本当にたくさんの温かいコメント、ありがとうございます!
本気論・本音論、通常運転に戻ります。


清原容疑者のニュース。
テレビや新聞のあまりにも浅すぎる取り上げ方が多すぎ、少し辟易としています。皆さんも同じではないでしょうか?

清原容疑者、逮捕までの1200時間!
清原容疑者、スターから転落した人生!

…いや…それが悪い訳じゃないんですが…それって…そんなに見たい?もうとっくにお腹いっぱいなんですが…。

清原容疑者は「覚せい剤取締法」という法律に違反した「犯罪者」です。(もちろん刑は確定していませんが、現行犯であること、本人も認めているという報道から面倒くさいのでこう表記します)
なので、叩くのは勝手ですしそれでもいいんですが、ちょっと待ってくれ、と。

殺人ではありません。
暴行でもありません。

この犯罪には『直接的な被害者』が存在しません。
私は「違法麻薬のニュース」を見るたびに思うことがあります。皆さんもどうか、忘れないでいただきたいのです。

清原容疑者は「犯罪者」なのです。それは確かです。
しかし、「加害者」ではありません。彼は…『被害者』だと思うのです。

この発想は、長らく違法麻薬と戦い続けてきているアメリカではすでに浸透している価値観で、この価値観を素っ飛ばしてしまうと、現状が何も改善されないのです。


覚せい剤犯罪の再犯率は…驚異の64.5%!

私がそのように主張しているのは、日本の覚せい剤犯罪の再犯率の尋常ではない高さにあります。最新のデータを私の担当しているテレビ大阪の『ニュースリアル』でも紹介したのですが、日本の覚せい剤犯罪の再犯率は、なんと64,5%にものぼります。(5年以内の再犯率でもおよそ5割です)

ええ?3分の2の人は再犯しているの~?

いえいえ、違いますよ?これはですね…「再犯として捕まった人」だけの数字です。要は、「捕まっていない人間はカウントされていない」のです。
私は推測ですが、覚せい剤事件を起こし、初犯ということで執行猶予が付いた人間の…7割…いえ、8割ほどはもう一度手を染めているのではないか?と推測しています。だって「再犯」で捕まっているだけで64.5%なのですから。

簡単に言うと、日本、覚せい剤に対して取り締まる気がないのですよ。
本気で取り締まろうと思えば、警察が本気を出せば覚せい剤事件なんて、もっと減らせるんです。

なのに、やる気がないのです。全く。再犯64%って、そういう数字です。一部の噂では、警察も暴力団組織と一部でつながっていて、大きな資金源である以上、黙認してるんじゃない?なんて噂もありますが、ホント、そう考えたくなります。


アメリカの取り組み

しかし、これがアメリカですと、あまりにも状況が違います。
アメリカはすぐ南にメキシコがあるものですから、違法麻薬とは、長年戦い続けてきた歴史があります。特に1981 年に就任したレーガン大統領は「麻薬との戦争 (War on Drugs)」政策っていうんですが、中毒治療のための予算を減らす一方で麻薬犯罪者の投獄を推し進めまくったんです。(その結果、アメリカ中の監獄が定員オーバーになるんですけど…)

でも、そこで終わらないのがアメリカでした。

1989年なんですが、フロリダのマイアミにアメリカ初の「ドラッグコート」ってのを作るんです。

…何それって?

いやいや!こういうことをちゃんと学んで報じるのがニュースの役割なんです。そもそも、清原の転落人生とか、ただの視聴率稼ぎですから!
「ドラッグコート」ってのは…要は「麻薬中毒者に特化した裁判所」って感じだと思ってください。専門的に言うと「治療的法学(Therepeutic Jurisprudence )っていう理論を応用した場所なんですが、

そもそも、麻薬中毒者って「犯罪者」だけれど、同時に「被害者」じゃね?

っていう発想から「ドラッグコート」では、裁判官の監督に基づいて「ドラッグ・トリートメント及びリハビリテーション」が専門的に実施されます。犯罪者にはなんと

「刑罰」と「治療」を選択させる

上、ちゃんと治療を選択した場合、懲役をさせない代わりに更生プログラムの参加を義務付けて、更生プログラムを終了したら「公訴を免除」されたり「薬物逮捕歴を抹消」されるという特典が用意されているんです。

ちなみに、2009年12月の時点で全米で2301ものドラッグコートが稼働しています。


なぜ日本にドラッグコートが作られないのか!?

アメリカと日本では、あまりにも覚せい剤犯罪に対する取り組みへの真剣さが違いすぎます。日本人は「何かミスをした人間をバカにして笑いものにすることが大好き」な人たちが多いのですが、あまりにも下品で悲しい感性と言わざるを得ません。

今は下品なサイトなどで、私のことを「嘘つきだ」とか「謝罪しろ」とかネットに書き込んでいるだけの情けない人たちがそこそこいるようですが…私だって人間です。これだけの分量、これだけのコラムを書いていれば、当然、時としてはミスもあれば、間違いもあることでしょう。そこで大切なことは「きちんと認めて謝罪し訂正すること」だと思っています。

私は誠意をもってその対応をしたつもりですが、必死になって私をバカにして喜んでいる、トイレに落書きするしか能のない連中が結構いるでしょ?そういう人たちって、何か一つでも叩けるネタがあると飛びついて喜ぶんです。自分は何も出来ていなくても。そんな連中、汚物に群がるハエと同じレベルの連中だ。そんな寒い連中が

「清原の転落人生」

とかをやってると喜ぶわけです。大喜びするんです。こっちにおいで~みたいな感じで。
情けない限りです。そんな連中をテレビが相手にしてどうするんだ、と問いたい。

私は、清原容疑者を笑わない。

じゃあ、彼を笑蔑んでいるハエ軍団は彼と同じ実績を残せるのか?絶対に出来ないはずだ。そんな彼が何故落ちたのかを検証し、問題を解決するために動くべきだ。

清原容疑者は初犯なので執行猶予が付くことでしょう。あのスーパースターを、どうやって更生させて、どうやって再生させるのか。そこを考え・実行するのが「先進諸国」の姿勢です。今のままの日本のシステムだと、国として何の取り組みもされていないに等しく、再犯を促しているようにすら思えるほどです。

犯罪者は法廷で裁かれなければいけない。
が!
被害者であれば、送られる先は病院や厚生施設であるべきだ。

清原容疑者を叩いて喜んでいるうちは、日本の取り締まりは絶対に前進しない。私はそう断言します。もうどれだけそんな低レベルの報道が繰り返されているのか。その度に通り一遍のコメントをしていてもしょうがない。

清原容疑者を産んだのは、日本の「全く麻薬を取り締まる気のない国自体のシステム」だ。少なくとも私はそう考えています。