東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元総理が2月20日(木)に福岡市で行った講演での発言につきまして、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」のニュースコーナーで言及した部分を、前後の文脈を含めて書き起しましたので、掲載致します。
『第262回「毎日・世論フォーラム」』より
■ソチオリンピック視察
森喜朗です。少し寝不足ですが私も。一昨昨日ですか、ソチから帰ってきたばかりでもあります。ソチというのは、とても良いとこです。しかし、足の回りが非常に悪いんですね。ロシアっていう国は、サービス精神がよくない国なんですね。もともと長い間社会主義国ですから。来たけりゃ来いよという感じです。モスクワから飛行機で2時間ちょっともすればソチへ行くんですけど、モスクワに着いても、モスクワからの接続便がないんですね。サンクトペテルブルク行ったり、あるいはいくつかの都市を通って行ったり、なかなかその日のうちに着かないんですね。計画的にわざと時間を接続させてないんじゃないかなと。そこに皆で泊まれば、そちらでお金が落ちますから。そうしてんじゃないかなということを思うぐらい、連絡の便がとても悪いですね。悪いんです。まあ、うまく乗り合わせても、27時間ぐらいかかりますね。東京からソチに着くまで。
私は5日の日に行きまして、開会式に臨んで、いくつかの会議をやって。何しろオリンピックの役員になって、新参者でありますので、ご挨拶が多かったんですが、あちらこちらみなさんにご挨拶をして帰ってきました。もう一遍、またこれ3月に入りますと、パラリンピックがあります。このほうも行けという命令なんです。オリンピックだけ行ってますと、組織委員会の会長は健常者の競技だけ行ってて、障害者のほうをおろそかにしてるんだと。こういう風に言われるといけませんので。ソチへまた行けと言うんですね。今また、その日程組んでおるんですけど、「ああ、また20何時間以上も時間かけて行くのかな」と思うと、ほんとに暗いですね。
そう言いながら昨年は私は、前後大体12回誘致のためにあちらこちら行ってきました。12回と言いましたが、全部1泊3日とか、2泊4日だとか、最後のブエノスアイレスの会議の直前に行ったクェートなどは、0泊3日です。0泊3日というのは行けるんです。いっぺんも泊まらないということは、寝るときは全部飛行機の中とこういうことでしょうね。こういうことを12回ほど続けましたけども、皆さんが「時差はどうですか?時差はどうですか?」といいますけども、そういう短い旅は、案外時差は関係ないんですね。
よく冗談で言うんですが、「海の上を歩く方法がある」と。右足が沈む前に左足上げて、左足が沈む前に右足上げれば、海の上歩けるじゃないかという理屈になるんだけども。それと同じように向こうに着いても、そこの国のリズムにぴったりならなきゃいいんです。染まりそうになったら、すぐ帰ってくればいいわけですから、時差にはならないんですね。だから全然疲れなかった。
今度は、なんと5泊も向こうで泊まりました。完全にソチのリズムになってしまいまして、日本へ帰ってきたらめっぽうくたびれちゃって、疲れてしまうんですね。1日たっぷり寝たぐらいでありますが、今度はテレビがいつもメインの試合は夜になるんです。しかもたいがい、12時過ぎて、1時過ぎ。明け方までやるという。これを見てると結局また徹夜ということになります。
これも先ほど皆さんともお話をしておったんですが、なぜ日本はこんな時間になるかというと、オリンピックの中継は、BBCであるとか、CBCであるとか、そういう放送局に専属で売りつけるわけですね。それはもう、本当に考えもつかないほど巨額な金ですよ。大変なお金が(...※聞き取れず)。その放送局が一番自分の国に、一番いいゴールデンアワーのときに放送を流すということになるんですね。すると、開催地のスポーツをやれる時間と併せますとね、結局日本はいつも、ソチそのものから見れば時差が5時間ですから、そんな大きな隔たりはないんですけど、いつも夜中の1時頃からゲームを見て、なんか結論が出るのが3時だとか4時だとか5時だとか。
■フィギュア浅田真央選手について
今朝も真央ちゃんが最後ひっくり返った時は、4時だったと覚えておりますが。皆さんそれご覧になると、それまでずーっと真央ちゃんがまだ30番目で一番あとだったもんだから。ずーっと皆見てるわけでしょ、あれ。ショートプログラムだから、1回何分かな。3分半くらいかな。そんなもんだったと思いますけど、それ全部やって一番最後に真央ちゃん。なんとか頑張ってくれと思って皆見ておられたんだろうと思いますが、見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなと。
僕もソチ行って、開会式の翌日に団体戦がありましてね、あれはね、出なきゃよかったんですよ日本は。あれは色んな種目があって、それを団体戦で。特にペアでやるアイスダンスっていうんですかね。あれ日本にできる人はいないんですね。あのご兄弟は、アメリカに住んでおられるんだと思います確か。ハーフ。お母さんが日本人で、お父さんがアメリカ人なのかな。そのご兄弟がやっておられるから、まだオリンピックに出るだけの力量ではなかったんだということですが、日本にはいないもんですから、あの方を日本に帰化させて日本の選手団で出して、点数が全然とれなかった。
あともう皆ダメで、せめて浅田さんが出れば3回転半をすると、3回転半をする女性がいないというので、彼女が出て3回転半をすると、ひょっとすると3位になれるかもしれないという淡い気持ちでね。浅田さんを出したんですが。また見事にひっくり返っちゃいまして、結局、団体戦も惨敗を喫したという。
その傷が浅田さんに残ってたとしたら、ものすごくかわいそうな話なんですね。団体戦負けるとわかってる、団体戦に何も浅田さんを出して、恥かかせることなかったと思うんですよね。その、転んだということが心にやっぱ残ってますから、今度自分の本番のきのうの夜はですね、昨日というか今朝の明け方は、なんとしても転んじゃいかんという気持ちが強く出てたんだと思いますね。いい回転をされてましたけど、ちょっと勢いが強すぎたでしょうかね。ちょっと転んで手をついてしました。だからそういうふうにちょっと運が悪かったなと思って見ております。
■ソチオリンピックでの日本人選手の成績について
総じて見てますとね...今日はオリンピックの話するつもりじゃなかったんですけど、司会者がたくみにオリンピックに誘導したもんですから。(会場ちょっと笑い)竹内さんという女性がボードで2位になりました。あれ見てたら完全優勝なんですよね。転んだんですね。もったいないことしました。ですが、彼女にしても、非常に大胆であっけらかんとしてますよね。あれ日本の中で規律と規制とかなんとかに囲まれた中でやってたという感じはなくて、あの子は自分で勝手にカナダかスイスかどっかに出かけて行って、向こうの人たちの中に入って練習して、あそこへ伸ばしたんですね。
だからそういう意味で、非常になんというか明るくやってますね。非常に自由奔放にやってるという感じで。本番の時にはそういうのは強いですね。スキーの連中見ましても、41歳の彼も、もう7回目だというし、負けて当たり前だという気持ちでやってますから、非常に自由にのびのびとしてて、日ごろの国内でやってる練習よりもいい記録を出せる。逆に新しく初めてになったやつはガチガチになっちゃっててですね、思ったほどの記録が出てこないということでしょう。それから男の子の15歳の子と18歳ですか、二人が銀と銅とりました。あれもスノーボードですか。なんかおもしろい、ああいうのは僕らの時代なかったですよ。サーカスみたいな。
あれも自分たちで勝手に、日本でやってても面白くないからアメリカでやってるんですね。アメリカとかカナダでやっているわけですね。そういうのがふぁっと出てきて、すっと優勝さらっていってしまう。日本の連盟にも登録してやったろうかなと思うくらいの名前も聞いたことないような若者が出てきて、さーっと世界と堂々と戦っていくなんていうのを見てると、どうも日本の各競技団体のやり方が本当に正しいのかどうか。もっと自由奔放にやらせたほうがいいのかなという感じもいたしますが。幸いメダルは、さきよりも、もう2個ばかり多くなった。7つぐらい取れたんでしょうか。このままうまくいけば、あと3つぐらい取れるのかもしれない。そうすれば10個ぐらい取れてくるのかなと、こう思って期待をしております。
■東京オリンピックと自身の年齢について
あの~、何を話しするかまだ頭のなか、整理つかないんですけども、先ほどもちょっと懇談をしてたんで。私はもう政治家じゃないのでね。政治家をやめてしまいましてもう2年以上も経っちゃいました。ですから一、むしろ私人であり、一スポーツ人であると私は思っております。
よく言われるんですよ。日本のマスコミ、今日も沢山来てますが、大体マスコミっていうのは、意地が悪いですよ。その人を絶対ほめそやさないでなんとかケチつけてやろうと必ず思っている人が多いんですね。大体平均してですよ。今日はどうかわかりません。そうするとね、私がオリンピック組織委員会の会長になったというと、なんかつっついてやろうと思うけど、つっつく材料がないから一番先に言うのは、「あなたオリンピックまで生きてるんですか?」といわれる。(会場笑い)
これは一番、非常にいい質問ですよね。ソチでもやっぱりそれ聞かれましたよ。随分ご高齢ですがと言われるんです。オリンピックの、スポーツ選手もそうだし、オリンピックの役員もそうですが、年齢制限あるんですかと。どっかに「70歳以上はダメ」と書いてあるんですかと。書いてないはずですよね。
ロンドンオリンピックの時に、組織をやった人がジョン・コーツと言って、金メダルをとったかつての陸上の選手だったそうなんですが、彼は今IOCの組織なんとか委員長というのをやってました。マスコミの皆さんは、「や、ロンドンの組織委員長は金メダルを獲った陸上の選手をすぐそこのCEOに置いてやってると。日本はなんだと。古びた政治家持って来て」と、こうなるわけですけどね。よくよく向こうで調べてみたら、金メダル獲ったのは昔獲ったけど、そのあとは、会社の社長になっておられて、会社経営やっておられたんですね。だからゼネラルマネジャーができたんだろうと思います。
日本と違って欧米はもう、社長がふっと全然別の人がふっと来て、ふっと座って、ちょっとやったらすっとまた帰っていって、ま、請負みたいな社長が多いですよね。だからそういうことを受け入れる文化なんですね。欧米の場合は。日本で急にどっかそこに走ってた選手を連れてきて、社長にぽんと置けるかと言うと、どうなんでしょうかね。まあ、そこは日本のまた文化があるわけでしょうが、外国のものばっかが良く見えてくるんでしょうね。私はこう答えているんです。確か私も引き受けたときには、と考えたけど、そうだ俺は今76だなと。あと6年、オリンピックやるときには82になる。さあ、どうやってそれまで生きてるかどうか。それはもうわかりません。これはまさに神のみぞ知るだ。
しかし、82までなんとして頑張って、もしオリンピックが開けるまで努力して組織委員会やっておれるなら、これは私にとって誠にありがたいことであり、それが一つの可能性に対する挑戦。オリンピック、スポーツ何事もそうですけど、自分の限界を超えて、どこまでやれるのかということだろうと私は思う。私はそういう意味で、76歳という、高齢と言えば高齢なんでしょうけど、82までやれるかどうか、しっかりやれるかそれとも2年ほど前になって、いなくなって「今は亡き前会長、森会長のために」って言って誰か位牌を持っているのか、それはわかりません。
私は元々、ラグビーですから、私の同級生のラグビーの連中に、ワールドカップのラグビーが19年、1年前にあるんでね。せめて頑張って、ラグビーの時には自分の足でスタンド歩いて、一番上でぴゅーっと見ようなと。それまでは足腰鍛えようなと。こうよく話をしておったんですが、ラグビーやってもまだ1年オリンピックのために頑張らなきゃならんわけで。私にとっても、オリンピックで優勝する以上の挑戦なんです。私にとっては。だから一生懸命ですね、挑戦を、自分の可能性というものを試してみたいと、そう思っております。
ちょうど今日はそういうことになって、初めてここに招いていただいたので、まず皆さんにオリンピックに対して、ご協力をいただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。
選手の皆もですね、1mでも飛ぼう。1秒でも速く走ろう。0.3秒、3mmでも棒を上げていこうと皆その努力を一生懸命やっているわけですから、私も82までは、なんとか老醜をさらさないように頑張っていきたいと。こう思って、最近は朝早くおきてプールへ行って歩くことにいたしまして。プールっていうのは、なかなか大変でして、走ってもいいんだけど、走ると心臓に負担きますんで、プールがいいですよと先生に教えられて、プール行って。プール行きますと大体あれは1m20ぐらいのところできますから、これだけで歩いてても効果ないんで、必ずスポーツの指導者が来て、「肩を沈めてください。水面まで肩を入れてください」そして「そこで大きく歩いてください」と言われると、こういう格好になるんですね。(ジェスチャー)これ大変だと思ったら、結構楽なんですね水の中というのは。こういう格好で歩くんです。(壇上で変な格好)(会場笑い)
その間に途中で足をこう回したり、色々運動しながら、こうやってやっていくんです。これやってみてください。ものすごい楽です。ただ退屈なんです。これ30分やれ。1時間やれと言われると。結構退屈。そこで考えたんです。今日はこの歌を覚えよう。この演歌を覚えよう。(壇上で泳ぐ格好)(会場笑い)それから講演を頼まれると、大体何を話そうかというのを頭に入って、それをこれやりながら、話ができるんですね。話の練習ができる。ですから皆さんも寒いし嫌だなと思われる人はどこかホテルのプールを利用して大いに歌でも歌いながらお入りになれば、80以上の方はあまりいらっしゃらないと思いますが、いらっしゃったら間違いなく、86歳の時、元気で東京においでになることが可能だというふうに思います。
いろんな方に最近お目にかかりますとね、ご高齢の方から励ましを受けます。私は今78ですが、オリンピックになったら85だから、がんばらにゃいかんと。なんとしても東京で取れたんだから、俺はもう一遍この目で見るまで死ぬわけにいかんと。頑張ってるんだと。そういうお年寄りがものすごく多いです。私の姉なんかも2つほど上なんですけども、やっぱ電話かかってきて「いつ死んでもいいと思ったけど、もう死ぬのやめた。東京まで行けないかもしれないけど、テレビでもいいから、東京オリンピック見てから死ぬわ。」といって電話かかってくるとかですね。そういう方がたくさんおられて、飛行機の中に乗ってても、列車に乗ってても、ご高齢の方から実に私はやさしい眼差しで皆から見られて、「がんばれよーがんばれよー」と言ってくださってるような気がします。元気出せ日本のおじいちゃん、おばあちゃん。お互いにオリンピックまで頑張りましょうと。そういう思いでこういうお手伝いをしております。
■オリンピック組織委員会の役割について
オリンピック組織委員会というのは、そう難しいことではないんであって、選手になって走るわけでもなければ、選手を養成する必要もないわけで。要はオリンピックを東京でやれて、それの施設の整備をしっかりできて。それから、多くの何百万超えるお客さんが沢山来られるでしょう。そういう皆さんに、いま流行のおもてなしの気持ちで、日本に是非ご旅行いただきたい。見ていただきたいという場所を作ること。その準備をすること。
それに対して、道路事情が悪い。鉄道が悪い、港が悪いということであれば、オリンピック委員会から政府なり、東京都なり、主要機関に指示を出して「ああしてくれ、こうしてくれ」ということは言わなきゃならん。そういう立場だと思うし。同時にですね「東京ばっかりなんだよ」という気持ちが当然皆さんにもおありだし、今の東京に決まるこの前のコペンハーゲンの総会の時までは、博多、福岡とたしか東京が争ったんですよね。それで東京が勝ったわけですが、そういう面から見れば、福岡でもやりたいのになという気持ちもおありでしょうから。
確かに都市でしかオリンピックはできないようになってますけども、来られたお客様たちに対して、あるいは来られた選手は、アスリートはできれば九州へいったり、北海道へ行ったり、あるいは日本海側に行ったり、色んなところに行ける様な、そういう仕組みも是非考えてみたいなと。特にその前年にあるラグビーのワールドカップは全国大体13地域ぐらいだろうと思いますが会場でゲームをすることになってますので。ラグビーはご承知の通り、とても激しくて、1試合と1試合の間は、大体3日~4日は空けないと選手は体が回復しません。
従って九州地区でやるとすると、ここに5チームくらい集まって、総当りのリーグ戦をすることになりますので、大体10試合ぐらいやることになりますから。ここ博多でやるか、あるいは鳥栖でやるのか長崎でやるのか大分でやるのか、そういうところもやらんといかんでしょうし、そうすると約1か月くらい彼らは滞在をするということになります。従ってキャンプ地が必要になりますので、この博多を中心にしたところの適切なところにキャンプ地を設けて、その地域と融合をしていくということもできますし、オリンピックの選手の場合もそういう形ができるだろうと思います。いずれにしても19年、20年はですね、この日本にとってスポーツで世界に大きくですね喧伝できる、まさに日本をご紹介できる素晴らしいタイムリーな時期になるんだろうと私は思っております。
橋本聖子さんというオリンピックの選手、いま今度のオリンピックの団長やってます橋本さんに聞いたら、この試合が終わりましたら、ソチが終わったら、世界の有力なスケーター入賞者を全部連れて日本に来るんだそうです。東京の隣の埼玉で試合をやるそうですね。見せるそうですが、その切符はインターネットで売り出したわずか1時間で全部売り切れたそうです。それぐらい人気があるんですね。スポーツに対する。関心もとても高いということだと思います。ですからこの機会に、是非おおいにスポーツを盛んにするよう、皆さんにも色んな思索をお考えいただけたらいいかなと思っています。
毎日新聞も春の選抜の高校野球とか、花園のラグビーの大会ばっかりがスポーツじゃないんで。もっと、もっと色んなスポーツが沢山あるわけですから、大いに取り上げて頂いてですね。日本の選手、僕は体協(日本体育協会)の会長を長くやってましたから、よく言われるのは、無理もないんだろうけど、野球だとかサッカーだとかラグビーも多少は入るのかな。バスケットボールとか割と人気のあるスポーツしか、取材しないし、放送しないし、報道しない。
もっともっと沢山ですね、地味なスポーツがいっぱいあるんですね。そういうことを一生懸命やってる人たちのことも、報道してあげるように。「僕らのやってた競技が毎日新聞に出てたよと。毎日新聞あけたら、長刀やら弓道やら、そういうものまで全部出てたよ」とならなきゃだめだよ(会場笑い)どうせ読売も朝日も中身は同じですから。中身は同じ。要は何が我々の味方なのか、どの新聞が我々の味方なのかというふうにさせるほうが私は得策だというふうに思っているんで、是非、毎日新聞頑張ってください。余計なことばっかり言っちゃいけませんが、今日は毎日新聞の主催だから、大いに毎日新聞を激励しておきたいと思います。
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■ソチの印象について
さっきソチの話をしましたが、ソチは、ロシアっていうのは今ごろは大体マイナス20から30度、特に極東のほう行けば40度という大変なところです。ソチは黒海という海がありますが、そういう海の影響でしょうか、非常に暖かいんです。海の周りに、スケートリンクやら体育館やら建てて、ホテルもいっぱい作ってありましたけども、それはあくまでも今、オリンピック用に作ったものであって、もう少し山の方に行くと、綺麗な本当に美しい山が沢山あって、スイスなんかよりも比べようもないほど綺麗です。そこにまた豪華なホテル、マンション、別荘がいっぱいあるんですね。いわゆるヨーロッパの避寒地、寒いときにはそこに行く。あるいは暑いときには避暑地というところなんでしょう。
プーチンは世界にそれを宣伝したかったんだと思いますが、何度も私はプーチン氏から「ソチへ行って来い。ソチへ来ないか?」と言われたことありましたが、なかなかさっきも言ったように交通の便が悪いんだから行かなかったんですが、今度行ってみて、ほんとに素晴らしい思いましたね綺麗で。後は今、テロがあるもんだから、厳重な警戒があるんであんまり面白くないんですが、本当に素晴らしいところです。
で、ちょうど我々が行きました5日、6日から開会式が始まりましてから約1週間、毎日お天気でした。雲ひとつない青空です。大変だと思い、防寒具を持ったり、ペタッと貼ったら熱くなるやつをいっぱいペタペタ貼って行ったんだけど、全くいらない。で、ヨーロッパの人たちは半そでのTシャツですよ。プールで泳いでるくらいですから。あったかい。ちょうど私は、IOCのその会議があって組織委員長になったから、挨拶をしてくれと言われ挨拶をした。「日本の総理大臣の安倍さんは昨日、開会式に出て、日本に帰りました。帰るときにこのソチの雨雲、雪雲、天気の悪いものを全部飛行機につめて日本に行きました。だからソチはこんな明るくてきれいになったんですよ。そのかわり、東京は気象庁始まって以来の雪になったんだ」と。「あれはみなロシアの雪を全部引き受けたからです」と。みんな大笑いをしていましたが、それくらいソチは暖かくて綺麗で美しく過ごしやすかった。そういう状況の中で選手たちは思い切ってスポーツやれたんですが、ただ、テロがどうなるのかということで、どこ行ってもとにかく警戒は厳しくてですね。
いろんなことがありました。我々もこのCDカードなんてもらうんですけども。このカードも厳格にいろんな種類があって、いろんなバーコードが入っていてですね、「このカードでここは通れる。ここは通れない」と、いろいろあります。私のやつはどこでも通れるようになっているんですけども、一緒に付いてくる奴はみんな止められたり色々します。それのことで面倒になったり、いちいち覗かれてたりですね。我々IOC本部のホテルに入ってて、すぐすぐ近くが選手村なんです。綺麗な家が沢山建っていて、手を出せばみんな顔出して、あっというくらい近いところに選手村があるんですが、そこに行けないんです。
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■東京オリンピック開会式のイメージ
さあ、じゃあ、日本はどうするのかなと。歌舞伎かなんかが、「オー」と出てくるのがいいかもしれないなとか。しかし、日本も同じように2000年、3000年という歴史を持ってる。その歴史の中でここまで来た。やっぱりソ連という国、ロシアと言う国は、やはり共産主義の国、怖い国、冷たい国、官僚の国という印象を世界の人は持っているわけですね。私もよくプーチン氏と飯食うときに言うんですが、「いくら自由の国になったって言うけど、まだまだロシアは官僚国家で共産主義と変わっていないよ」と私よく言うんですけど、そういう国が「そうではなくて、こんな明るくて、こんな素晴らしい雄大な歴史と文化を持った国だよ」と世界に宣伝をするっていうのが演出だったんだなと思って、大変感銘深く開会式を観ておりました。
日本もこれからどういう方にお願いするか、総合的な演出をできる方々をこれからお選びをして、世界に恥じない立派な、しかもあまり金のかからない、そういう大会にしなきゃならんなと思ってますが。今すっと頭に浮かぶのは、「東京って、今、日本って何が売りだろう?」と思うと、やっぱりアニメなんですね。だから宮崎駿さんあたりに総合演出をしてもらって、「アニメと人間を絡ませた何かできないだろうかな?」と思ってみたり、「まてまて、早い日進月歩の世の中で、6年後にまだマンガが流行ってるかどうか分からんはなぁ」なんてそんなことを思ってみたり。「仮面ライダーみたいのが飛んでくるのがいいのかもしれないな?」とか。
もうひとつはロボット社会になるんですね。かなりロボットが進んできて、人の会話ができるようになってエレベーターに乗ったって、皆さんの体温計だって、どこ行ったって声が出てくるわけですね。そういうロボット社会で、「科学技術というものをうまく日本が取り入れた開会式ができないもんだろうか?」といろいろ考えて、もっとそういう能力のある人を全国から募って多いに議論をしてもらって皆さんがなるほどと思うようなオリンピックにしたいもんだと思っております。
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■東京オリンピック招致の裏側〜マスコミに対して
このオリンピックを勝ち取れた、前回は失敗しましたけども、勝ち取れたのはやっぱり安倍総理が率先をして外交を進めていった。オリンピックIOCのブエノスアイレスのあの9月の総会まで安倍さんが回った国は25カ国ぐらいありましたね。別のそのことで外国にいくわけじゃないんですけど、えー二国間の重要な話をしながら最後に食事をしたりお茶を飲んだ時にオリンピックの話をして協力を求める。そういうやりかたは安倍君自身が一生懸命やっていたということがやっぱり今回ニッポンが勝ち取れた最高の、やっぱり私は、安倍さんの功績だろうなとこう思っているんです。
で、私、色んなところで書きましたけども、もう一人裏方の大功労者は実は、石原慎太郎さんなんですね。石原さんは最初の知事のときに手を上げて、そして立候補したけど、まあ無残にも負けました。コペンハーゲンで。えーアメリカが強敵だと思っていたらアメリカが最初15票しか取れなくて負けて、日本が22票で3位だった。で、今度恐らくアメリカが入れた15票が回ってくるのだろうなという、そんな捕らぬ狸の皮算用みたいな計算をして2回目の挑戦をしたら日本がなんと22票あったのが20票に減って、これも最下位で負けてしまって、まさかと思ってたブラジル・リオデジャネイロにまあとられるわけだ。
で、石原さんはかんかんに怒って、帰りの飛行機の中で私に「もう二度とやらねーからな、あんなもん」と。大体負けた理由がそのけしからんと。知事は偉ぶっていて、その握手をしない、ハグをしないと。冗談じゃない。知らない男となんで俺はホモでもねーのにハグしなきゃいけねんだよ」。さらにこう石原さん言ってました。本当に悔しかったんだと思います。あの方、わがままな方ですから。大体『太陽の季節』の本をみりゃわかるわけで、いかにわがままな青年かというのはわかるわけで。それが選挙に今まで負けたことなかったのに、こんな選挙で負けてもう頭にくるよと。こう言って俺二度とやらないから東京で。なんて。あのときすぐ福岡が手あげればよかったんですよ(会場笑い)
ところが、その後、本当に彼はやめるって。知事選にも出ないなんていい出してね。でー、さあみんな困ったわけですよ。そしたらそのこの九州の宮崎におられた東国原、彼が、東京の知事選に出るなんて手をあげた。しかも公約は東京でオリンピックを開かないということを、反対ということで知事選に出ることになって、東京の連中はみんなびっくりしちゃったわけですね。ところが石原さんが自分の代わりに譲るといって後見に指名したのが、神奈川県の知事の松沢さんという方だった。
で、松沢さんはそりゃ神奈川の知事をやめて東京の知事に出るということになると、東京の人たちはなにーと。うーーこう、例えは悪いかもしれませんが、佐賀県の知事が急にやめて福岡県の知事になるとそう甘くみんなよと福岡の人は言うかもしれませんけど。それはわかりませんよ。たとえ話だから。気にしな・・・今日はマスコミがおるからいちいち注釈つけて(会場笑い)
マスコミというのは、そこのところだけ取るんですよ。前後の話は何にも書かないでね。俺が「神の国」だっつったって、別に神様だけ言ったわけじゃないだよ。仏様も、お釈迦様もキリスト様もみんな大事にしなきゃだめだよと言って、だけど、日本は神主さんが沢山いたから神様の国ですよねって言ったら、森総理は「神の国」といってと、もう袋叩きにあうです。ああいうこと書いた人みんな天罰が当たると私は思ってます。(会場笑い)私は逆に神様のお守りがあったからここまで来れたんだと思ってますが。
まあ、それはさておいて。記者諸君、よくだまってしっかり聞いておいてください。例え話をしただけの話で。最近例え話しても、NHKの会長もやられて、あれは個人の意見だなんて取り消したからいいじゃねえか。取り消したって聞けねえんだよなんてやってますけども。まあそういう難しい時期だから。だけど政治家じゃなきゃいいんだよな。何しゃべっても。政治家だとまあ色々なこと言われるんですが。