日本のアニメーション監督の高畑勲が、また世界で大きな栄誉に輝いた。今年で43回目を迎えた米国のアニメーションアワードのアニー賞で、ウィンザー・マッケイ賞(The Winsor McCay Award)を受賞した。アニー賞は国際アニメーション協会ハリウッド支部が主催するもの。過去一年間に米国で公開されたアニメーション作品とスタッフを顕彰する。顕彰部門は映画、テレビ番組、コマーシャル、ゲームを対象に31部門にもわたる。アニー賞ではこれ以外に名誉賞も設けている。ウィンザー・マッケイ賞は生涯功労賞にあたり、アニメーション芸術に大きな貢献をしてきた人物に与えられる。第1回のフライシャー兄弟をはじめ、数々のアニメーション界の巨人が名前を連ねる。日本からは、人形アニーションの川本喜八郎、手塚治虫、宮崎駿、大友克洋の4人が受賞しており、高畑勲が5人目となる。高畑勲は2015年にフランス芸術文化勲章、2014年にアヌシー国際アニメーション映画祭名誉賞、米国アカデミー賞名誉賞、2009年にロカルノ国際映画祭名誉豹賞を受賞している。まさに世界的に知られたアニメーション監督と言っていいだろう。2016年は高畑勲のほか、2005年に故人となった監督・脚本家ジョー・ランフト、監督・プロデューサーのフィル・ロマンが選出されている。ジョー・ランフトは『トイ・ストーリー』の脚本や『カーズ』の監督で知られている。フィル・ロマンは『トムとジェリー』『シンプソンズ』など世界でお馴染みの作品に関わった。一方、作品賞、個人賞ではピクサー・アニメーション・スタジオの『インサイド・ヘッド』が圧勝した。長編アニメーション関連の11部門のうち、作品賞を含む10部門に輝いた。唯一つ受賞を逃したアニメーション効果賞は、ディズニー・アニメーションスタジオの『アーロと少年』が獲得した。映画部門をディズニー/ピクサーで制覇したかたちだ。テレビアニメーションでも、『ミッキーマウス!』が、音楽、ストーリーボード、編集の3部門に輝いた。ディズニーの強さを見せつけた。注目の部門では、最優秀短編アニメーション賞でドン・ハーツフェルトの『明日の世界』が、最優秀長編アニメーション賞(インディーズ)では国内でもこの春に公開されるアレ・アブレウ監督の『父を探して』が受賞した。最優秀長編アニメーション賞(インディーズ)はノミネート4作品のうち2作品が『バケモノの子』『思い出のマニー』だったたが、賞には届かなかった。監督賞にノミネートされていた『思い出のマニー』の米林宏昌も賞を逃した。実写映画のアニメーション効果では『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』、キャラクターでは『レヴェナント: 蘇えりし者』、そしてゲームのアニメーション効果では『Evolve』が最優秀賞に選ばれた。幅広い受賞は、アニメーション映像があらゆるエンタテイメントで活用されていることを示すものだ。Photo by Valerie Macon/Getty Imagesアニー賞http://annieawards.org/[アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]