映画「ア・フュー・グッドメン」のあらすじ,ネタバレ,レビュー
原題:
邦題:
原題訳:
製作年:
製作国:
上映時間:
ジャンル:
監督:
あらすじ
海軍弁護士のキャフィ、サム、ギャロウェイ少佐はドーソン上等兵長、ダウニー一等兵の二人を弁護することになった。罪状は殺人。同じ基地の兵士を殺したというのだ。毒のついた布を口にくわえさせて。だが、彼らは命令されて暴行を加えただけで、毒などつけてないという。その命令は“コード・レッド”と呼ばれ、怠惰な兵士に暴行などを加えて更正させようというものだ。キューバの彼らの基地に行って上官のジョセップ大佐と会う。傲慢な彼の態度に不快を覚えるキャフィ。
裁判を進めるがなかなか巧くいかずどうしても無罪が立証できない。だが、“コード・レッド”は出され、大佐は権限を利用していろいろな証拠をもみ消したのが分かった。この命令がジェセップ大佐から出されたと証明できれば無実にできる。だが、彼を証人に立たせて証言するように挑発しても失敗すれば軍法会議にかかり自分の将来も危うくなる。しかし、彼らの無実と自分の尊厳のため、キャフィは大佐を証言席にたたせるのだった。
説明:
ストーリー・ネタバレ
ハーバード大学卒の海軍弁護士ダニエル・キャフィ中尉は法廷で争うとこをせずに検察側と取引をして被告人に利益をもたらす半人前の弁護士。彼の父ライオネル・キャフィは鬼籍だが海軍弁護士として非常に優秀であった。息子キャフィの父への思いとは…。
キューバのアメリカ海軍グアンタナモ基地で殺人事件が起こった。被害者は兵士ウィリアム・サンティアコ。落伍兵としての評価が軍内にあったサンティアコが同僚の兵士ドーソン上等兵と彼を慕うダウニー一等兵に毒殺されたという。更に、その裏には“コードR(コード・レッド)”と呼ばれる体罰を加えてその行動を正すという命令が発せられたらしい。この事件のことを聞いた内務調査部のジョアン・“ジョー”・ギャロウェイ少佐は自身の能力を発揮するために弁護を引き受けたい旨を上官に伝えるも、上層部の判断で被告人はキャフイ中尉を主任弁護人として罪状認否が行われることになりなった。キャフイは同僚サム・ワインバーグを伴ってジョーの元を訪れた。事件の表面だけを見てみればこのまま争うと殺人罪で終身刑が避けられない。キャフィは“お得意”の取引で数年の懲役刑、実際は6ヶ月程度で仮釈放という好条件を得てクローズしたいと言った。被告人達を考えると受け入れられないジョーはキャフィに文句を言うのだった。
改めてドーソン上等兵とダウニー一等兵の弁護士となったキャフィ、ジョー、サム。キャフィはサムを連れ被告人達本人と面会した。ドーソンとダウニーも非常に軍規に対するリスペクト精神を持ち等にドーソンのそれは並々ならないものがあった。またダウニーはドーソンを上官また友人として慕っている。そんな彼らが…!?キャフィはコードレッドについて口にすると、被害者ウィリアム・サンティアコは規律を破ったために被告人達が“教育”したと言った。キャフィとサムは打ち解けない彼らに苦笑いを浮かべながらその場を後にした。
事件の真相を調べるためにグアンタナモ基地へ飛んだキャフィ、ジョー、サム。この基地の司令官であるネイサン・R・ジェセップ大佐に会って話しを聞くも彼はコードレッドの命令は出していないと言った。逆に様々な基地に転属願いを出す被害者と彼の“チクリ”により、命の危機があると感じたジェセップは“手を出すな!”と部下達に命令したと言う。そして転属願いにも許可を出したと…。その後証拠資料の提出を求めたキャフィに対して尊大な態度で“請え”と言ったジェセップであった…。
再び被告人達に会ったキャフィは、大佐の“手を出すな!”という命のことを言わなかった2人を叱り飛ばした。事件捜査は振り出しに戻るのか?だがドーソンは上官のジョナサン・ジェームズ・ケンドリック中尉がコードレッドを命令したと言ったのだ。それを立証出来るのか?立証出来ずに争えば終身刑だ。それと天秤にかけ、検察側のジャック・ロスと話して6ヶ月の仮釈放が可能であることを話したキャフィだったが2人の兵士は取引を拒絶した。“命令・規律に従っただけだ。悪いことなど何もしていない!”怒りと呆れでその場を後にしたキャフィだった…。
判事の法廷に集まった被告人弁護士、そして検察側。全面的に争う姿勢を見せる被告側に対して検察側は軍規律違反での重罪として訴えた。これにより被告人ドーソン上等兵とダウニー一等兵に対する軍法会議が開かれることになった。さあキャフィにとって初めての裁判だ。気合いを入れジョーとサムを鼓舞するキャフィだった。
グアンタナモ基地からはキャフィの一番の部下と言っていいマーキンソン中佐が姿を消していた。中佐の居場所も含めて様々な観点から事件に向き合う3人にとって時間は直ぐに過ぎて初めての公判となった。
被告人側として主任弁護士のキャフイが、検察側としてキャフィのことをよく知るジャック・ロス大尉がそれぞれ概要を陪審員に説明。その後3人の証人が呼ばれた。キャフィはコードレッドがあったと言うことを立証しなければならない。だが証人達はそれがあったとは言わない。また証人の一人の軍医に対しては毒殺自体を問うキャフィ。法廷に不慣れなジョーも熱くなり口を出すが有力な証言は得られなく休廷となった。
次回公判の前にカニ料理店で思いをぶつけ合うキャフィとジョーだった。
今度は伍長が証人として呼ばれた。コードレッド言う言葉など知らない陪審員達であるが、ソレがあったと争うキャフィに対してジャックはそれ自体がない物だと巧みに証言を引き出そうとするがキャフィがそれを打ち崩して休廷。
夜中にキャフィの車に姿を消していたマーキンソン中佐が現れた。大佐の嘘と実際に起きたことを告白する中佐にキャフィは証言する様に言って中佐の身の安全を確保する措置をしたキャフィ。
その後検察側ジャックと会ったキャフィは大佐を証言席に座らせて真相を話させると言ったが、ジャックはそれが身の破滅に繋がると警告するのであった。
法廷。今度は被告人達がコードレッドの命を受けたというケンドリック中尉が証言席に座った。挑発をしてボロを出させ真実を言わせようとするが中尉は怒りはするがコードレッドを命じたことは言わなかった…。そして休廷。
キャフィ、ジョー、サムはジェセップ大佐がその権力を利用して普通では出来ない証拠隠滅までしていることを知る。大佐自身がコードレッドの“大元”であることが如実に分かる…。マーキンソン中佐にあったキャフィは真に彼の証言が必要だと促したが…キャフィが去った後に銃を咥えて自殺を…。
法廷の証言席に立ったのは被告人ダウニー一等兵だった。検察側のジャックは“時間の矛盾”などを責めるとダウニーは口籠もり慕うドーソン上等兵を見る。ドーソンの一喝の後ダウニーへのコードレッドの命令はドーソンからだったと証言するのであった…。そして休廷に。
マーキンソン中佐の死を知り裁判で勝てないと感じたキャフィは酔っ払っていた。そんなキャフィに最後まで諦めない様に説得するジョーだったが彼女の言葉は右から左へ…。彼女は出て行ってしまう。その後、友人であるサムにも温かい言葉で励まされたキャフィはジョーの後を追い、弁護団の空中分解はなくなった。翌日酔いの覚めたキャフィは“とある作戦”を思いつきサムと共に行動に移した。
さぁ、いよいよジェセップ大佐が証言台に!その前にジョーは無茶をするなとキャフィを気遣うがキャフィには心に秘めた事が…。
キャフィの命を受けていたサムが中々現れない中、ジェセップ大佐に質問するキャフィ。幾分か上官であるジェセップを怒らす様な発言もしてすかさず検察側ジャックからは異議が出る。だがサムが制服を着た2人組を連れて戻るとキャフィは攻勢に出た!この2人に訝しそうに目をやるジェセップ。この2人組とは一体…!?
結末・ラスト
確信めいた事を言わない…言えない…のか。席を立つジェセップをキャフィは止めた!ジェセップが改竄した真実を新たな証拠として提出し発言の矛盾を追及する!それも怒らせる様に!“コードレッドは貴方が出したのか?”そう問うキャフィに対してジェセップはそれを認めた!尊大・横柄なジェセップはいかに自分によってアメリカが守られているかも話す。結局ジェセップは訴追されることになりグアンタナモ基地に戻ることはなかった…。
陪審員からの評決が裁判長から読まれた。殺人と殺人共謀については無罪になったが軍規倫理違反については有罪が申し渡され懲戒除隊の処分が言い渡されたドーソン上等兵とダウニー一等兵。命令に従っただけである2人の顔は“絶望”という影が…。だが狼狽えるダウニー一等兵にドーソン上等兵は自身等の過ちを認める様に言った。人間としての“尊厳=dignity”だけは守られた。キャフィに軍人としての最後の敬礼をして法廷を後にしたドーソン上等兵。最後に話しかけてきたジャックに対して、連れてきた2人はタダの顔の良い軍人だと明かしたキャフィ。誰もいなくなって法廷を見回したキャフィの思いとは…。
レビュー・感想・解説・評価
リンクについて
~~~(矢印と破下線のリンク)は、T's Theaterでレビューしている映画作品や紹介している俳優等、全て内部リンクです。
軍隊を舞台にした法廷ドラマ。法廷とその準備を中心に添えながら倫理観や自分を見つけるということを描き肉付けしていく。ジャック・ニコルスンが大佐役でキャフィ役のトム・クルーズと対決する。ニコルスンがおみごとというか素晴らしく演じているのだが、toikunは、この映画はクルーズの映画だと思った。映画がニコルスンを(もしくは本人が)、クルーズに譲らせたと思う。脇で出ても存在感は抜群のニコルスンだが、どうも脇では見ていてパッとしない気がする。それはtoikunだけが思うことだろうか。
またデミー・ムーアがキャロウェイ中佐を演じているのだが、何の感情もわかなかった。toikunには彼女が素晴らしい女優かどうかはまだわからない。ただこの役がよかったかというと“ノー”と答えざるを得ない。
法廷ものが好きなtoikunにとって、法廷のやりとりはおもしろかった。学力があれば弁護士にでもなりたかったのだがね。でも、かなり影響されやすいタイプ。
なお、キーファー・サザーランド、「ER」のノア・ホワイリーと、「ザ・エージェント」でクルーズと再共演を果たしたキューバ・グッディング・ジュニアも出ています。
1999/09/07
以下、17年ぶり2016年の再レビュー。上記の“ニコルスン”とか“デミー・ムーア”、“ノア・ホワイリー”という表記はT's Theaterに何回か来たことある方ならお分かりかと思いますが映画雑誌『スクリーン』の影響です…。直している最中ですが。
名作スリラー「ミザリー」やスター豪華共演作「ノース ちいさな旅人」、ヤモメ大統領の話「アメリカン・プレジデント」、人種モノ「ゴースト オブ ミシシッピー」、そしてジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの素晴らしい共演作「最高の人生の見つけ方」などのロブ・ライナーが監督した法廷スリラー。
脚本を務めるアーロン・ソーキンの同名舞台を映画化した作品だ。ソーキンについては何れも脚本を担当した作品「冷たい月を抱く女」、「アメリカン・プレジデント」、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」をレビューしている。なお、ソーキン自身が酒場のシーンでカメオ出演している。
前回挙げなかったキャストも含めまして再度挙げるべきキャストを!
・主演はトム・クルーズ。スーパースターなんて“形容”は彼にあるもの。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」は良く出来たアクションだった。アカデミー賞について挙げると現在の所受賞はないが「7月4日に生まれて」、「ザ・エージェント」、「マグノリア」でノミネートしてます。それなりにレビューしていますのでコチラから☆
・なんつーか彼のアイデンティティー的な尊大な軍人…ジャック・ニコルソンが演じている。ノミネートのみは多すぎるので挙げないが「カッコーの巣の上で」、「愛と追憶の日々」、「恋愛小説家」のオスカーウィナー!名優ですね☆
・女性ながら綽名はジョーです…な役柄を演じたのはデミ・ムーア、デミムー!アンマリ好きではないと散々申し上げておりますが…元夫婦共演作「愛を殺さないで」、文学作品「スカーレット・レター」、怖い怖いスリラー「陪審員」など。彼女「G.I.ジェーン」で丸刈りの軍人を演じています…。
・検察側ジャックを演じたのはtoikunの栄光の90年代の一人ケヴィン・ベーコン。近作「ラブ・アゲイン」と「TAKING CHANSE/戦場のおくりびと」をレビューした。後者はテレビ映画ながらtoikunの超オススメとなっている。「アポロ13」など。
・同僚サムを演じたケヴィン・ポラックはやはり「ユージュアル・サスペクツ」で“5人の容疑者の1人”が印象深いかな。「気まぐれの狂気」など。
・自殺した軍人を演じたJ・T・ウォルシュはもう既に故人。「ミザリー」ではノークレジットだった彼を発見出来たtoikunはウォルシュ好きなのか!?「交渉人」での犯人達に無残に殺され…。「バック・ドラフト」では消防署の予算削減を試みた彼のせいで…。そんなウォルシュの「グリフターズ/詐欺師たち」でのグリングリンな笑顔は他の作品で見られるのであろうか?
・後のテレビシリーズ『ER』で有名になったノア・ワイリーがキャフィ達を乗せて運転したり裁判で証言したりしてます。当時BS放送なんか入ってなかったtoikunは『ER』の第1シーズンがNHKでやっていて“早く地上波に来ないかなぁ…”って首を長くして待っていた。で、やっとこさ週一深夜にやってくれたので第1シーズンは全部ビデオに撮ってみた!禿げたアンソニー・エドワーズ、女好きジョージ・クルーニー、イザコザでクルーニーと分かれるジュリアナ・マーグリーズ…懐かしい!ジュリアナは「ミッドナイト・ガイズ」でも看護婦を演じていて昔を思い出したtoikunだった☆
・すっごーく剃り上げて忠誠心を示す軍人にtoikun大好きキーファー・サザーランド。大好きって言っても彼のテレビドラマ『24』は第1シーズンを2話まで見て脱落した。別にツマらなくはなかったんだがなぁ。「テイキング・ライブス」の勘違いされちゃった人、「フォーン・ブース」でリアルな顔は出なかったけども声で脅した犯人、「ザ・バニシング-消失-」の監督自身のハリウッドリメーク「ザ・バニシング 妄想は究極の凶器」など。
・そして前述したが「ザ・エージェント」でトム・クルーズと再共演しアカデミー助演男優賞を受賞したキューバ・グッティング・ジュニアがノークレジットではないが例によって大きなクレジットではなかったので上に明記した。両作とも史実を元にした人種もの「大統領の執事の涙」と「グローリー/明日への行進」に出演している。
ハイな!
久しぶりに見て8/10点という評価は変わりませんでした、ソレだけtoikunの評価は高い映画作品。今を知ると豪華スター共演なワケで、映画ファンとしてそれを目当てに手に取って昔鑑賞したtoikunのキャストの満足感と映画自体の満足感は凄かっただろう。覚えていないけどね!
クルーズは「ハスラー2」でポール・ニューマンに、「レインマン」でダスティン・ホフマンにオスカーをもたらし“ラッキー・ボーイ”と呼ばれたわけだけどニコルソンがノミネートだけで終わった理由は何故でしょうか?申し分無しだがねぇ。苦虫を噛み潰したような表情のニコルソン、後にも先にも(2016年時点)クルーズとの共演作は今作だけなのは受賞出来なかったからかしらん?
J・T・ウォルシュ演じる軍人が自殺したことは何故?明確な理由が言葉で…彼自身のナレーションが流れるが兵士の死に責任を感じたってこと?これもうチョット彼自身について描いてきたら良かったのにね。唐突感を否めない。そんなんだったら証言しちゃえば良かったのに!でもそうしたら最後のクルーズとニコルソンの対決=一番の見所が無くなっちゃうし?
今作の翌年1993年に民間の弁護士を演じた「ザ・ファーム 法律事務所」という作品があるトム・クルーズさん。どの作品でも太陽に光り輝いていますが、“奇行”などなくヒーローなクルーズを見られる良い時代ですネ!
2016/02/07
by toikun.