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北朝鮮がきのう、人工衛星の打ち上げと称して、事実上の弾道ミサイルを発射…
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北朝鮮がきのう、人工衛星の打ち上げと称して、事実上の弾道ミサイルを発射した。
国営メディアで「成功」をうたい、「今後もより多くの衛星を打ち上げる」と宣言した。
先月の核実験に続き、国連安保理決議に反する暴挙である。
中国を含む国際社会が重ねて発した自制の要求を、金正恩(キムジョンウン)政権は完全に無視した。国際秩序への挑戦に対し、安保理は決然とした対処を急ぐべきだ。
日米に加え、ロシア外務省も「国際法の規範を公然と無視している」とただちに非難した。核実験以降、安保理の制裁論議を滞らせてきた常任理事国として、中国の責任は重い。
朝鮮半島と東アジアの安定を真剣に憂慮しているというならば、中国は平壌に対し、明確な影響力を行使すべきである。
相次ぐ挑発を受け、韓国政府は米国による迎撃ミサイルシステム導入の検討を表明した。これまで中国に配慮して明言を避けてきたが、北が繰り返す脅しに重い腰をあげた形だ。
ただ、北朝鮮ミサイルの射程は90年代までに日韓を超えており、最近の発射は米国への揺さぶりを狙ったものだ。現在は、首都ワシントンやニューヨークまでをも含む射程の開発をめざしているとされる。
じわじわと安保環境を危うくする北朝鮮の暴走の連鎖をどう断つか。安保理と並行して日米韓と中ロは、6者協議の枠組みなどあらゆる場を用いて論議を活発化させるべきだろう。
金正恩氏は、元日に読み上げた「新年の辞」で、経済発展と市民生活の向上を強調した。だが、国民に希望を抱かせる演説は絵空事にすぎなかったことが証明された。
長距離ミサイルを飛ばす費用で、北朝鮮の3年分の食糧不足が解消されるという韓国政府の試算もある。核やミサイルの開発に固執する限り、経済の再建などできるわけがない。
正恩氏は、5月に予定する36年ぶりの朝鮮労働党大会に向けて実績がほしいようだ。しかし対外的な挑発でしか存在感を示せないのなら、指導者としての限界を露呈したも同然だ。
国際社会が北朝鮮問題に取り組むうえで日本の役割は重い。
安倍首相はきのう、独自の制裁の準備を指示した。手段は限られているとはいえ、強い非難の意を伝える行動は必要だ。
一方で日本は、拉致問題などをめぐる対話の枠組みを今も維持している。対話と圧力を駆使して北朝鮮に影響力を及ぼすには何ができるか、米韓と密接に協調しつつ工夫を尽くしたい。
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