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群馬県のニュース

BOOWY、かまちも通った赤羽楽器 月末に閉店 高崎 

更新日時:2016年2月7日(日) PM 12:00
 1912(大正元)年創業の老舗楽器店「赤羽楽器」(高崎市あら町)が2月末で閉店する。3代目社長の赤羽正幸さん(73)が体調不良と後継者不在を理由に決断した。伝説のロックバンド「BOOWY」(解散)で活躍した同市出身の布袋寅泰さん(54)や松井常松さん(55)もかつて足を運んだ有名店。市民から閉店を惜しむ声が上がっている。

 赤羽楽器は、赤羽さんの祖父で長野県出身の若市さんが開業。生糸の仲買や時計販売を経て、レコードの販売や蓄音機の修理を始めた。旧陸軍の高崎歩兵第15連隊の兵士も休日にレコードを求めるなど、戦前も店内はにぎわったという。

 赤羽さんは数年間見習いとして働き、父の四郎さん、母の幸子さんから店を引き継ぎ、67(昭和42)年に社長に就任した。60年代にエレキブームやフォークソングブームが到来し、刺激を受けた若者が連日、ギターやアンプ、レコードの品定めに訪れたという。

 元BOOWYのベーシスト、松井さんも中高生のころ、同店でエアロスミスやビートルズのレコードを購入していた。松井さんは「小遣いをためてレコードを買うのが楽しみだった。赤羽楽器がなかったら、今の自分はいないかもしれない」と話し、「閉店は残念だが、高崎の音楽文化を長年にわたって支えられた。お疲れさまでしたと言いたい」とほほ笑んだ。

 ギタリストの布袋さんもデビュー前に同店を訪れていたほか、芸術の才能を持ちつつも17歳の若さで急逝した山田かまちもギターを買い求めたりしたという。

 閉店の知らせに、市民もショックを受けている。30年以上通っている同市江木町の城田一巳さん(87)は「演歌のテープをよく買いに来ていた。寂しい」と惜しみ、同市石原町の伊藤勝己さん(54)は「赤羽楽器のような地元の店がなくなるのはとても悲しい」と肩を落とした。

 赤羽さんは「高崎を音楽で彩りたいとの思いでやってきた。長い間かわいがってもらい、感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

 同店では閉店セールを実施中。楽器や楽譜が半額、カラオケテープなどが3割引きとなっている。問い合わせは同店(電話027・322・4497)へ。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

ギターを手に、常連客と談笑する赤羽さん(左)

 

1950(昭和25)年ごろの高崎市中心街。右に写る「赤羽レコード」は現在の「赤羽楽器」(田部井康修さん撮影、赤羽楽器提供)

 

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