【ニッポンの新常識】甘利氏辞任評価する日本人の心理 美徳や共通意識を他国に期待してはいけない (1/2ページ)

2016.02.06

甘利氏は閣僚辞任を表明した=1月28日
甘利氏は閣僚辞任を表明した=1月28日【拡大】

 日本人が「他人に迷惑をかけないように振る舞うこと」は、世界に誇るべき美徳である。実際、日本人の大半は、他人に迷惑をかけることを極端に嫌い、そうならないよう無意識のうちに行動する。「空気を読む」ことも、その一部である。

 甘利明氏が経済財政担当相を辞任したのは、日本国の運営に迷惑をかけたくないという思いからだろう。秘書はともかく、甘利氏が受け取った金額は大きくないし、疑問を感じる告発の意図と手法を考えれば続投できたかもしれないが、電撃的に辞任した。

 この「潔さ」も日本人が好む美徳なので、野党の期待とは裏腹に、甘利氏の辞任後、内閣支持率は4・3ポイントも上昇し、53・7%となった(共同通信)。

 一方、民主党の支持率は下落していた。私は、最近の野党は「日本人特有の心理」をまったく理解していないと感じる。

 このほか、私が「日本人特有の心理」と感じていたものに、「嘘」に対する考え方がある。

 日本人は「自分を利する嘘は『悪』だが、他人を利する嘘は『善』だ」と考えている。つまり、「嘘つきは泥棒の始まり」の嘘は前者であり、「嘘も方便」の嘘は後者なのだ。2つのことわざに矛盾はない。

 童話「泣いた赤鬼」は、人間と仲良くなりたい赤鬼のために、友達の青鬼が悪役を演じて、赤鬼をヒーローにする話である。青鬼の嘘を非難する日本人はいないだろう。これが友達の利益のための嘘だからである。赤鬼の幸せを願い、自己犠牲的に悪役を演じ、赤鬼に黙って姿を消した青鬼は、日本人の美徳を凝縮したような存在である。

 

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