文/渡辺将人(北海道大学)
公認候補を有権者が直接決める
現地時間2月1日、アイオワで米大統領選がキックオフされた。筆者の手元には2月2日付けアイオワ地元紙『アイオワ・プレスシチズン』がある。一面には党員集会の夜のヒラリー、サンダース、クルーズの顔写真が掲載されている。
通常、翌朝の紙面は勝者2人の顔だけのはず。民主は僅差だったから「実質的な勝者は2人」という同紙なりの機転なのかと思いきや、純粋に朝刊締め切りまでに正確な最終結果が間に合わなかったからだった。民主はそれほどまでにもつれ込んだ。
もちろん、AP通信のように早々にヒラリー当確を打った社もあった。地元紙が「慎重策」をとったのは、彼らがアイオワをよく知っているからだ。
2012年には共和党ロムニー勝利と報道され、実は1位はサントラムだった。選挙を役所が管理する日本と違い、党員集会の運営は各党のボランティアに依存している。完璧ではない。今年からマイクロソフトが開発した票計算のスマートフォン用のアプリが導入されたが、スマートフォン自体を使えない年配ボランティアもいた。
日本とすべてにおいて異なるアメリカの選挙事情。そもそも予備選挙とは何なのだろうか。
* * *
日米の選挙が根本から異なるのは、投票で決める範囲だ。
日本では候補者(支部長)も比例名簿の順位も政党幹部が決める。有権者は公示日にポスターを見て各党の候補者を知る。候補者選びには絡めないので、投票で行使できるのは「どの政党にするか」という、小選挙区でもある意味では比例代表的な投票行動になる。
そもそもアメリカの政党は実に脆弱で、党首もいなければ党本部もない。大統領も議会の院内総務も党首ではない。両党の全国委員会は大統領選挙のための支援組織に過ぎない。そして政党幹部が候補者指名の権限を一切持っていない。予備選で各州、各選挙区の候補者を決める。
本選だけを眺めると2つの選択肢にしか見えない。しかし重要なのは、本選の大舞台に誰をあげるかを有権者が決めていることだ。気に入った人がいなければ立候補者を担ぐ運動もできる。今回の共和党のように大人数から選べることもある。2大政党内の争点別の流派やイデオロギーは多様で、党内の「内戦」をまず徹底的に行う。
言いかえれば、予備選で相当程度の幅広い民意反映のチャンスは担保されている。アメリカの選挙デモクラシーの興味深い点は、政党の方向作りに予備選を通して有権者が参加できることにある。
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