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 北朝鮮は7日、平安北道(ピョンアンブクト)・東倉里(トンチャンリ)から「人工衛星の打ち上げ」と称してミサイルを発射した。韓国軍が明らかにした。長距離弾道ミサイルとみられる。1月6日には4回目の核実験を実施したばかり。日米韓は発射を非難し、国連安全保障理事会も緊急会合を開いて、対応を協議するとみられる。

 北朝鮮は当初、8~25日の日本時間午前7時半~午後0時半の間に「衛星を打ち上げる」として、国際機関に落下予測海域を通知した。1段目が韓国南西部・全羅道の西方沖、「衛星」をカバーする先端部が韓国済州(チェジュ)島の西方沖、2段目がフィリピン・ルソン島の東方沖だった。その後、期間を7~14日に変更した。

 北朝鮮は、これまでの安保理決議で弾道ミサイル技術を利用したすべての発射が禁じられている。人工衛星の打ち上げと弾道ミサイルの発射は技術的には同じで、今回の発射も安保理決議違反になる。朝鮮半島の緊張を高めることにもなるため、日米韓などは発射を自制するよう求めていた。

 北朝鮮は長距離弾道ミサイルの開発を続けており、発射するのは2012年12月以来。米国の脅威に対抗し、金正恩(キムジョンウン)体制を維持するため、核兵器の運搬手段を開発する狙いがある。落下予測海域が前回とほぼ同じことから、今回発射したのは前回と同じ「テポドン2改良型」とみられている。

 テポドン2改良型は弾頭の重さを約1トン以下と仮定した場合、射程は1万キロ以上と考えられ、米本土に届く可能性があるとされる。日米韓は技術がどの程度進んでいるか分析を急ぐ。

 北朝鮮では16日が金正恩第1書記の父親、故金正日(キムジョンイル)総書記の誕生日にあたる。5月には36年ぶりに朝鮮労働党の党大会を予定している。核実験に続き、長距離弾道ミサイル発射を強行したのは、正恩体制の結束を固め、国威発揚をはかる狙いもあるとみられる。