(以前の記事の更新版になります)
去年、Facebookのマーク・ザッカーバーグの育児休暇が話題になりました。
こちらの育児休暇もそうですが、Googleなどの米国大手IT企業の福利厚生が充実しているのは有名なように思いますが、日本の企業に関しても、戦後すぐに比べたら大分働きやすい環境が整いつつはあるのではないでしょうか?
ただ、そうは言ってもまだまだ日本人の働き方には課題があると感じている方も多いかと思いますので、今日は日本人の働き方について、縦軸と横軸の観点から考えてみます。
世界の中でも日本人の働き方は特殊?
まず先に「横軸=世界はどうなの?」ということで、世界に目を向けてみました。
1. フランス(ヨーロッパ)
ちょっとこれは極端な例ですが、フランスで働く人々には、最低でも5週間の長期のお休みがあるようです。日本は多分長期休暇といっても1週間~10日程度ですので、大分シチュエーションは特殊なように思われます。日本でも「1か月の長期休暇があります」みたいな企業が出てきたら結構人気でそうですね。
2. オーストラリア(オセアニア)
オーストラリア人は全然残業をしないようです。確かに、僕の前職のオーストラリア人の同僚も、毎日18時には帰っていると言っていました。ちなみに僕の勝手なイメージですが、オーストラリアの男性は、良く仕事帰りにジムに行っている印象です。
3. イスラエル(アジア)
アジアではイスラエルを取り上げてみました。
イスラエルというと、「危なそう」というイメージを持つかもしれませんが、イスラエルは「スタートアップが沢山生まれる=起業家という働き方を選ぶ人が多い」国でもあるようです。
ちなみに、なぜこのイスラエルから多くのイノベーションが生まれるかというと、サムライインキュベートの榊原さんによると。どうやら「必要性」の要因が大きいようです。「スタートアップを多数輩出し、イノベーションを生み出し続けせざるを得ない状況にある」というシチュエーションが背景にはあるようです。その場所柄、日本のようにのほほんと生きてはいられないのかもしれません。
確かに、人間も「明日死ぬかもしれない」という切羽詰まった状態に追い込まれたら、その状況を打開すべく知恵をしぼって何とかするので、その国家版のような印象を受けました。
4. サウジアラビア(アジア)
もう一つアジアで面白い国を発見したのでご紹介しますと、何とサウジアラビアでは、国民の9割は公務員みたいです。日本でも公務員は引き続き安定の職業として人気ですが、サウジアラビアでは公務員という働き方を選ぶのが当たり前みたいですね。
5. メキシコ(北アメリカ)
最後に北アメリカではメキシコをご紹介します。
この記事にもありますが、経済協力開発機構によると、2014年度のメキシコの平均労働時間は、40ヶ国中1位の2,228時間と世界で一番長いようです。ちなみに日本は21位で1,729時間ですので、日本人より更に働いていることになります。ブルーワーカーが多いとは思いますが。
また、「家族全員が今日を飢えずに楽しく過ごせたら、それで十分幸せ」という考え方が、メキシコ人の根底にあるみたいです。僕も以前メキシコ駐在経験のある方に話を聞いた際、メキシコ人は職場から家族に電話をかけてしまうこともあるというエピソードを聞いたことがありますが、どうやら一つのキーワードとして「家族を大切にする」というのがあるようです。
大学在学中に就職活動期間があるのは日本ぐらい?
ちなみに世界の多くの国では、日本のように大学在学中に就職活動というものがありません。米国では大学生の間にインターンをするのが一般的ですし、卒業後1年ぐらいバックパッカーした後に企業に入社するというのも良くある話です。
そのため、当然入社時期も一律4月ではありません。日本でも外資系はそうですが、まだまだ日系大企業の新卒一括採用や4月入社の文化は無くならそうですね。
このような横軸の観点から考えてみると、日本の就職活動や働き方も世界の一事例でしかなく、むしろマイノリティなんじゃないかと感じられます。
働き方や仕事の価値観のトレンドは数十年で変わる
次に、「縦軸=歴史はどうなの?」という観点から考えてみます。
今は大企業に入社すると勝ち組とされる風潮がありますが、これもたまたまその時代に生きているからそう思うだけで、日本の2000年の歴史からすると、ここ数十年のトレンドの話かと思います。
下記の図にもあるように、今から50年前の戦後すぐの1950年代は開業率が20%と高く、日本でも多くの会社が設立されました。要は起業家が多かったということです。
ちなみに日本の歴史を数百年遡り江戸時代を考えてみると、国民の大多数は農民です。自給自足生活が当たり前の世の中で、大企業に就職するという単語すら存在しませんでした。
金が必要なら職に就くものだと思っている。実際には、この伝統には100年程度の歴史しかない。それ以前には、生活のためのデフォルトの方法は、農業をすることだった。ほんの100年くらいしか歴史のないものを原理のように扱うのは間違っている。これは短期間で変わっていることなのだ。
— Paul Graham (@pg_quote) 2015, 11月 20
ポールグレアムも言ってますが、2000年の歴史の中のほんのここ数十年を原理として扱うのではなく、「働き方」や「仕事に対する価値観」も短期間で変わっていくものというように捉えた方が良いのかもしれません。