こうなると戦々恐々として当然だというのに、韓国では政界はもちろん知識人層、指導層に至るまで皆のんびりと、先祖代々の勢力争いに時がたつのも忘れて没頭している。総選挙間近というが、韓国の安全保障に関する論理や討論は全く見られない。国会は事実上まひ状態で、大統領は国会を迂回(うかい)して国民と直接「世論政治」をやっている。与党は親大統領派・反大統領派に分かれて恥ずかしい殴り合いに余念がなく、野党は引退していた老兵を呼び出して回春遊びをやっている。政治家同士のなれ合い、人をやたらと引っ張り込むこと、地域へのごますり、過去の暴露、揚げ足取り、法案をめぐる取引、公認争いで大騒ぎが演出されているだけで、核という字に関心はないようにみえる。
こうした状況が、周辺諸大国の目に映る韓国を惨めで情けない国にしている。「あんな国に、果たして助ける価値があるだろうか」「あいつらがああしている中に自分たちが出ていって、代理戦争をしてやる理由があるのか」。恐ろしいのは、韓国が自らの安全保障を他人に依存し、自分では何もしないまま他人が何かしてくれるのを期待する、非常識な国だと思われてしまうことだ。済州島江汀村に海軍基地一つ作るだけで実に10年以上もかかり、全く恥ずかしい乱闘劇を繰り広げているのを見て、周辺国はどう思っただろうか。