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 中国・長江で昨年6月に442人が死亡した客船転覆事故で、地元の湖北省政府が1月下旬、救助作業にあたった多数の機関や個人を表彰する計画を発表したところ、「救助できたのはわずかなのに表彰なんて恥知らずだ」などと批判が殺到。政府はホームページから名簿を削除した。

 事故後、当局は潜水士らを大量動員して救援や捜索活動を展開。上流にある三峡ダムの水量も抑制して総力救助をアピールした。しかし、生存者は12人にとどまった。自力で岸に泳ぎ着いた人もおり、救助作業で助かった人はさらに少なかったとみられる。

 省政府は「先進的な活躍をした」として、潜水チームや警察のほか、政府の関係部門など99機関と253人を表彰対象として発表。しかし、ネット上では「責任追及はこれほど大々的にやっていない」「公務員が尽力するのは当たり前。役人に恥や道徳はないのか」といった批判が噴出した。

 ただ、政府系の地元紙「長江日報」は「責任追及と英雄の表彰は矛盾しない。危険を顧みずに力を尽くした人たちやボランティアの献身ぶりは称賛に値し、社会を明るくする」と擁護している。(広州=延与光貞)