今朝は、原油安が世界経済に与える影響について考えます。
IMFのラガルド専務理事は先週、原油を初めとする資源価格の低迷が長期化するとの見通しを示し、産油国の経済への影響を懸念しました。
ナイジェリアやアゼルバイジャンなど、産油国の財政状況は急激に悪化しており、IMFなどによる金融支援をめぐる報道も出始めています。
まずは原油価格の推移について、徳住さんです。」
徳住
「原油価格の国際的な指標とされているのが、ニューヨーク商業取引所で取引されているWTIの原油先物です。
今も続くこの下落傾向が始まったのは、2014年の秋頃のことです。
直前の7月までは、原油価格は1バレル=100ドル台で推移していたのですが、世界的に供給過剰になるとの見方が強まったことで、その後、下落に歯止めがかからない状態になりました。
今年に入り、リーマンショック後につけた安値を下回る、1バレル=26ドル台まで下がりました。
その後も30ドルをはさんで、依然、安値での取引きが続いています。
こういった状況の中で、世界銀行は先月(1月)、最新の原油価格の見通しを発表しました。
それによりますと、このあと『原油価格の持ち直しは小幅にとどまる』としています。
その理由として挙げているのが、中国の景気減速などで世界の原油需要が伸び悩んでいること、また供給面としては、核開発をめぐる経済制裁が解除されたイランから原油輸出が再開されること、アメリカでシェールオイルの生産の勢いは衰えず、世界的に供給が過剰な状態が続くことなどを挙げています。」