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2016.2.7 SUN
PHOTOGRAPHS AND IMAGES COURTESY OF DOMINIC WILCOX
TEXT BY MARGARET RHODES
WIRED NEWS (US)
クリエイティヴに何かを追求する人たちは、自らの肩書をデザイナーや開発者、ときに職人とか何とか、と名乗ったりする。
しかし、シリアル用のロボットスプーンや、ステンドグラスの自律走行車といった数々の風変わりな作品を生み出しているドミニク・ウィルコックスは、自らを「発明家」と呼ぶ。ウィルコックスによると、発明家は一風変わったアイデアを生み出す人。そして、デザイナーはそれを形にする人たち、だという。
ウィルコックスは、故郷である英国サンダーランドにある大学に在学しているとき、指導教官からある本を紹介された。その本は、ちょっとばかりひねりが効いた発明に関する本で、何だか風変わりなものが詰まったワクワクする本だった。いまとなっては本のタイトルを思い出せないと彼は言うが、自身の飛び抜けたアイデアの原点となった本に間違いはない。
事実、それが彼の発明家としてのスタートだった。
現在、ロンドンを拠点に活動しているウィルコックスは、次世代を担う子どもたちのもつ「発明家の芽」を育てようと新しいプロジェクト「Inventors!」を立ち上げた。
「Inventors!」は、地元サンダーランドで昨秋に始まった子どものためのワークショップだ。
ウィルコックスは、全19回のワークショップの各回で、例えばGPS内蔵の革靴といった自身の発明を子どもたちに披露して、そのなかで子どもたちに「自分のアイデアを考えたり描いたりしてみない?」と問いかけた。そして参加した子どもたちが描いた600枚もののアイデアから60枚を選び、それらのスケッチを実際に形にすることを地元のデザイナーたちに依頼した。
ウィルコックスは、子どもたち自身が想像力豊かに考えられるようこのワークショップを構成している。「子どもたちが問題を考える、そういう風にしたかったんだ」と彼は言う。「自分が問題を抱えているかもしれないし、それは友達や家族かもしれない。例えば、彼らのおじいさんが椅子から立ち上がるのが大変、とかね」
ウィルコックスはワークショップについて、「とても気楽で、誰でも発言できる雰囲気」と言う。
彼はスケッチに矢印や説明を加えたり、それからどんな人たちが使うようになるのかも考えてみるように子どもたちを促した。「ただ、ありったけの努力でアイデアをひねり出すのです」と笑うウィルコックス。それからアイデアのデコボコした部分を実現するために改良を重ねるという。
ウィルコックスは、子どもたちが考えた60枚のデザインをサンダーランド在住デザイナーの小さなネットワークとつなぎ、そして子どもたちも実際そこに連れて行った。このコミュニティには、ものづくりネットワーク・FabLab(ファブラボ)や、地元大学の研究センターなども含まれている。そこにいる大人たちは小さな発明家に出会い、そして彼らをちゃんとクライアントとして扱った。
このプログラムでは、子どもたちのアイデアに実用性を求めてはいない。だからこそ、テントウムシ用の傘(上記ギャラリー#07,08)や、ランチタイムを知らせてくれる時計(ギャラリー#11,12)、速度を調節できるプログラム付のテニスボール(ギャラリー#03,04)といった面白い発明が生まれているのだ。
そのなかでも「Liftolater」(ギャラリー#01,02)は野心的で、地下壕にすべり台でつながっている近未来的なバイオドームが描かれている。「戦争から逃れたければコレ」とその説明書きに書かれている。
だが、すべての発明が奇抜なアイデアだというわけでもない。プリングルス・フック(ギャラリー#13,14)は、背の高いプリングルス缶の底からポテトチップスを取り出すのに役立つようデザインされていて、これはかなり使いやすく実用的だ。
ウィルコックスは、子どもたちにとって「Inventors!」が未知の創造性を探るチャンスになるとも捉えている。彼によると、例えば、部屋を掃除するロボットや、代わりに宿題をしてくれるペンなど…子どもたちの多くが似たようなアイデアから出発するという。
彼らの想像力を膨らませるようにして、そしてその発想を大人が真剣にちゃんと受け止める。これによって子どもがもつ本当の並外れた想像力へと導かれる、それがまさしくゴールなのだ、とウィルコックスは語る。「スピードを調節できるテニスボールをつくれるか? 可能性として将来的にはイエス、だろうね」と彼は続ける。
「ぼくたちオトナは、いまもってる知識の先を行くアイデアを子どもたちに伝えていくことが大事。そうすると、きっと子どもたちも自ら進んで楽しんで考えるんだろうね」
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