予言者ババ・ヴァンガの「2016年イスラム大戦争」

文=宇佐和通

ヨーロッパが死の大陸になる

バルカン半島のノストラダムスという異名でも知られるババ・ヴァンガの予言は、的中率85パーセントという精度を誇る。主なものだけを挙げても、911アメリカ同時多発テロ、オバマ政権の誕生、2014年のインド洋地震と津波、そして2011年の福島の原発事故と、重要な予言ばかりだ。

ババ・ヴァンガは12歳の時に竜巻に襲われて視力を失ったが、それと引き換えに不思議な能力を授けられた。第2次世界大戦中には当時のブルガリア国王ボリス3世の訪問も受けたという。ブルガリア共産党首脳部メンバーのアドバイザーも務めながら、数々のショッキングな内容の予言を残した。

vanga
ブルガリア国家公認予言者のババ・ヴァンガ。1996年に没したあと、彼女の予言はブルガリアの国家機密に指定され、管理されている。

 

そのヴァンガは、〝2016年イスラム大戦争〟に関する予言も残している。

この予言は、2010年の〝アラブの春〟にさかのぼり、その後連動して起きた混迷を極めるシリア情勢も、もちろん織り込み済みだ。「イスラム勢力がヨーロッパに対して化学戦をしかける」という具体的な表現もあり、その結果、「ヨーロッパ大陸は、あらゆる生命体が消え去った荒地になる」というのだ。

二度にわたる無差別テロで多数の自国民を虐殺されたフランスの全面参戦により、世界情勢は過激派テロ組織IS対西欧諸国という図式が確立されている。一方ISは、フランスとロシアをはじめ、日本も攻撃対象とする旨を明らかにしている。西側諸国の空爆にさらされるISは、ごく最近になってリビアの地中海沿岸の都市スルトに新拠点を確立しつつある。

この傾向にはふたつの見方がある。空爆が効果を奏した結果、かつての支配域からの撤退を余儀なくされているという説。そして、強力な資金源を背景に地中海沿岸まで支配域を拡大し、リビア国内での支配体制を強めているという説だ。

最初の説が正しいなら、ISの弱体化が始まっていることになるのだが、実はそうでもないらしい。リビア国内でのプレゼンスを強めるISがスルトを選んで新しい拠点を作る理由は、カダフィ体制下で密かに進められ、この都市に備蓄され隠されている化学兵器の入手に乗り出したからであるという説があるのだ。

地中海を臨むスルトなら、ヨーロッパへの兵器輸送は難しくはない。イタリアあるいはスペイン経由で兵器を輸送し、今や宿敵となったフランスで使用することも不可能ではないだろう。

スルトは軍事拠点というだけではなく、カダフィ大佐の生まれ故郷でもある。ISISが植民地化して以来、シャーリア(イスラム法)に基づいて治められ、一般人も含め多くの人々の公開処刑が続いているようだ。

そして2015年12月20日、驚愕の事実が明らかになった。

リビア国内の地下施設から、ISISの手によって化学兵器が持ち出されたという。この情報を明らかにしたのは、故ムアマル・カダフィ大佐の従兄弟であるアフメド・カダフィ・アル=ダム氏だ。

「ISはすでに砂漠の地下にある秘密備蓄施設の場所を特定した。残念ながら、こうした施設にはきちんとした警備態勢が敷かれていない。政府内部の情報筋の話によれば、すでに化学兵器盗難事件が2件起きている。最初の事件ではドラム缶7本分のサリンが盗まれた。2回目ではドラム缶5本分だ」

ヴァンガの予言に示された最悪のシナリオは、すでに実現する方向に転がりはじめているのかもしれない。

 

生前のババ・ヴァンガ。彼女のもとには、ブルガリア国内外から相談者が訪れていた。

文=宇佐和通

  • 1

この記事と同じトピックを探す

関連記事

編集部おすすめ

アクセスランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • トータル