ニュージーランドが、新たに国旗を作ろうとしている。第2次世界大戦以来賛否が争われ、それこそ「風の静まる日のない」状態だったが、今回は具体的な図案まで用意され、近々国民投票を行うという。英国旗の意匠を基にした現在の国旗は「マオリ族をはじめとする少数民族に配慮していない」という原則論的な問題から「隣国オーストラリアの国旗としょっちゅう間違われる」という実際上の不便さに至るまで、批判が絶えなかった。1次投票を通過した新国旗には、過去160年にわたりニュージーランドの象徴と位置付けられてきたシルバーファーン(銀シダ)の文様が斜めに描かれている。シダの複葉は、ニュージーランドの平和な多文化社会を象徴しているという。植物が真ん中にある国旗としては、白地に描かれた赤いカエデが印象的なカナダ国旗が有名だ。ただし、カナダのカエデが持つ簡潔だが強力な効果を、ニュージーランドのシダが再現できるかどうかは分からない。
私は太極旗(韓国の国旗)が実に誇らしい。オリンピックで韓国選手が金メダルを取り、愛国歌(韓国の国歌)と共に大きな太極旗が掲揚されるときに感じるあふれんばかりの誇らしさは言うまでもないが、国際的なイベント会場にずらりと掲揚される数多くの国旗の中で、ことのほか目立つ太極旗を見るたびに感じるひそかなプライドもまた並のものではない。デザイン専攻ではなかったが、早くからデザインの重要性に目を向けた私にとって、太極旗は世界のどの国旗よりも圧倒的に優れたものに見える。
太極旗には、洗練されたデザインと奥深い哲学が共存している。乾坤坎離(けんこんかんり)の四卦は(しけ)、均衡と変異の絶妙な組み合わせだ。もし太極を中心に、同一の棒状の文様を四隅に整然と描いていたら、均衡の美は得られただろうが、変異の多様性は期待できなかった。韓国の太極旗は、英国旗の息詰まるような均衡感や日の丸の生意気な野心とは次元が違う。その一方でネパール、ブラジル、スリランカ国旗が持つような奔放さすらも、ひそかに現れている。しかし、これほど素晴らしい太極旗を作り出したかつての韓国人の創造性は、一体どこに消えたのだろうか。よみがえらせなければならない。それでこそ、韓国経済も創造的になれる。