2016年2月8日14時05分
東日本大震災で東京都町田市の大型量販店「コストコ多摩境店」の駐車場スロープが崩れ、2人が死亡し6人が重傷を負った事故で、業務上過失致死傷罪に問われた1級建築士・高木直喜被告(69)=石川県野々市市=に対し、東京地裁立川支部(阿部浩巳裁判長)は8日、禁錮8カ月執行猶予2年(求刑禁錮1年6カ月)の判決を言い渡した。
東日本大震災によって起きた事故で起訴された初めてのケースで、震災による建物被害で刑事責任が問われるのは異例。
国の基準では、スロープは震度5強程度の揺れに耐えることが求められていたが、震度5強の揺れで崩れ、乗用車3台が下敷きになった。高木被告は、別の建築士がつくった設計図を直す形で、スロープの構造設計を途中から担当した。
公判で検察側は、構造が異なるスロープと店舗建物との「つなぎ目」の強度を高める必要があったのに、高木被告が他の建築士にわかるように伝えなかったと主張。弁護側は、高木被告はつなぎ目の強度を高める設計をしており、設計図通りに施工していれば崩落しなかったとして、無罪だと訴えていた。
事故をめぐっては、設計のとりまとめ役の建築士ら3人も書類送検されたが、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分とした。
東京都内では東日本大震災で7人が死亡。九段会館(千代田区)でもつり天井が崩落し2人が死亡したが、事故の予見は困難だったとして、運営していた日本遺族会の元会長らが不起訴処分になっている。
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