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EU改革案まとまる 離脱賛否問う英の要請踏まえ
2月3日 6時27分

イギリスでEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票が行われるのを前に、イギリスの残留を望むEUは、域内からの移民の急増に不満が高まるイギリスの要請を踏まえ、移民が受ける社会保障費の一部を制限するなどのEUの改革案をまとめました。
イギリスのキャメロン政権は、EUからの離脱の賛否を問う国民投票を早ければ6月にも実施する方針ですが、EUの「移動の自由」という原則のもと、域内からの移民が急増し国内で不満が高まっていることなどから、EUに対して規則の見直しを含む改革案の策定を求めていました。
EUのトゥスク大統領は2日、イギリスの要請を踏まえた改革案をまとめ、加盟国に提示しました。この中では、EU域内の移民が急増し、受け入れ国の社会保障制度を過度に圧迫していると加盟国などが認めた場合、緊急措置として、移民の入国後、最大4年間は、低賃金労働者への手当など移民が受ける社会保障費の一部を制限する案を盛り込んでいます。
また、加盟国の議会の権限を強化するよう求めるイギリスに配慮し、EUが制定する法案に対して各国の議会の反対が一定の割合に達した場合は、法案の取り下げや見直しを行うなどとしています。
EUとしては、イギリスの要請に一定の譲歩を示すことで国民投票の結果をEU残留に導きたい考えですが、すべての加盟国が改革案を承認するのかや、イギリス国民の不満の軽減につながるのかが今後の焦点です。

英首相 改革案を評価

イギリスのキャメロン首相はEUがまとめた改革案について、「まだ取り組むべきことがある」とする一方、「前進があった」と評価しました。
特に焦点だった移民が受ける社会保障費については、「求めていたものは基本的に獲得できた。この国に来たばかりの人が労働者向けの手当を直ちに手にすることはできないということだ」として協議の成果を強調しました。
そのうえでキャメロン首相は、「協議がまとまれば、国民投票はかなり早まるだろう」と述べ、今月のEU首脳会議で加盟国の承認が得られれば、来年末までに実施する予定の国民投票を数か月以内に実施するという見通しを示し、その場合はEUへの残留を国民に訴えていく考えを明らかにしました。
ただ、EUに懐疑的なイギリスの議員は、改革案について「社会保障費の給付の制限を自国で決められないのはおかしい」などと批判していて、最新の世論調査ではEUからの離脱を支持する人が残留を支持する人を僅かに上回っています。
キャメロン首相のもくろみどおり、イギリス国民がEU残留を選択するのかは予断を許さない情勢です。

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