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台湾地震 倒壊マンションの現場 捜索は難航
2月7日 22時48分

台湾地震 倒壊マンションの現場 捜索は難航
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台湾の南部で6日に起きた地震で倒壊したマンションの現場では、およそ120人が取り残されているおそれがあり、救助活動が続けられていますが、建物が大きく壊れていることから捜索は難航しています。
台湾南部で6日に起きた地震では、これまでに合わせて31人が死亡し、このうち29人は、倒壊した台南市郊外の16階建てのマンションで亡くなっています。台南市の当局には家族などと連絡が取れないという届け出が相次ぎ、台南市は、倒壊した建物の中におよそ120人が取り残されているおそれがあるとしています。
現場では救助隊による懸命の捜索が続いていて、なかには、がれきの下に閉じ込められているものの救助隊員と会話ができる人もいるということです。その一方で、がれきの下から遺体が運び出され、泣き崩れる家族の姿も見られました。
救助隊員の1人は「建物の内部は構造が完全に破壊されていて、活動が非常に困難だ」と話し、捜索は難航しています。
一方、倒壊したマンションの周辺では地震による大きな被害はほとんど見られず、台湾のメディアは、この築20年余りのマンションの建設に手抜き工事があったのではないかと指摘しています。これについて、台南市の頼清徳市長は、7日、記者団に対し、「政府は司法機関と連携している。鑑定や証拠の保全を進め、将来、裁判になった場合、政府は市民の権益を守る」と述べ、建設にあたって法律に違反する行為がなかったかどうか、詳しく調査する考えを示しました。

倒壊マンション 99年の大地震で損傷か

倒壊したマンションについて、台湾のメディアは1995年に完成したと伝えていて、倒壊前に撮影されたマンションの写真でも、外側の壁に「1995年竣工(しゅんこう)」の文字が確認できます。
地元メディアは竣工から4年後の1999年に起きたマグニチュード7.7の大地震のあと、建物に損傷が出たにもかかわらず市当局が、このマンションに対して何の対応もとらなかったという市民の批判の声を伝えています。
これに対し、台南市は99年の大地震のあと、このマンションに危険性があると判定した事実はないと説明していますが、手抜き工事や設計ミスがなかったかどうか詳しく調査するとしています。
また、台湾では99年の大地震のあと、新たな建物を建てる場合の耐震基準が大幅に引き上げられましたが、このマンションは古い耐震基準に基づいて建てられたため、鉄筋の本数が少なく建物自体の強度が足らなかったという指摘も出ています。

専門家「構造や柱の強度が影響か」

台湾の南部で起きた地震で倒壊した16階建てのマンションについて映像を分析した、建物の構造に詳しい日本大学の神田順特任教授は、建物の1階部分を主に柱だけで支えるピロティ構造だったうえに、柱に巻かれていた鉄筋が細くて少なかったために強度が十分でなく、大きな被害につながったのではないかと指摘しています。
神田特任教授によりますと、今回の地震で倒壊したマンションは、現地で撮影された映像から、建物の1階が主に柱だけで支えるピロティ構造だったと見られ、上の階に比べて1階部分が変形しやすい構造だったことが影響していたのではないかとしています。神田特任教授によりますと、現地の防犯カメラの映像で最初の大きな横揺れの直後に1階の片側の柱が一気に崩れて倒壊していたことから、横から加わる力によって柱が壊れるせん断破壊が起きていたということです。
さらに神田特任教授は「倒壊後の映像からはせん断破壊を防ぐために柱に巻かれていた鉄筋の太さが日本の標準的なものと比べて細く、本数も少なかったために強度が十分でなく、横から加わる力に弱くなって柱がすぐにつぶれ、全体が倒壊する引き金になったと考えられる」と指摘しています。
台湾では1999年の大地震のあと、建物を建てる場合の耐震基準が大幅に引き上げられましたが、今回のマンションはそれ以前に建てられたとみられています。
神田特任教授は「台湾の最近の建物は、日本と同じように柱がすぐに壊れないように粘り強い設計になっているが、倒壊したマンションではそうした条件が反映されていなかったとみられる」としたうえで、今回の柱の設計がどのようなものだったのか、さらに詳しく調べる必要があると話しています。

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