北朝鮮がミサイル発射、沖縄県上空通過、破壊措置なし-日本政府 (1)
2016/02/07 11:25 JST
(ブルームバーグ):日本政府は北朝鮮の「人工衛星」 と称する弾道ミサイルが発射されたと発表した。物体の一部は沖縄県地方上空を通過し日本の南2000キロメートルの太平洋上に落下したという。
総務省消防庁の発表によると、北朝鮮は弾道ミサイル1発を7日午前9時31分ごろ同国西岸で発射。太平洋上のほか朝鮮半島西の黄海や南西の東シナ海など、これまでに計4つの落下物が洋上に落下したと推定されている。沖縄県内の消防本部や市町村からは落下物情報や被害情報はないとしている。NHKが伝えた政府の情報によると、このミサイルは5つに分離したという。
安倍晋三首相は記者団に対し「北朝鮮に対し、自制を求めてきたにもかかわらず、ミサイル発射を強行したことは断じて容認できない」とコメント。「明白な国連決議違反」で、「国際社会と連携して毅然として対応」する方針を示した。発言の様子はNHKが中継した。米国のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)も北朝鮮のミサイル発射を非難する声明文を発表した。
菅義偉官房長官は同日午前に会見し、現時点では国内に弾道ミサイルからの落下物はないと発表。また、北朝鮮に厳重に抗議し強く非難する方針を示した。さらに、航空機や船舶の安全確認の徹底や、不測の事態に備えて万全の態勢を取るよう安倍首相から指示があったと話した。
防衛省は日本国内に落下する場合に備え、ミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令を発令し、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を沖縄県内や首都圏に配置して警戒に当たっていた。NHKによると自衛隊は破壊措置を実施していないという。
北朝鮮は当初、「人工衛星」を8-25日に打ち上げる計画を国際海事機関(IMO)に通告。その後、7-14日に変更していた。北朝鮮は1月6日には核実験を実施。国連安保理が新たな制裁を議論しているほか、日本政府も独自の追加制裁を検討している中でのミサイル発射となった。
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更新日時: 2016/02/07 11:25 JST