画像提供:アニマルライツセンター

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今年1月末、ファミリーマートは「ファミマプレミアム黒毛和牛入ハンバーグ弁当~フォアグラパテ添え」(690円)の発売を見合わせることを発表した。発売予定日の4日前という急な発表で、理由は一部の消費者から「諸外国におけるフォアグラに対する見解の違い」「フォアグラの生産過程」について内容の指摘があったからだとされる。この発売見合わせには賛否があがり、また同時期にネット上では、あるNPO法人が作成した「動物はあなたのごはんじゃない」というキャッチコピー付きの画像に注目が集まり、批判も多く上がった。

なぜ、「動物はあなたのごはんじゃない」のか? その意味を確かめるべく、このNPO法人「アニマルライツセンター」に取材を申し込んだところ、代表理事の岡田千尋さんと理事の長井英明さんにお話を伺うことができた。

フォアグラ、欧州評議会では1999年に生産禁止の決定

――まず、フォアグラ弁当の件についてお話を伺いたいです。抗議は団体として行ったのですか?

岡田千尋さん(以下、岡田):団体として東京でフォアグラ反対デモを計画したことはありますが、ファミリーマートさんへの抗議は個別に行いました。私は「生産方法をご存知なのでしょうか。ご存知であれば辞めていただきたいです」という内容の電話をお客様相談室にかけたほか、メールでも連絡をしました。

――抗議のきっかけを教えてください。

岡田:フォアグラの問題には数年前から取り組んでおり、フォアグラを提供するレストランに個別に働きかけを続けていました。フォアグラの生産方法は、動けない状態の鳥に強制給餌を行い、通常の10倍以上に肝臓を肥大させるという残酷なものです。このため、35カ国が加盟する欧州評議会では1999年に「すでに定着している場合を除き」生産が禁止されています。アメリカのカルフォルニア州でも2012年以降は強制給餌によって作られた製品の販売が禁止され、フォアグラの主な産地であるフランスでも約44%が「規制をすべき」と答えたという意識調査もあります。

欧州が規制をかけ、フランスがもともと持っていた市場が失われつつある一方で狙われているのが日本市場で、一昨年ぐらいからフォアグラの輸入量が増えつつあります。そのなかで、ファミリーレストランが提供を始めたり、お菓子にフォアグラパウダーが入っていたり、低価格化が進み始めました。さらに今回、全国展開のコンビニエンスストアがこういった商品を発売するということで、犠牲数が計り知れないのではないかと思いました。

画像提供:アニマルライツセンター

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エシカルなフォアグラならOK?

――エシカル(倫理、道徳に反しない生産方法で作られた)なフォアグラもあるのではないですか?

岡田:エシカル、アニマルウェルフェア(動物福祉)に乗っ取って育てる生産方法は、渡りの時期に少し肝臓に脂肪分が多くなるときに殺して取る、というものです。30センチの鉄の棒を口から突っ込んで食べさせる強制給餌とはまったく違います。私はビーガンなので(エシカルな方法で作られたフォアグラであっても)食べることはありませんが、エシカルな生産方法についてはそれ自体をすぐさま否定するものとは思っていません。ただ、この方法は大量生産に向いているものではなく、一般的に出回るフォアグラはほぼ強制給餌で作られたものです。

長井英明さん(以下、長井):アニマルウェルフェアに配慮してつくられるものは生産コストがかかりますし、販売されるときも値段が高いです。そのため多く出回ることはありません。

岡田:肝臓が10倍に膨れ上がるということを自分の体に置き換えてみたら、どんなに残酷なことかわかると思います。鳥たちの肝臓は1週間程度で10倍に肥大させられるのですが、肺が圧迫されて死んでしまう子もいます。どう考えても倫理的な方法ではないんです。

――フォアグラ以外で問題視されている食べ物はあるのでしょうか?

岡田:たとえば、仔牛肉や、霜降りの和牛については批判があります。仔牛肉は柔らかいお肉がよろしいということになっていますが、そのために鉄分を取らせず、閉じ込めて動けなくすることがあります。霜降りも同じで、鉄分を摂らせず運動させずという状態にさせられるので、目が見えなくなってしまう牛もいて、残虐性が高い。鶏卵については満員電車のようなところに入れられて、ほかの鶏に踏み潰されて死んでしまうような子がいる状態で卵を産まされる。大量生産を目的とする畜産においては個々に残虐なシーンはあります。ただ、フォアグラの場合はアニマルウェルフェアに配慮したものは渡りの時期以外では作りようがないけれど、卵などについてはアニマルウェルフェアに配慮してもおいしいものをつくることができる。代替のものがあるというところが違うかなと思っています。

必ずしも肉を食べないわけではない

――活動内容についてお聞きしたいのですが、何人ぐらいで活動をされているのでしょうか? 皆さんベジタリアンやビーガンなんですか?

岡田
:アクティブに活動しているのは20~30人です。私自身はビーガンですが、ゆるめにやっている方もいるし、毛皮には反対しているけれど、お肉は配慮しながら食べるという方もいます。団体の活動に参加するなら絶対にビーガンになりましょう、というわけではありません。

――活動の中で、毛皮のように比較的理解されやすい問題と、理解されづらい問題があると思うのですが、フォアグラに関してはどうでしたか?

岡田:フォアグラに関しては、生産過程の動画を見ていただいた方はほとんど理解していただいたと思います。ファミリーマートの件がある前から動画の再生回数は非常に多かったです。ただ、私たちの取り組んでいるビーガンや菜食に関する批判はありました。

長井
:フォアグラというより、「動物はあなたのごはんじゃない」というフレーズを掲げていることに対して、「それでは何を食べているのか教えてください」「魚はどうなんですか? 植物は?」という内容の質問は多かったですね。

>>【後編につづく】「動物はごはんじゃない」ってどういう意味?

小川 たまか/プレスラボ