「私,自分の子どもがかわいく思えないの」
そうしたことを悩みとして吐露する人がいた。顔が可愛くないわけでも容姿が可愛くないわけでもない。それなのになぜかわいく思えないのか。それは他人の子どもと比べて自分の子どもが違うと強く思わされる経験をしているからだ。
産まれた時はほぼ同じである。みんなお腹がすけば泣く。言葉は当然話さない。泣いていてもなぜ泣いているか分からない。そして夜中も頻繁に起きる。「まだ産まれたばかりだから起きるのは当たり前」「まだおっぱいがうまく飲めないから起きるんだよ」。最初はその言葉を信じる。なぜなら他の子も同じだから。
それがだんだんと他の子と違ってくる。「夜の授乳が少なくなった」「置いたら寝てくれるようになった」。そうはならないお母さんは一人取り残された気持ちになる。「まだうちは1時間おきに起きるよ」「抱っこでないと寝ないの」「ベビーカーでないと寝ない」など,話しても「えっー。大変ね」とか「もっとこうしてみたら」とか言われるだけで特に何かが改善されるわけではない。終わりが見えない恐怖。
そんな時に思うのだ。「うちの子可愛くない」。「あの子はあんなにかわいいのにうちの子はなんでこんな感じなの?」。ついつい言葉が出てきてしまう。しかし,そうしたお母さんはその話を泣きながら話す。決して本心から「うちの子可愛くない」と思っていないからだ。
今の次男もそうだけど,うまく寝られない。下痢するとなかなか治らない。保育園行けないなど様々悩ましいことが起こってきた。第2子でも「なぜ?」ということが多い。そして他人と比べてしまう。「なぜなの?」と。いつか楽になる。いつかこの辛い時期も終わりがくる。頭で分かっていても日々の現実からは逃れられず,段々と気持ちがふさいでくる。
そんな次男は相変わらず夜中も起きているけど,もうすぐ終わりが来るだろう,来るだろうと思いつつ,日々を過ごしている。もちろん,私が感じたこうした辛さは妻の比ではない。夜中に授乳しているのは妻なのだから。
かつて,私たちも長男が1歳の時には,「3歳になったら寝るようになるよ」とアドバイスされ,倒れそうになったのを覚えている。3歳…。3年…。長い。今,長男は4歳で,今思えば3年間何てあっという間なのだけど,あの辛い時期に3歳の長男なんて想像もできなかった。だから育児が辛い人に対して「時がたてば…」とは言えない。それは何の慰めにもならない。
そんな私ができることは育児が辛いと言っている人の話を聞いてあげることぐらいかもしれない。時に「大変ねえ」も辛いし,「頑張ってるね」も辛い言葉に感じる。ただただ聞いてあげるだけ。そうすることで育児の辛さも少しは軽くなるのかもしれない。
先日会った「自分の子どもが可愛くないと思える」というお母さん。そうしたお母さんが「自分の子どがかわいい」と思える日が来ることを願って。そして一人で抱え込まず,みんなに今の自分の気持ちを吐き出してほしいと思う。辛い時は辛いと言うべきだ。そして我が家の二人の息子たちも元気に成長してほしいと思う。
子育てしながら輝いて生きる 0~6歳育児を楽しくするママたちの声
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