最近ハマっている本があります。それは、主婦のルーシー・ストーンが活躍するコージー・ミステリシリーズ。
子育て中の大変さに共感!!
物語の内容は、アメリカの田舎町を舞台に、子育てと奮闘しながら主婦ルーシーが事件を解決していくというもの。
コージー・ミステリーの「コージー」とは、次のような意味だそうです。
ハードボイルドのニヒルでクールなイメージに対し、「地域社会が親密である」「居心地が良い」といった意味を持つ「コージー(cozy)」を使用し、日常的な場面でのミステリーであることを示す。
(Wikipedia)
ミステリーとしての面白さはもちろん、子育て中ならではのエピソードがとても素晴らしく、「うんうん」「そうそう、わかるー」と激しく共感しながら読み進められるのが一番の魅力。
エピソード1 新しい赤ちゃんが生まれる!
例えば、家族に二人目の子どもができたとき必ず直面する問題。
「ママ、赤ちゃんはいつ生まれるの?」セアラがたず
ねた。
「あと四カ月くらいよ。そんなに先じゃないわ」
「赤ちゃんはあたしのおもちゃで遊びたがる?」(略)
「赤ちゃんのことなら心配しなくて大丈夫よ」幼いセ
アラに言う。「じきに、あなたはもううちでいちばん
小さい子じゃなくなるんだ、と考えるといいわ。あな
たもお姉さんになるのよ」
新しい赤ちゃんができるとわかったとき、上の子どもにいかに上手くお兄ちゃん、お姉ちゃんになってもらうかが、家族にとって重要なこと。
それまでは一番自分が注目されていたのに、赤ちゃんが生まれることで大人の意識が他へ行く…。小さな子どもにとっては酷なことですよね。
ルーシーも、一番下の娘セアラのことを想いながら、お姉ちゃんになる心構えをさせようとしていました。
エピソード2 子どもの安全確保は大変
また、子育て中の移動の大変さを物語るエピソードにも共感! 私は車の運転はしませんが、それでも週末は家族で出かけるので、子どもと乗り降りするのが一苦労だということはよーくわかります。大変、でも安全が第一!
スーパーマーケットのIGAまでは目と鼻の距離で、ルー
シーはときどき、じっさいに運転している時間より、
セアラをチャイルドシートにすわらせてベルトをしめ
たりはずしたりしている時間のほうが、はるかに長い
と思うことがあった。めんどうな手間を省略したい誘
惑にかられることもあったけれど、誘惑に負けたこと
は一度もなかった。そんな危険を冒すのはばかげてい
る。
エピソード3 夫婦のすれちがい
こんな夫婦の問題も。
「あなたたち、うまくいってないの?」スーが同情す
るような口調で言った。
ルーシーはひょいと肩をすくめた。「わかるでしょう
。今回の妊娠は、予定外というか、できちゃったわけ
。そう、彼はお金のことを心配しているのよ。つまり
ね、彼は一介の大工で、私たちにとって、この赤ちゃ
んは四人目の子どもだし。でも、それだけじゃないわ
。このところ二人だけの時間が持てないの。リトルリ
ーグの練習やら、バレエのレッスンやら、PTAの会合や
ら。毎日なにかしらあってね。ときどき癇癪を起した
くなる彼の気持ちもわかるわ。
できちゃった妊娠…^^
すでに3人子どもがいる家庭にとって、予定外の妊娠は金銭面でも悩みの種ですよね。お金、ためなきゃ。
夫婦二人だけのときと、子どもができた後では、時間にも余裕がありません。昔は手の込んだものを食べていたのに…と夫のビルが不満をこぼします。
ビルが彼女を膝に引き寄せた。「ぼくはよき夫だよ。
毎晩きちんと家に帰ってくるだろう?小切手はちゃん
ときみに渡すし、子供たちの世話も手伝う。これ異常
なにがほしいというんだ?」彼の声には、結婚以来初
めて聞く自己憐憫の響きがあった。「ほしいものは全部そろっているわ」ルーシーはそう
言って立ちあがり、ビルの頭のてっぺんにキスした。
「でも、バーガーを作らなきゃ。さもないと試合に遅
れるわよ」
「なあ、ルーシー、夕食が一日の最大の楽しみだった
ころもあったよな。フォークで食べていたころが」
「ええ、おぼえているわ」ルーシーはハンバーガーを
ひっくり返しながら言った。「あのころは子供たちが
もっと小さくて、バレエのレッスンやリトルリーグの
試合がなかったもの」
「明日はどうかな? マッシュポテトとグレイヴィソ
ースを食べられるかい?」
「いいえ」ルーシーは情けない思いで首を横に振った
。
「どうしてだい?」
「学校の表彰式があるのよ。トビーが皆勤賞をもらう
ことになっているの」
「やれやれ」ビルがぐいとビールを飲んだ。
お子さんのない家庭でも、夫婦間のちょっとしたいざこざで距離感がうまれるもの。それが、ほぐれた瞬間もうまーく表現されています!読んでいて、私もホッ^^
バンドが難しい曲を苦労して演奏している最中に、ル
ーシーはちらりとビルを見た。二人の目があったちょ
うどそのとき、トランペットがひときわ調子っぱずれ
な音を出した。ルーシーはくすりと笑い、ビルもにや
りとした。わだかまりがほぐれ、ようやく、二人とも
表彰式を楽しむ気分になった。
エピソード4 仲直り、そしてハッピーエンド
夕食の「ファスト・フード化」でも気まずくなっていた夫婦ですが、すべての事件が解決したあと、この問題も良い方向にいきます。夫婦のいちゃいちゃにからむセアラちゃんが可愛いです♪
「さてと、そろそろ出かけたほうがいいな」ビルはそ
う言って残りのコーヒーを飲み干した。
彼がかがんでルーシーに短いキスをした。顎ひげに頬
をくすぐられて、ルーシーはにっこりした。
「あなたっていい人ね、ビル・ストーン」ルーシーは
ビルの首に手をかけて、彼の顔を自分のほうに引き寄
せた。
「そのキス、ストップ」セアラが金切り声をあげた。
「バイキンがつくでしょ」
ルーシーは笑い声をあげた。「バイキンがつくからキ
スしてはいけないって言ったのは、犬じゃないの。パ
パにキスするのは大丈夫よ。
「そう」セアラはいすから飛びおりて父親に駆け寄り
、キスしてもらおうと頬を差しだした。ビルはかがみ
こんで娘の頬にキスすると、弁当を持って出かけてい
った。
エピソード5 そして、出産はつらいよ!
私はまだ一度の出産しか経験していませんが、確かにつらかった…。ルーシーは今回の妊娠が四回目という設定です。キャンセルしたいほどの不安と痛み!!
「ええ、大丈夫よ」ルーシーは言った。「ほんとにばかみたい。もう三回も経験しているのよ。どんなに痛かったかを、どうして忘れることができたのかしらね? でも、忘れたんだわ。妊娠中ずっと、このときがくるのを楽しみにすごしてきたのよ。そして、いざ始まったとたん、すべてがはっきりよみがえってきて、またあんな痛い思いをするのはいやだと思っている。とにかく注文をキャンセルしたいわ、悪いけどね」
「キャンセルするにはちょっと遅すぎるんじゃないかな?」
「そうね。でも、絶対にこれが最後の赤ちゃんよ。もう二度と、こんな痛い思いをするつもりはないわ。痛みとさしこみと陣痛を、残らず頭に刻み込んでおく。今度こそ、絶対に忘れないわ」
出産の痛みは、その瞬間の本人にしかわからないんですよね…。「のど元過ぎれば、熱さ忘れる」で、出産後にはヘビーな育児がすぐに始まるので、忘れます。
「そうとはかぎらない」医師が質問をはぐらかすように言った。「赤ん坊が早く生まれるんだよ。それを望んでいるんじゃないのかいかね?」
「いいえ」ルーシーは言った。「赤ちゃんなんか欲しくないわ。死にたい」
「まあまあ」医師がルーシーの手の甲を軽くたたき、巨大な注射針を刺す準備をした。「疲れているんだよ。ブドウ糖も入れよう。そうすれば元気が出る」
「まあ、ありがたいこと」ひときわ強い陣痛がきて、ルーシーはうめき声をあげてベッドの手すりを握りしめた。
仕事も子育ても、「共感」がストレスを和らげてくれる
仕事の悩みや、子育て中の大変さは、同僚や友人たちに話すことで楽になります。こちらのルーシー・シリーズも、そんな友人たちと同じように、読んでいて共通の大変さや悩みに共感して癒される存在です。
本は実際の友人たちと違い、話し合うことはできませんが、読んで「共感」することがストレス解消に役立つと感じています。
同じく家族がテーマのミステリー海外ドラマ
家庭を持つ主婦が主人公の海外ドラマ「ミディアム 霊能捜査官」。
こちらはドラマですが、夫や子どもたちとの一つひとつのエピソードが丁寧に描かれており、ついつい共感して涙ぐんだり喜んだりしながら観ています。「ミディアム」がお好きな方にも、ルーシーシリーズはおすすめ。
▼大好きな海外ドラマ。2005年から2011年まで、全7シーズン続いた人気ドラマです。
実用本も役に立つけれど、小説を読む意味のひとつには「共感」があると思う。
本好きの方に♪
自己紹介してみました。