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一橋を出てニートになりました

元編集者。病気のためニートに(現在は派遣)。仕事に役立つ記事と労働問題を扱っていきたいです。

検索結果にだまされないネット情報の見極め方 -「検索力」がないと生涯賃金で差がつく時代(後編)

仕事の基本

「ネット検索力」とは

「ネット検索力」とは、狭義では(前編で述べた)「インターネット上の情報を検索する技術」を指すが、広義では下記が大切だと思う。

  1. 検索結果を鵜呑みにしない力
  2. 物事のマイナス面を検索する力
  3. 価値ある情報を収集する力

1を土台として、その上に2と3がある。

(※この記事は後編です。前編はこちら)

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検索結果を鵜呑みにしない力

実例:検索結果のTOP6が同じアフィリエイト業者のサイト

「1.検索結果を鵜呑みにしない力」について、普通の人が最も検索を使うだろう「買い物のための検索」での実例を挙げたい。

例えば、格安SIMフリーのスマホが欲しくなり、自分の住む市だとどこに売っているかを検索したとする。

「厚木市 格安SIMフリー スマホ」で検索すると、何と、検索結果の上から6番目まで(画像の赤枠)、すべて同じアフィリエイト業者と思われるサイトで占められている

search_result1

このサイトたちは、すべて下のような構成である。
同じ業者が別々のURLを取得し、同じテンプレートでサイトを作成しているのだ。

知りたかった厚木市の情報(どこの店舗で売っているか等)は何も書かれていない。

site_example


「厚木市 格安SIMフリー スマホ」という検索キーワードは、月に25万回程度も検索されているようだ。

search_result2

そして、おそらく全ての市町向けに、このサイトは作られている。


さらに、1位はなぜ楽天モバイルなのか。

楽天モバイルについては、特に優れているという評判も聞かない。
格安SIMサービスの満足度を調査した「格安SIMアワード2015」のどの部門にも名前は入っていない。

なのに1位に推す理由は、「アフィリエイト料金が高いから」である。

単に、他のSIMフリーサービスよりも、楽天モバイルを薦めた方が、サイト主が儲かるのだ。

儲けのためだけに作られた、中身のないサイトが、検索上位に上がってくる現実。

比較サイトのほとんどは、アフィリエイト料金順に商品を紹介している

欲しいものについての詳しい情報を検索する時、「比較」「おすすめ」などのキーワードで検索することがあるだろう。

それで出てくる比較サイト(例えばFX・英会話教材・クレジットカード・保険・美容・ダイエットなど)は、どのサイトもほぼ同じ商品群を似たようなランキング順位で紹介していることに気づくだろう。

その理由も同じく、アフィリエイトの報酬料金順に、商品を紹介しているからである。

そもそも、比較サイトが作られた理由を考えてみれば分かる。
それは、「紹介料を得たいから」である。

儲けが目的なら、アフィリエイト料金は発生しないが優れた商品など薦める訳がない。

「おすすめ」とは誰にとっておすすめなのか。
見る人にとってではなく、サイト主が儲かるから「おすすめ」なのである。

実際に商品を買った「良心的な人」の検索方法

そうは言っても、実際に商品を買った人の感想や評価を知りたい時もある。
その時は、このように検索すると良い。

例.予算3万円で軽いノートパソコンを買いたい時
→ 1. 「3万円 軽量 ノートパソコン 比較 2015」で検索し、いくつか候補の商品を選ぶ
→ 2. 各商品について「○○(商品名) 実際に 使ってみた メリット デメリット」などで検索

※1の時点では、できるだけ個人サイトではなく、企業が運営している情報サイトなどを参照する

2のサイトについてのチェックポイント
  • 商品を使っている写真が複数枚あるか
  • カタログスペックだけではなく、実際に使った感想が、具体的に詳細に書かれているか
  • 商品のデメリットについて書かれているか

感想は、実際に買わなくてもネット情報を参考にすれば買ったように書けるので、短い文でサラッと書いてある記事は疑った方がいい。

そして、商品を検索する上で、最も把握しておきたいのは「デメリット」である。

この例では、3万円の格安ノートパソコンは、通常の値段のパソコンに比べて、スペックなど何かを犠牲にした上での価格設定だから、実際に買った人がどんなデメリットを感じたのかは絶対に押さえておきたい。


商品のデメリットについて書いてあるサイトは、少なくとも良心的だと言える。

なぜなら、デメリットを書けば、商品は売れないからだ。
だから、たいていのサイトはデメリットについて触れないか、どうでもいいデメリットについて触れるのみである。

商品に限らず、ブロガーは何かのマイナス面やネガティブなことを書くのは避ける(※儲けに関係ない批判は別)。

例えば、私のブログには派遣制度の批判記事があるが、そこには広告を貼っていない。
なぜなら、派遣制度を批判している記事に、(キーワードマッチングの結果)派遣会社の広告が載っていたらおかしいからだ。
このように、ネガティブな記事を書くと、儲ける機会は減る。

だから、そういった儲けを考えていない記事を見ると、私は「このブロガーは儲けだけではなく、何らかの考えがあってブログをやっているんだな」と親近感を抱くようにしている。

読むに値するブロガーかは、金に直結する行動の有無で見極める

限られた時間の中で、どうせブログを読むなら、あまりにも金儲けの匂いがする人の記事は読みたくない。そのためのチェックリストを作ってみた。

金に囚われたブロガーが取る行動リスト
  • 「今月は○PVで○万円稼いだ」という記事を書いている
  • 商品の紹介など、ブロガーにアフィリエイト料が入る記事が多い
  • 貼られている広告が大きく、数が多い
  • ブログ相談サービスやサロン、レンタル○○くんなど、ブログ以外の有料サービスをしている
  • noteで、有料記事を販売している

その人の人間性を見極める時は、言葉でなく行動に着目しなければならない。

愛想がよく、楽しい人柄でも、気づけば金に直結する行動が多くなってきたブロガーには警戒した方がいい。

物事のマイナス面を検索する力

就職・転職する会社・業界の悪評を徹底的に検索する

ここでは、前述の「2.物事のマイナス面を検索する力」について述べたい。

上で述べてきたように、世のサイトは、広告費を中心に回っている
だから、サイトに広告を載せる上で不利な、物事のマイナス面について語られることは少ない。

だが、生きる上で、マイナス面を把握しなければいけない物事がある。
その一つが、就職・転職である。
就職・転職する会社・業界については、悪評を徹底的に検索しなければならない。

検索方法は簡単だ。
「○○(社名) ブラック」と入力して検索するだけで、何かしら噂がある会社はすぐ情報が出てくる。
ひどいと、2ちゃんねるに専用スレッドがあったりもする。
何も出てこない会社でも、転職口コミサイトで、(たとえブラック企業でなくとも)自分に合わない要素はないかを調べることは重要だ。

今はいい時代だ。
就職する前に、その会社の問題点を、誰にも会わずに知ることができるのだから。

私が就職した出版社・出版業界について、就職前に検索することができたら、私は決してあの会社には入社しなかっただろう。
そうすれば、過労のために病気になることもなく、ニートの後に派遣という辛い人生を歩むこともなかった。

このように、情弱ぶりは生涯賃金に直結するのだ。


前述したように、ネガティブな情報は、儲けに左右されず書かれた情報なので、儲けを意識した情報よりは真実であることが多い。
それでも、注意しなければならないポイントがある。

注意ポイント
  • 逆恨みによる、根拠のない中傷ではないか
  • 競合による、根拠のない書き込みではないか
  • 書き込んだ人にも落ち度があるのではないか
  • 書き込んだ人が過敏になり過ぎていないか(これは、例えばある病気における薬の副作用など)

ネガティブな情報は儲けに直結しないと書いたが、例外がある。
競合会社が、ライバル会社の悪評(嘘)を流す場合である。

価値ある情報を収集する力

最後に「3.価値ある情報を収集する力」について述べたい。

現在、英語やWebデザイン、プログラミングなどは、インターネットで自宅にいながらほぼ無料で学ぶことができる。

そのような価値ある情報を収集・検索し、自分の価値を高めていけるかどうかは、間違いなく生涯賃金に直結する。

ただ、例えば英語の教材なら、英語圏も含めるとそれこそ星の数ほどあり、その中から自分の用途やレベルに合ったものを探していく作業には、検索技術や情報収集力、試行錯誤などを要する。

膨大な情報の中から、広告主の側に立ち過ぎた情報に惑わされず、自分が求める役立つ情報を手に入れ、整理する。

情報に触れる時には、「その情報の裏には、どんな動機があるのか」について考えることで、ネット検索力を高めていきたい。