はく製ってすごいんですよ、奥さん。
じゅまぺる、ツチヤ。
剥製って見たことありますか。といってもケモノではありません。若干金持ちの道楽感の否めないはく製ですが、今回お話しするのは魚のはく製。
以前こんな記事を書きました。
極めるってことに限界はない。~クチジロって知ってます?~ - 非アクティビズム。
友人に釣りバカがいるんです。その彼が(あるポイントで)何十年に一回釣れるか釣れないかわからない魚(石垣-クチジロ)を釣った話です。※以下クチジロ
その後も実はエピソードがあり、釣った魚をカタチに残すべく、(魚拓ではなく)はく製製作の依頼をかけていたんです。
そして2015年5月に釣った魚が、とうとうはく製として出来上がったとの連絡をうけました。今回のことを簡単に説明すると、『釣り好きのアホが 大物を釣り上げてそれをはく製にした話』です。そんなわけで、はく製の工房にお邪魔するのも初めてだったので、そのレポです。
目次
始めに
はく製と言うと、どんな印象を持っていますか?
今ではペットをはく製にする人もいます。気持ちはわからないではないですが、僕自身はペットのはく製には若干懐疑的です。正直僕がやるかと言われたらやりませんが、はく製と言うと、一部の金持ちが道楽や自己満のためにやっていると思われがちかもしれません。
ただ、今回の話とは少しずれますが、思いを形にするという意味では同じかもしれません。単純に、(自分の)歴代記録のような大物を釣り上げた証として、カタチに残したいという事だと思います。
魚拓という選択肢
どちらにしても観賞用にはなるんですが、何もはく製にしなくても魚拓にするという方法もあります。費用ももちろん魚拓の方が安いですし、多くの釣り人は魚拓を選ぶと思います。
ただ一度魚拓をとってしまうと、墨がのってしまうので、後ではく製にしたいと思ってもできません(出来るかもしれませんが)。
デジタル魚拓
ですが今の世の中、デジタル魚拓と言う方法があります。写真さえあればできちゃうんです。デジタル魚拓のメリットは以下の通りです。
デジタル魚拓のメリット
●過去に釣った魚の写真から魚拓が作れる。
●美味しい魚に墨を塗る必要が無い。
●デジタルデータ化するので、何枚でも同じ物が作れる。
●リリースする魚(GT、ブラックバス、ライギョ、コイ 等)でも写真さえあれば魚拓が作れる。
なので友人はわざわざこれでも作っています。ただ彼曰く、「これはいくらでもサイズ加工が出来てしまうので本当の魚拓ではない」とも言っていました。彼の中でも魚拓にするか、はく製にするかは葛藤があったそうです。
いざ魚拓工房へ
今回お邪魔したのは、静岡県富士宮市にある『魚類剥製工房かじか』さんです。
代表の佐野さんから剥製の作り方など、興味深い話をお聞きしました。実際これまでの作品の写真も多数見せていただきましたし裏話もお聞きしました。工房は写真NGとのことだったんですが、ホームページの写真はいくらでも使っていいとの許可を頂きましたので、少し写真を載せておきます。
淡水魚
見てるだけでも惚れ惚れしますね。剥製屋にもいろいろあって、技術力が伴わないところもたくさんあるそうです。
剥製をご検討の方は安物買いの銭失いにならないように気を付けた方がいいかもしれません。まずは淡水魚から一部をご紹介。
イワナ
photo by-http://kajika.server-shared.com/
アマゴ
photo by-http://kajika.server-shared.com/
イトウ
photo by-http://kajika.server-shared.com/
海水魚
もちろん海水魚もあります。躍動感のある魚体の方がごまかしがきくので剥製屋を選ぶ際には、どちらかと言うと躍動感が有りすぎる魚ばかりのところより、魚体が真っ直ぐで勝負してるところの方が腕があると思っていいそうです。
クロダイ
photo by-http://kajika.server-shared.com/
シーバス
photo by-http://kajika.server-shared.com/
真鯛
photo by-http://kajika.server-shared.com/
観賞魚
ほかにも観賞魚まで。実はアロワナが一番やりたくないとおっしゃってました。発色がいい分、色ののり方から何から難しいんだそうです。
アロワナ
photo by-http://kajika.server-shared.com/
ハリセンボン
photo by-http://kajika.server-shared.com/
修正した魚
話を聞いている限り、ほぼアーティストでした。『工房かじか』さんは利益よりも納得のいく作品に注力しているので、安請け合いはしないそうです。出来る範囲でしかやらないとおっしゃっていましたが、剥製を知らない素人目から見ても、かなりクオリティが高かったです。
お一人でやっているのもあるとは思いますが、なんと1年先まで予約が埋まっているそうです。あまりやりたくないとも言ってましたが、技術力が評価されて方々から修正依頼が来るそうです。
ヤマメ修整品
before
photo by- http://kajika.server-shared.com/
after
photo by- http://kajika.server-shared.com/
※修繕個所:魚眼入替・頭部修整・全鰭補強版修整・再塗装
ブラックバス修繕品
before
photo by-http://kajika.server-shared.com/
after
photo by-http://kajika.server-shared.com/
※修繕個所:魚眼入替・頭部修整・各鰭修整・再塗装
こうしてみるともはや別の魚ですよね。魚の皮部分から脂が出てくるので黄色く変色する(経年劣化)のは否めないそうですが、よくこれで販売しているなと言うところもあるそうなのでご注意を。
と、『工房かじか』さんについてはここまで。ここから先はいよいよ、友人のクチジロ編です。
魚類剥製 工房 かじか
静岡県富士宮市源道寺町646
Tel fax 0544-26-6010
携帯 090-4794-7522(AM8:00~PM19:00の連絡先)
E-mail kajika@muse.ocn.ne.jp
工房所在地:静岡県富士宮市大鹿窪1473
※Googleマップを載せるのは止めておきます 。集客も望んでないそうなので。
待ちに待ったクチジロとの対面
実は友人には釣り仲間であり友人であるG君という人がいます。二人ともかなりの釣りバカなんですが、二人で競うように釣りをしています。わかりにくいのでイニシャルをかいておくとM君とG君です。※僕がよく会うのはM君。
ちょっとだけエピソードを加えると、G君が先に釣り上げ、それに負けじと翌年M君がさらに大物を釣り上げたんです。
クチジロ①
まずはG君のからいきます。
※手ぶれと映り込みは気になさらずに。
これでサイズ(全長)は66cm、重量は5.5kgです。充分デカい。見たとき普通に「デカっ!」と思いました。
クチジロ②
そしてM君が待ちに待った対面の時です。
正直こうやって撮ってしまうとサイズ感伝わりませんよね。でもやっぱりデカい。何ならキモチワルイ。と言うかホントに同じ魚かと疑いたくなるような色の違い。
コチラも見ての通りですが、サイズ(全長)80cm、重量9.95kgです。
クチジロ③
そして別アングルからG君のクチジロです。
剥製の完成度凄いですよね。これだけ寄って鱗の一つ一つまで再現されてます。
クチジロ④
そしてM君の別アングルverです。
つぶらな瞳。目にピンと合わせたんですが若干ぶれてますね。写真はガラス越しだし加工一切なしなので見にくいとは思いますがお許しを。
まとめ
と言うわけで普段なかなか見ることのできない剥製の製造工程を知ることが出来ました。
そこそこお金はかかりますが、釣りが好きな人は一度は作ってみるのもいいかもしれません。世界にも剥製はあるとは思いますが、技術大国日本、クールジャパンの技がひかってるなと思いました。
予断ですが、3Dプリンターを使った『3D魚拓』と言うのもあるんだとか。これからが楽しみです。
3Dプリンター出力サービス アイジェットの社長ブログ:【特許出願中】3D魚拓!
以上。
魚拓見てきたけど何か??