ホームページの文章を作成する時に知っておきたい5つのテクニック

ホームページの文章を作成する時に知っておきたい5つのテクニック

  • @DIME
  • 更新日:2015/06/09

ブログやSNSなどで一般の人も気軽に文章を書く機会が増えてきたが、「長い文を書くのはどうも苦手」「自分には文才がない」という人もまだまだ多いのではないだろうか。ホームページを作る時に、文章はなくてはならないものだが、気ままに文章を綴るブログやSNSとは違って、ショップや飲食店のホームページではちょっとした書き方の違いで売上が大きく変わる可能性があるのも事実。

そこで今回はWebサイトのコンサルティング、企画・設計からセミナーまで幅広く活躍されている株式会社サイバーガーデン代表取締役・益子貴寛(ましこ・たかひろ)さんに、ホームページでの文章の書き方についてお話を伺った。

−−ズバリ、ホームページで文章を書く時に一番大切なことはなんでしょうか。

(益子:以下、敬称略)基本は「書きたい」という気持ちや「お客さんは何を求めているんだろう?」という想像力が大事です。

例えば飲食店であったらお客さんだったらどういう情報がほしいだろう? というところを想像して書いてあげる。子供がいるお客さんなら、そもそも子供を連れて行ってもいいお店なのかどうか、子供用のイスがあるのかどうか、知りたいですよね。

わかりやすく文章を書くというのは、後でお話するようなテクニック面である程度カバーできてしまうのですが、こうした想像力は普段から意識的に考えて訓練しないと身につかないのです。

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−−ではさっそく、そのテクニック面をお伺いしたいのですが、ホームページで文章を書く時に初心者が気を付けたいポイントはなんでしょうか?

(益子)ひとつ目のポイントは「ひらがなを多く」することです。

いろいろなホームページを見ていると、不用意に漢字を使っている文章が意外に多いことに気が付きます。例えば、「~出来る」や「~な事」といった表現がそれです。手で書くのとは違って、パソコンの場合はどんどん漢字に変換してくれるのでそのままにしがちですが、文章が仰々しくなりますし、慣れている人から見れば違和感があります。

ちょっと話がそれますが、「違和感」という意味でいくと「ら抜き表現」も問題です。「見れる」ではなく「見られる」。どんなにいいことを書いていても、文章に厳しい人がみると「ああダメなお店だな」と思ってしまう。ひらがなの問題も「ら抜き表現」の問題もほんのわずかな部分なんですが、ホームページの品格がガタ落ちしてしまうので要注意です。

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↑はじめてWEB「Web文章入門: 第2回 わかりやすい文章の10大原則」より

ところで、文章上で漢字をひらがなにすることを「ひらく」といいますが、どういう場合に「ひらく」かは、普段から雑誌などを読んだり、生活の中にある文字を気をつけて見ているだけで、自然にわかるようになります。

例えば「天麩羅」か「天ぷら」かはスーパーに行ってみればわかります。売り場にある商品パッケージに書いてある文字は「天ぷら粉」であって「天麩羅粉」ではないのです。

もちろんうちのお店は老舗だからというのであれば、そのイメージを出すため、わかった上で「天麩羅」という漢字を使うというチョイスもあるかもしれません。ですが一般の場合は「天ぷら」でよいのです。

とはいえ、初心者の方にとって、ひらがなと漢字の使い分けの仕方を理解するには、ある程度の目安が必要だと思います。そのあたりをコラムにしましたので後ほど参考にしてください。

http://hajimeteweb.jp/column/web_writing/special2.php

さて、ふたつ目のポイントは「あいまい表現をしない」ことです。

例えば「~など」という表現。日本人はやさしいので、言い切らずに「~などを出します」という表現をすることが多いのですが、お客さんから見ると「ほかに何かあるの?」という気持ちになるのが普通です。

また話す時に「これから●●のことを説明していきたいと思います」という表現をついつい使ってしまいがちですが、この場合は「思っている」だけではなくて「説明する」わけですから「これから●●のことを説明していきます」でいいのです。これは文章も同じです。

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↑はじめてWEB「Web文章入門: 第2回 わかりやすい文章の10大原則」より

−−文章全般に加え、飲食店やショップの場合はメニューや商品をいかにうまくアピールするかが重要になってくると思います。「伝わる」文章を書くためのいいアドバイスはないでしょうか?

(益子)人間の五感からホームページを考えてみた時、「視覚」と「聴覚」に関しては写真や動画、音声によって伝えることができますが、「嗅覚」「味覚」「触覚」を伝える技術はまだ一般化していません。ですから「嗅覚」「味覚」「触覚」の3つの感覚を文章でどうやってカバーするかが重要になってきます。

もちろん、湯気が立ち上っている料理の写真から「嗅覚」「味覚」の一部を感じることもできますが、あくまでそれは一部であって、実際にどんな香りなのかは文章やキャッチコピーでしか伝えることができないのです。

「オムライス」を例に挙げて説明すると、単に「オムライス」と書いただけではあまり魅力を感じないので、素材をアピールして「こだわり有精卵のオムライス」とします。でもそれだけではまだ足りません。ここに「嗅覚」「味覚」「触覚」を加えることでようやく消費者の目にとまることになるのです。

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↑はじめてWEB「Web文章入門: 第1回 ウェブの媒体特性に合った文章の大切さ」より

−−キャッチコピーという言葉がでてきましたが、これはコピーライターといった専門の職業があるくらいですから、なかなか素人が作るのは難しい気もするのですが。

(益子)キャッチコピーというと企業などのコーポレートメッセージを思い浮かべますが、ホームページのキャッチコピーに必要なのは、集客や販売に直接結びつく言葉で、いわば商品の「ポップ」(販売促進のために商品の近くに置くメッセージ)のようなものです。

キャッチコピーを作るには、3ステップで考えることをおすすめします。

まずは、商品やサービスの「よさ」をアピールする

次に、自分たちの「こだわり」を盛り込む

そして最後に、(食べた時どうなの? 使った時にどうなの? といった)相手方の「感情」を表現します。

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↑はじめてWEB「Web文章入門 : 第4回 魅きつけるキャッチコピーのポイント」より

特に今の時代は「こだわり」を伝えないとダメですね。字数とかビジュアルのスペースの制限でダラダラと書けない場合でも、優先すべきは消費者にあわせた表現より自分たちの「こだわり」です。

大量生産、大量消費で消費者にすり寄っていたひと昔前の時代はこの逆でしたが、今は自分たちの価値観をしっかり伝えないとなかなか消費者に選んでもらうことができません。そういう意味ではホームページ自体も単なる「情報提供型」から、もう一歩踏み込んだ「問題解決型」が求められるようになってきていると言えるでしょう。

−−キャッチコピーを作る時の考え方はわかりましたが、いいコピーはどうすれば生まれてくるのでしょうか?

(益子)文章全般については今回の話を参考にしていただいたり、私が執筆した「Web文章入門」などのコラムを読むことによってそこそこ書けるようになりますが、コピーライティングは「発想」などの別の要素が入ってきますし、スキルとして一般化、普遍化できないのでなかなか難しい部分ではあります。

とはいえ、これも普段からの着眼点次第でスキルを磨くことができます。

例えば、電車の中吊りには週刊誌や女性誌の見出しが羅列されていますが、それを見て「自分だったらこう書くな」とか、駅のポスターに書かれているコピーを見て「自分だったらこの言葉を選ばないな」とか、主観で全く構いませんのであれこれ考えてみるのがいいと思います。こうしたことを1日1回考えれば、1回10分だとしても年間で3650分も考えたことになりますから相当勉強になると思います。

あとはキャッチコピーを集めた本やサイトもありますから、そういうものを見て参考にしてみるのもいいでしょう。

−−ホームページ内のタイトルについて、作り方のポイントを教えてください。

(益子)ひと言でタイトルといっても、実際にはホーム(トップページ)、個別ページ、記事の3つに分けて作り方を考える必要があります。

まず、ホーム(トップページ)のタイトルですが、ここで考慮したいのはSEO(検索エンジン対策)です。つまり、ユーザーが検索するであろう言葉を想像し、それをキーワードとしてうたってあげないと、検索エンジンからの流入は望めません。

このSEOを意識した方向性に加え、ホームページ全体の「看板」でもあるホーム(トップページ)のタイトルには、全体を象徴するようなキーワード、しかも実態に即したキーワードが必要です。これらを意識してタイトル付けをするとよいでしょう。

個別ページには、そのページ固有の内容を表すタイトルが必要となります。この場合もホーム(トップページ)と同様に、ユーザーが検索するであろう言葉を想像し、タイトルに含めることが大切になります。

最後に、ニュースやブログ記事のタイトルについてです。

ニュースサイトをみると感じるかもしれませんが、最近はあおり系のタイトルが多くなっています。ですが、あまり派手なタイトルを付けると内容との落差が問われますので注意が必要です。個人的にはこの手のタイトルの付け方はあまり好きではありませんが、これは良し悪しではなく、好みの問題なので人それぞれかもしれません。

記事のタイトルの基本は、自分たちの伝えたいことをきっちり伝えることですが、きっちり伝えてもつまらないタイトルでは誰も見てくれませんので工夫が必要です。

例えばあるお店のブログで「今日のランチ」というタイトルが毎日並んでいても全く興味がわきませんが、「今日●月●日のランチは■■定食です!」といった工夫があるとだいぶ違ってきます。

少し高度な話になりますが、ビジネス用途のホームページというのは、本来、まず誰(どんな層)に向けて作るのかを考え、そしてその人たちが好みそうな言葉を選ぶ、という積み重ねでホームページ全体を作っていきます。ターゲットを想定できる場合はこの点にも注意してタイトルを考えるのもいいと思います。

今回お話いただいたポイントは以下の通りである。これらの詳細は益子さんが書かれた「はじめてWEB」内のエキスパートコラム「Web文章入門」で見ることができるので、こちらも参考にしてみてほしい。

【まとめ】ホームページで文章を書く前に知っておきたい5つのポイント

1.ひらがなを多くする
2.あいまい表現をしない
3.「嗅覚」「味覚」「触覚」の3つの感覚をカバーする
4.キャッチコピーは3つのステップで考える
5.タイトルは、ホーム(トップページ)、個別ページ、記事でそれぞれに作り方が違う

■益子貴寛(ましこ・たかひろ)
株式会社サイバーガーデン代表取締役

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1975年、栃木県宇都宮市生まれ。早稲田大学大学院商学研究科修了。
Webサイトのコンサルティング、企画・設計、制作業務、教育、執筆活動に従事。社団法人 全日本能率連盟登録資格「Web検定」プロジェクトメンバー。主な著書に『Web標準の教科書』(秀和システム)、『伝わるWeb文章デザイン100の鉄則』(同)、『現場のプロから学ぶXHTML+CSS』(共著、マイナビ)他。

http://cybergarden.jp/

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