雑誌が読まれないのは「つまらない」からだ
敏腕編集者が語る紙媒体の正しい生き残り方
Webに場を移し5年目に入った名物編集者で写真家の都築響一氏は、独自の嗅覚による発掘と発信を続けている。若者たちの都会暮らしのワンルームや国内外の珍名所を撮り歩き、身の回りの文言に現代詩としての価値を見いだし、異能の老人たちに光を当てて語り下ろした著書『圏外編集者』について聞いた。
面白いと思うことを取材、既存メディアの圏外になる
──タイトルの「圏外」とは何を意味してるのですか?
携帯電話の電波の棒が立ってない状態です。僕としては、これまでずっと外側やすき間狙いでリポートしてきたわけじゃない。若者のワンルームにしても、単に雑誌に載るおしゃれな部屋より多数派はこっちだというのを、誰も報じないから僕がやっただけ。自分が率直に面白いと思うことを取り上げるんだけれども、それがなぜか他メディアの人たちは取材しないエリアであることが多かった。張り紙や展覧会のチラシを見て面白そうだから行ってみて、その場でアポ取って会いに行くように、普通の人たちを普通に取材しているだけなんだけど、日本の既成メディアにとって僕は圏外みたいです。
──既存のメディアとのズレ?
うーん、まああると思いますね。出版社の編集会議では、ヨソがやってないからその企画はできないとかって、暗にあるかもしれませんね。
たとえば、現代詩の分野では「相田みつを」なんか、いまだに敬遠してますね。彼って日本でいちばん読まれてる詩人ですよ。ご長男がおっしゃってました、悪く言われるなら構わない、でも何でここまで無視されるんだろうと。僕は以前の本で、一般の人に支持されてる詩人として彼を取り上げた。でもそうすると「サブカルだ」って言われる(笑)。