吉田拓史、岩波精
2016年2月7日10時47分
沖縄県の石垣市役所ではJアラートが鳴った瞬間、出勤していた防災危機管理室の職員や情報連絡のために待機していた自衛隊員ら約10人に緊張が走った。直後に役所の防災無線が「先ほど北朝鮮が人工衛星と称するミサイルを南方向に発射しました」と伝えた。やがて、2回目のJアラートが鳴り、ミサイルが周辺上空を通過したとの情報が入ると、職員が「上空を通過しました。破壊措置実施はなしです」と中山義隆市長に伝えた。
中山市長は取材に「島に直接的な被害がなかったのでほっとしている。今回の行為は非難されるべきもので、政府に対してはしっかりと国際的な抗議、対応をしてもらいたい」と話した。
石垣港ターミナルにはマスメディアや地元住民らが対岸の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を見守った。ミサイルが発射されたとの情報が入り、自衛隊員とみられる人や車両が行きかい、慌ただしい様子になった。通過が伝えられた後、近くに住む無職の田村元伸さん(60)は少し安心した様子で「何かの不具合でこの辺に落ちたらと、それだけが心配だった」と話した。(吉田拓史、岩波精)
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午前9時33分、宮古島市役所3階に設けられた危機管理対策本部向かいの会議室から飛び出した自衛官が「発射確認です」と告げると、対策本部で待機していた職員3人は一斉に立ち上がった。庁舎内にアラーム音が響き渡り、Jアラートの赤いランプが点滅した。
同41分、再び会議室から出てきた自衛官が「多良間西方を通過」と報告。その1分後にJアラートが通過を報じた。
下地敏彦市長は「何事もなく通過して一安心。国際社会が申し入れても発射するのは挑戦だと思う。国際社会と協調した国造りをしてほしい」と述べた。2012年についで通過地点となった先島諸島。下地市長は「飛ばす方向は北朝鮮が決めることだが、これ以上撃ってほしくない」と話した。
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福岡市防災・危機管理課では午前9時35分、緊急情報ネットワークシステム(エムネット)にメールの受信音が響き、待機していた職員2人が市民向けの防災メールを送った。
午前9時37分にはミサイルの発射を伝える第1報、7分後の第2報ではミサイルが沖縄上空を通過したこと、午前10時6分の第3報で、政府が公表した総括を市民に伝えた。
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沖縄県庁では、「多良間島の上空通過」「太平洋上に落下物」などとエムネットが断続的に情報を伝えるなか、職員らが各自治体などとのやり取りに追われた。県によると、県内全市町村がJアラートを受信。午前10時24分時点で全市町村から被害状況を確認し、落下物や被害の情報がないことを確認したという。
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朝日新聞国際報道部
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