北朝鮮が長距離ミサイル発射=推定射程1万2千キロ超—沖縄通過、破壊措置実施せず
【ソウル時事】北朝鮮は7日午前9時31分(日本時間)ごろ、「人工衛星」の打ち上げと称して準備していた事実上の長距離弾道ミサイルを北西部の東倉里から発射した。韓国の韓民求国防相は射程について、推定1万2000〜1万3000キロとの見方を示した。前回ミサイルの推定約1万キロよりも伸びており、脅威が強まった。朝鮮中央テレビは「衛星の軌道進入に成功した」と報道。ミサイルは沖縄上空を通過したが、日本政府は破壊措置を取らなかった。安倍晋三首相は「断じて容認できない」と非難。米韓も明白な国連安全保障理事会決議違反だと強く反発している。
長距離弾道ミサイルの発射は2012年12月12日以来、約3年ぶり。今年1月6日の4回目の核実験からわずか1カ月後の新たな挑発で、朝鮮半島情勢のさらなる緊張は必至だ。
日米韓は、安保理で厳しい制裁決議の採択を目指す方針。安保理は日本時間8日未明、緊急会合を開き対応を協議する。
安倍首相は「明白な国連決議違反だ。国際社会と連携して毅然(きぜん)として対応していきたい」と記者団に述べた。この後、安倍首相は、日本独自の制裁発動を急ぐよう指示した。韓国の朴槿恵大統領も国家安全保障会議で「容認できない挑発行為」と批判し、強力な制裁決議を目指す考えを強調した。
ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は「言語道断の安保理決議違反だ」と非難。一方、中国外務省の華春瑩・副報道局長は発射に「遺憾」の意を表明しながらも、関係国に早期の対話再開も求め、情勢の緊迫化を避けるよう促した。
ミサイルは五つに分離し、午前9時37分から同45分までに、黄海や東シナ海、太平洋などの海上に落下した。分離したうちの一つが落下したのは、北朝鮮が国際機関に通告した区域外だった。
米国防当局者はミサイルが宇宙空間に達したもようだと述べた。朝鮮中央テレビは特別重大報道で、金正恩第1書記が6日に発射を命令したと報じた。同テレビによると、「地球観測衛星『光明星4号』は軌道を周回している」という。
[時事通信社]