クラッキンググループの攻撃を阻み続けた『Just Cause 3』
2015年末に発売されたAvalanche Studiosおよびスクウェア・エニックスの新作『Just Cause 3』は、いま海賊版界隈で最も注目を集める作品の一つだ。
新型のDRMプロテクト”Denuvo”を搭載した本作は、対価を支払うことなくゲームをプレイしたい人々のクラッキング行為を阻み続け、2015年12月1日の発売から今に至るまで防衛に成功しているという。1月には中国のクラッキンググループ3DMがその対クラッキング技術の進歩を賞賛し「2年後にはゲームの海賊行為が不可能になる」と語っていたほどだ。
その際に3DMの創設者であるBird Sisterは、『Just Cause 3』について厳しいながらも今回はなんとかクラッキングできる見込みだと語っていたが、それはまだ実現していない。クラッキンググループの見立て以上にプロテクトは堅いようだ。
幸か不幸か無料で『Just Cause 3』を手に入れたがっていた人々にとって有償でゲームを手に入れるべき期間が巡ってきていたわけだが、Bird Sisterは3DMの今後の活動についてさらにアナウンスを発表したとTorrentFreakが報じている。
Bird Sister
「正規品の売り上げが増加するのか影響を確かめる」
「我々は内部で会議を開き方針を決定した。旧正月をもって3DMは今後シングルプレイヤーゲームのクラックを控える」とBird Sisterは語った。「我々は1年間はクラッキングしないことで、正規品の売り上げが増加するのか影響を確かめる」
アナウンス中にてこの決定がDenuvoの性能による影響があったのかについては語られなかったものの、Denuvoを突破できないままクラッキンググループ大手の3DMが部分的とはいえ撤退を表明した事実は大きい。これまで彼らの海賊版を頼りにしていた者たちにとって大きなダメージとなることは間違いない。
Assassin’s Creedで知られるUbisoftは海賊からゲームを守ることはできないと発言し、CD Projekt RedはDRMプロテクトについて「一般ユーザーにとって害悪でしかない」と発言し、一切のプロテクトを採用しない方針を選択していたが、DRMプロテクト技術がクラッキンググループの技術を上回り、かなりの長期間にわたって海賊行為を防げるとなればその選択は変わっていくのだろうか。
DRM論争の流れが大きく変わりかねない変化だ。