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北海道電力が11月24日、2015年度の冬のボーナスの支給を見送ることで労働組合と妥結したと発表した。一方で、従業員の生活を支援する措置をとるという。報道によると、支援金の額は「月給1.4カ月分」。生活支援金という名称の印象とは異なって、意外に高額だ。
月給の1カ月以上の金額となると、「実質的ボーナス」ではないのだろうか。北海道電力が、「ボーナス」ではなく、「生活支援金」というかたちで社員に支払うのは、どんな理由があるのだろうか。北海道札幌市で開業する蝦名和広税理士に聞いた。
「ボーナス、すなわち『賞与』は、大多数の方が支給された経験があると思いますが、実は法律上は必ずしも企業に支給義務はないため、経営判断から、今回のように支給を見送ることが可能です。
北海道電力は、北海道古宇郡泊村にある『泊原発』の再稼働の見通しがない中で、2013年から経営改善の一手としてボーナス削減に白羽の矢を立てたようです。しかし、住宅ローンを抱える社員などの生活に配慮し、昨年冬からボーナスをゼロにする一方で、『生活支援金』と言う名目で支給が行われました」
生活支援金とはどのような制度なのか?
「皆さんが『生活支援金』と聞いてまず思い浮かべるのは、特殊な臨時ボーナスのイメージや生活支援のための給与のちょっとした上乗せなど、さまざまでしょう。しかし、今回は報道された通り、一般の中小企業のボーナスと遜色ないような一時金を支給するというものでした。
『ボーナス』と『生活支援金』は名称こそ異なりますが、所得税や社会保険料の控除でも、違いはありません。
この手法が取られた背景には、電気料金の値上げに対する消費者への理解や支援者へ大々的な経費削減を提示する必要があったこと。その一方で社員の労働意欲も保持する必要があり、そこには苦渋の選択があったと推測されます。
結果的には、燃料費の高騰や節電意識の浸透による収入の減少、電力の自由化など厳しい状況に置かれている中で、ボーナスの削減により、人件費総額の削減には成功しています」
しかし、支給されている金額から考えても、今回の措置は単なる名称の使い分けに過ぎないのではないか?
「『生活支援金』の支給は、昨年冬から始まり、この冬で3回目の措置です。2013年9月に電力料金を大幅値上げした際に、冬のボーナスを4割カットしたものの、支給したために批判が集まりました。
そこで、昨年11月の料金再値上げ時にボーナスをゼロにして、『生活支援金』の支給に変えています。しかし、単なる名称の使い分けのような印象が先行し、これにも批判が高まってしまいました。
初めからボーナスの大幅減額で対応していれば、ここまで批判は高まらなかったのではないでしょうか」
蝦名税理士はこのように指摘した。
【取材協力税理士】
蝦名 和広(えびな・かずひろ)税理士・特定社会保険労務士・行政書士
北海学園大学経済学部卒業。税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味は旅行、1児のパパ。
事務所名 : 税理士・社会保険労務士・行政書士 蝦名事務所
事務所URL:http://office-ebina.com