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【発明の名称】 文書編集システム、文書管理装置、文書編集方法及びプログラム
【発明者】 【氏名】斉藤 辰也
【氏名】上野 敦子
【課題】文書データの内容が短時間で頻繁に切り替わり、他のユーザが当該文書データを閲覧する際に混乱を招くという課題を解決する。

【解決手段】ユーザ端末装置100からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システムにおいて、ユーザ端末装置100からの要求に従って文書データの更新処理又は閲覧処理を行う文書管理装置200を含み、文書管理装置200は、ユーザ端末装置100からの文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、編集データを所定時間の間文書データから隔離して格納する更新処理手段220と、ユーザ端末装置100からの文書データの閲覧要求に対して、文書データに隔離した編集データを追加してユーザ端末装置100に提示する閲覧処理手段230とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末装置からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システムにおいて、
前記ユーザ端末装置からの要求に従って前記文書データの更新処理又は閲覧処理を行う文書管理装置を含み、
前記文書管理装置は、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、前記編集データを所定時間の間前記文書データから隔離して格納する更新処理手段と、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データの閲覧要求に対して、前記文書データに隔離した前記編集データを追加して前記ユーザ端末装置に提示する閲覧処理手段とを備えることを特徴とする文書編集システム。
【請求項2】
前記文書管理装置の前記更新処理手段は、
前記編集データと前記文書データとの差分が第1の設定値以上であり、かつ前記編集データと前記文書データに対する他の編集データの履歴である編集履歴データとの差分が第2の設定値以下である場合、
差分が前記第2の設定値以下である類似する内容の編集データの出現頻度が所定の閾値以上である場合、前記編集データを前記文書データから隔離して格納することを特徴とする請求項1に記載の文書編集システム。
【請求項3】
前記文書管理装置の前記更新処理手段は、
前記編集データを前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でない場合、又は、前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下でない場合、前記編集データによって前記文書データを更新することを特徴とする請求項2に記載の文書編集システム。
【請求項4】
前記文書管理装置の前記更新処理手段は、
前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下である場合、前記類似する内容の編集データの出現頻度を示す前記文書データに対応付けたカウンタ値を1加算し、当該カウンタ値が所定の閾値以上である場合に、前記編集データを前記文書データから隔離して格納することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の文書編集システム。
【請求項5】
前記文書管理装置の前記更新処理手段は、
前記編集データを前記文書データから隔離して格納する際に、前記文書データに対する更新処理をロックするロックフラグをオンとし、かつロックフラグをオンとしたロック時刻を記録することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の文書編集システム。
【請求項6】
前記文書管理装置の前記更新処理手段は、
前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でなく、かつ前記文書データのロックフラグがオンである場合、前記ロック時刻から所定時間を経過していれば、前記文書データのロックフラグをオフとして、前記編集データで前記文書データを更新することを特徴とする請求項5に記載の文書編集システム。
【請求項7】
前記文書管理装置の前記閲覧処理手段は、
前記ユーザ端末装置から閲覧要求された前記文書データの前記ロックフラグの状態を判定し、
前記ロックフラグがオフであれば、閲覧要求された前記文書データを前記ユーザ端末装置に提示し、
前記ロックフラグがオンであれば、閲覧要求された前記文書データの末尾に、前記隔離された編集データをマージした内容を前記ユーザ端末装置に提示することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の文書編集システム。
【請求項8】
複数の前記文書データを格納するメインデータベースと、前記文書データ毎に数世代分の前記編集履歴データを格納する履歴データベースと、前記文書データ毎に前記カウンタ値と前記ロックフラグと前記ロック時刻を格納する制御データベースと、前記隔離した編集データを格納する隔離データベースを含む文書保存装置を備えることを特徴とする請求項4から請求項7の何れかに記載の文書編集システム。
【請求項9】
ユーザ端末装置からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システム上で、前記ユーザ端末装置からの要求に従って前記文書データの更新処理又は閲覧処理を行う文書管理装置において、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、前記編集データを所定時間の間前記文書データから隔離して格納する更新処理手段と、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データの閲覧要求に対して、前記文書データに隔離した前記編集データを追加して前記ユーザ端末装置に提示する閲覧処理手段とを備えることを特徴とする文書管理装置。
【請求項10】
前記更新処理手段は、
前記編集データと前記文書データとの差分が第1の設定値以上であり、かつ前記編集データと前記文書データに対する他の編集データの履歴である編集履歴データとの差分が第2の設定値以下である場合、
差分が前記第2の設定値以下である類似する内容の編集データの出現頻度が所定の閾値以上である場合、前記編集データを前記文書データから隔離して格納することを特徴とする請求項9に記載の文書管理装置。
【請求項11】
前記更新処理手段は、
前記編集データを前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でない場合、又は、前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下でない場合、前記編集データによって前記文書データを更新することを特徴とする請求項10に記載の文書管理装置。
【請求項12】
前記更新処理手段は、
前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下である場合、前記類似する内容の編集データの出現頻度を示す前記文書データに対応付けたカウンタ値を1加算し、当該カウンタ値が所定の閾値以上である場合に、前記編集データを前記文書データから隔離して格納することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の文書管理装置。
【請求項13】
前記更新処理手段は、
前記編集データを前記文書データから隔離して格納する際に、前記文書データに対する更新処理をロックするロックフラグをオンとし、かつロックフラグをオンとしたロック時刻を記録することを特徴とする請求項9から請求項12の何れかに記載の文書管理装置。
【請求項14】
前記更新処理手段は、
前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でなく、かつ前記文書データのロックフラグがオンである場合、前記ロック時刻から所定時間を経過していれば、前記文書データのロックフラグをオフとして、前記編集データで前記文書データを更新することを特徴とする請求項13に記載の文書管理装置。
【請求項15】
前記閲覧処理手段は、
前記ユーザ端末装置から閲覧要求された前記文書データの前記ロックフラグの状態を判定し、
前記ロックフラグがオフであれば、閲覧要求された前記文書データを前記ユーザ端末装置に提示し、
前記ロックフラグがオンであれば、閲覧要求された前記文書データの末尾に、前記隔離された編集データをマージした内容を前記ユーザ端末装置に提示することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の文書管理装置。
【請求項16】
ユーザ端末装置からの要求に従って文書データの更新処理と閲覧処理を行う文書管理装置によって、前記ユーザ端末装置からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システムの文書編集方法であって、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、前記編集データを所定時間の間前記文書データから隔離して格納する更新処理ステップと、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データの閲覧要求に対して、前記文書データに隔離した前記編集データを追加して前記ユーザ端末装置に提示する閲覧処理ステップを含むことを特徴とする文書編集方法。
【請求項17】
前記更新処理ステップが、
前記編集データと前記文書データとの差分が第1の設定値以上であり、かつ前記編集データと前記文書データに対する他の編集データの履歴である編集履歴データとの差分が第2の設定値以下である場合、
差分が前記第2の設定値以下である類似する内容の編集データの出現頻度が所定の閾値以上である場合、前記編集データを前記文書データから隔離して格納することを特徴とする請求項16に記載の文書編集方法。
【請求項18】
前記更新処理ステップが、
前記編集データを前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でない場合、又は、前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下でない場合、前記編集データによって前記文書データを更新することを特徴とする請求項17に記載の文書編集方法。
【請求項19】
前記更新処理ステップが、
前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下である場合、前記類似する内容の編集データの出現頻度を示す前記文書データに対応付けたカウンタ値を1加算し、当該カウンタ値が所定の閾値以上である場合に、前記編集データを前記文書データから隔離して格納することを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の文書編集方法。
【請求項20】
前記更新処理ステップが、
前記編集データを前記文書データから隔離して格納する際に、前記文書データに対する更新処理をロックするロックフラグをオンとし、かつロックフラグをオンとしたロック時刻を記録することを特徴とする請求項16から請求項19の何れかに記載の文書編集方法。
【請求項21】
前記更新処理ステップが、
前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でなく、かつ前記文書データのロックフラグがオンである場合、前記ロック時刻から所定時間を経過していれば、前記文書データのロックフラグをオフとして、前記編集データで前記文書データを更新することを特徴とする請求項20に記載の文書編集方法。
【請求項22】
前記閲覧処理ステップが、
前記ユーザ端末装置から閲覧要求された前記文書データの前記ロックフラグの状態を判定し、
前記ロックフラグがオフであれば、閲覧要求された前記文書データを前記ユーザ端末装置に提示し、
前記ロックフラグがオンであれば、閲覧要求された前記文書データの末尾に、前記隔離された編集データをマージした内容を前記ユーザ端末装置に提示することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の文書編集方法。
【請求項23】
ユーザ端末装置からネットワークを介した要求に従って文書データの更新処理と閲覧処理を行うコンピュータを制御するプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データに対する編集データについて、類似する編集データの出現頻度に基づいて、前記編集データを所定時間の間前記文書データから隔離して格納する更新処理と、
前記ユーザ端末装置からの前記文書データの閲覧要求に対して、前記文書データに隔離した前記編集データを追加して前記ユーザ端末装置に提示する閲覧処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項24】
前記更新処理が、
前記編集データと前記文書データとの差分が第1の設定値以上であり、かつ前記編集データと前記文書データに対する他の編集データの履歴である編集履歴データとの差分が第2の設定値以下である場合、
差分が前記第2の設定値以下である類似する編集データの出現頻度が所定の閾値以上である場合、前記編集データを前記文書データから隔離して格納する処理を含むことを特徴とする請求項23に記載のプログラム。
【請求項25】
前記更新処理が、
前記編集データを前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でない場合、又は、前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下でない場合、前記編集データによって前記文書データを更新する処理を含むことを特徴とする請求項24に記載のプログラム。
【請求項26】
前記更新処理が、
前記編集履歴データとの差分が前記第2の設定値以下である場合、前記類似する編集データの出現頻度を示す前記文書データに対応付けたカウンタ値を1加算し、当該カウンタ値が所定の閾値以上である場合に、前記編集データを前記文書データから隔離して格納する処理を含むことを特徴とする請求項24又は請求項25に記載のプログラム。
【請求項27】
前記更新処理が、
前記編集データを前記文書データから隔離して格納する際に、前記文書データに対する更新処理をロックするロックフラグをオンとし、かつロックフラグをオンとしたロック時刻を記録することを特徴とする請求項23から請求項26の何れかに記載のプログラム。
【請求項28】
前記更新処理が、
前記文書データとの差分が前記第1の設定値以上でなく、かつ前記文書データのロックフラグがオンである場合、前記ロック時刻から所定時間を経過していれば、前記文書データのロックフラグをオフとして、前記編集データで前記文書データを更新する処理を含むことを特徴とする請求項27に記載のプログラム。
【請求項29】
前記閲覧処理が、
前記ユーザ端末装置から閲覧要求された前記文書データの前記ロックフラグの状態を判定し、
前記ロックフラグがオフであれば、閲覧要求された前記文書データを前記ユーザ端末装置に提示し、
前記ロックフラグがオンであれば、閲覧要求された前記文書データの末尾に、前記隔離された編集データをマージした内容を前記ユーザ端末装置に提示する処理を含むことを特徴とする請求項27又は請求項28に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して複数のユーザによって文書の編集を行う文書編集システムに関し、特に、頻繁に編集される文書データの安定した閲覧を可能にする文書編集システム、文書管理装置、文書編集方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク技術の発展に伴い、電子化された情報としての文書データをネットワーク上に公開し、公開された文書データを複数のユーザがネットワークを介してアクセスすることで、文書データの閲覧や編集を行うことが可能となっている。
【0003】
この種のシステムとしては、例えば、インターネット上に公開されているウィキペディア等に代表されるフリー百科事典が知られており、このフリー百科事典においては、インターネット経由で不特定多数のユーザが随時自由に文書データを編集して掲載することができる。
【0004】
例えば、この種のシステムの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されるシステムでは、複数のユーザで共有される情報を管理する情報共有装置に対して、ユーザが端末装置からネットワークを介してアクセスすることにより、共有情報の入力、閲覧及び編集を行うことができるシステムが提案されている。
【特許文献1】特開2004−355484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等で提案されるこれまでのシステムにおいては、不特定多数のユーザが匿名で同一の文書データを編集する場合、互いの意見の相違から編集合戦となる場合がある。このような場合、文書データの内容が短時間で頻繁に切り替わることとなり、他のユーザが当該文書データを閲覧する際に混乱を招くことになるという問題がある。
【0006】
その理由は、特許文献1等に記載されるシステムでは、不特定多数のユーザが随時自由に文書データを編集することを許可し、同一の文書データについて上記のような編集合戦が発生した場合でも何ら対処することなく、文書データの更新を行っているからである。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、上述した文書データの内容が短時間で頻繁に切り替わり、他のユーザが当該文書データを閲覧する際に混乱を招くという課題を解決する文書編集システム、文書管理装置、文書編集方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の文書編集システムは、ユーザ端末装置からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システムにおいて、ユーザ端末装置からの要求に従って文書データの更新処理又は閲覧処理を行う文書管理装置を含み、文書管理装置は、ユーザ端末装置からの文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、編集データを所定時間の間文書データから隔離して格納する更新処理手段と、ユーザ端末装置からの文書データの閲覧要求に対して、文書データに隔離した編集データを追加してユーザ端末装置に提示する閲覧処理手段とを含む。
【0009】
本発明の第2の文書管理装置は、ユーザ端末装置からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システム上で、ユーザ端末装置からの要求に従って文書データの更新処理又は閲覧処理を行う文書管理装置において、ユーザ端末装置からの文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、編集データを所定時間の間文書データから隔離して格納する更新処理手段と、ユーザ端末装置からの文書データの閲覧要求に対して、文書データに隔離した編集データを追加してユーザ端末装置に提示する閲覧処理手段とを含む。
【0010】
本発明の第3の文書編集方法は、ユーザ端末装置からの要求に従って文書データの更新処理と閲覧処理を行う文書管理装置によって、ユーザ端末装置からネットワークを経由して文書データの編集を行う文書編集システムの文書編集方法であって、ユーザ端末装置からの文書データに対する編集データについて、類似する内容の編集データの出現頻度に基づいて、編集データを所定時間の間文書データから隔離して格納する更新処理ステップと、ユーザ端末装置からの文書データの閲覧要求に対して、文書データに隔離した編集データを追加してユーザ端末装置に提示する閲覧処理ステップを含む。
【0011】
本発明の第4のプログラムは、ユーザ端末装置からネットワークを介した要求に従って文書データの更新処理と閲覧処理を行うコンピュータを制御するプログラムであって、コンピュータに、ユーザ端末装置からの文書データに対する編集データについて、類似する編集データの出現頻度に基づいて、編集データを所定時間の間文書データから隔離して格納する更新処理と、ユーザ端末装置からの文書データの閲覧要求に対して、文書データに隔離した編集データを追加してユーザ端末装置に提示する閲覧処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザにより文書データ内容が頻繁に書き換えられる状況下でも、他のユーザが安定的な文書データの内容を参照することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態による文書編集システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態による文書編集システムは、ユーザ端末装置100と、文書管理装置200と、文書保存装置300とを含む構成となっている。
【0016】
ユーザ端末装置100と文書管理装置200は、インターネット等のネットワーク600を介して相互に接続されている。
【0017】
文書管理装置200は、ワークステーション・サーバ等の情報処理装置で実現され、ユーザ端末装置100から送信される文書閲覧要求を受信し、その要求を元に文書保存装置300から指定された文書データを取り出しユーザ端末装置100に対して送信する。また、文書管理装置200は、ユーザ提供端末100から送信される文書更新要求を受信し、文書更新要求に含まれるユーザが作成した文書編集データを元に文書保存装置300に保存される文書データに対して更新処理を行い、その結果をユーザ端末装置100に送信する。
【0018】
文書管理装置200は、通信手段210と、更新処理手段220と、閲覧処理手段230と、データ入出手段240を備えている。
【0019】
通信手段210は、ユーザ端末装置100とネットワーク600を介してデータの送受信を行う機能を有し、具体的には、ユーザ端末装置100からの文書閲覧要求や文書更新要求を受信すると共に、文書閲覧要求で指定された文書データや文書更新要求に対する処理結果をユーザ端末装置100に対して送信する。
【0020】
更新処理手段220は、ユーザ端末装置100からの文書更新要求に従って、文書保存装置300に格納される文書データの更新処理を実行する。
【0021】
更新処理手段220の更新処理では、ユーザ端末装置100から文書更新要求に含まれる文書データに対する編集データによって、文書保存装置300に格納される文書データを更新し、あるいは、内容が類似する編集データの出現頻度に基づいて、編集データを所定時間の間文書データから隔離して格納する。この更新処理手段220の処理の詳細については動作の説明において述べる。
【0022】
閲覧処理手段230は、ユーザ端末装置100からの文書閲覧要求に従って、文書保存装置300に格納される文書データをユーザ端末装置100に対して提示する閲覧処理を実行する。
【0023】
この閲覧処理手段230の閲覧処理では、ユーザ端末装置100からの文書データの閲覧要求に対して、文書保存装置300の文書を提示するか、あるいは文書データに隔離した編集データを追加して提示する。この閲覧処理手段230の処理の詳細については動作の説明において述べる。
【0024】
データ入出力手段240は、ユーザ端末装置100からの文書閲覧要求に基づいて文書保存装置300から文書データを読み出し、あるいはユーザ端末装置100からの文書更新要求に対する更新処理に際して文書編集データやその他のデータを文書保存装置300に書き込む機能を有する。
【0025】
ユーザ端末装置100は、インターネット等のネットワーク600に接続することのできる機能を有するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で実現される。
【0026】
ユーザ端末装置100は、ネットワーク600を通して文書管理装置200と通信を行い、文書閲覧要求及び文書更新要求を送信する機能を有している。ユーザ端末装置100は、ディスプレイ装置等の出力装置やキーボード等の入出力装置を備えており、これらの入出力装置を利用し、文書管理装置200から配信される文書データの閲覧表示、及び文章データに対する編集データの作成、送信を行なう。
【0027】
文書保存装置300は、ワークステーション・サーバ等の情報処理装置で実現され、文書データ本体を保存するメインデータベース310と、文書データの更新履歴を保存する履歴データベース320と、文書データの制御情報を保存する制御データベース330と、文書データに対する編集データを保存する隔離データベース340を備えている。
【0028】
文書保存装置300のこれらデータベースの構成例について、図2から図5を参照して説明する。
【0029】
図2に示す構成例において、メインデータベース310は、文書名311(文書A、文書B、文書C、・・・)毎に、内容である文書データ312(文書データA、B、C、・・・)を格納している。メインデータベース310は、文書データ毎の最新内容を保存している。
【0030】
例えば、インターネット上に公開されているウィキペディア等のフリー百科事典の場合であれば、文書名311は、辞典の各項目名に相当し、文書データ312がその項目のデータ内容に相当する。
【0031】
図3に示す構成例において、履歴データベース320は、メインデータベース310に格納される各文書毎に、ユーザ端末装置100から送信された編集データを編集履歴データ321として数世代分格納している。
【0032】
図4に示す構成例において、制御データベース330は、各文書データ毎に、履歴データベース320に格納される編集履歴データ321と新たに受信した編集データとの差分が予め設定した設定値以下である内容が類似する編集データの出現頻度を示すカウンタ値331と、メインデータベース310の文書データが書き込み可能であるかどうかを示すロックフラグ332と、ロックフラグ332をオンにした時刻を示すロック時刻333を格納している。
【0033】
図5に示す構成例において、隔離データベース340は、各文書データについてユーザ端末装置100から送信された編集データのうち、文書管理装置200の更新処理手段220によって隔離された編集データを、隔離編集データとして文書データ毎に格納している。
【0034】
次に、文書管理装置200のハードウェア構成について、図6を参照して説明する。
【0035】
図6は、文書管理装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0036】
図6を参照すると、文書管理装置200は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現することができ、CPU(Central Processing Unit)401、RAM(Random Access Memory)等のメインメモリであり、データの作業領域やデータの一時退避領域に用いられる主記憶部402、ネットワーク600を介してデータの送受信を行う通信部403(通信手段210に相当)、外部装置(例えば、文書保存装置300)と接続してデータの送受信を行う入出力インタフェース部404(データ入出力手段240に相当)、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成されるハードディスク装置である補助記憶部405、本情報処理装置の上記各構成要素を相互に接続するシステムバス406、ディスプレイ装置等の出力装置407及びキーボード等の入力装置408を備えている。
【0037】
本実施の形態による文書管理装置200は、文書データの更新処理と閲覧処理を実行するプログラムを組み込んだ、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品である回路部品を実装することにより、その動作をハードウェア的に実現することは勿論として、上記通信手段210、更新処理手段220、閲覧処理手段230の各機能を提供するプログラムを、補助記憶部405に格納し、そのプログラムを主記憶部402にロードしてCPU401で実行することにより、ソフトウェア的に実現することも可能である。
【0038】
なお、ユーザ端末装置100及び文書保存装置300についても、図6に示した文書管理装置200のハードウェア構成と同様の構成を有している。
【0039】
(実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態による文書編集システムの動作について図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、文書データの更新時における動作について図7のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
ユーザがユーザ端末装置100から文書の編集データを入力すると(ステップA1)、当該編集データを含む文書更新要求がユーザ端末装置100からネットワーク600を経由して文書管理装置200に送信される(ステップA2)。この文書更新要求には、対象となる文書データを指定する情報と当該文書データに対する編集データが含まれる。
【0042】
文書管理装置200の通信手段210でユーザ端末装置100からの文書更新要求を受信すると(ステップA3)、更新処理手段220が、その文書更新要求に含まれる編集データを、データ入出力手段240によって履歴データベース320に編集履歴データとして格納する(ステップB4)。履歴データベース320には、1つの文書データに対して数世代分の編集履歴データが格納されている。
【0043】
次に、文書管理装置200の更新処理手段220は、文書更新要求で指定される現状の文書データをメインデータベース310から読み出し(ステップA5)、ユーザ端末装置100から受信した編集データと比較し(ステップA6)、両者の差分が予め設定した第1の設定値を上回っているかどうかを判定する(ステップA7)。
【0044】
ここで、編集データと文書データの差分は、データサイズの違い、データに含まれる相違する単語の個数等によって決定される。また、第1の設定値は、差分がある割合以上の編集データを区別するための基準値である。この第1の設定値は、文書保存装置300に格納する文書データの種類や文書編集システムの利用状況等に応じて任意に定められる。
【0045】
文書データと編集データの差分が第1の設定値を上回っている場合、更新処理手段220は、履歴データベース320中に格納されている該当文書データの以前の編集履歴データを読み出し(ステップA8)、受信した編集データと読み出した編集履歴データを比較し(ステップA9)、両データの差分が予め設定した第2の設定値を下回っているかどうかを判定する(ステップA10)。
【0046】
ここで、この場合の差分についても、データサイズの違い、データに含まれる相違する単語の個数等に基づいて決定される。また、第2の設定値は、編集履歴データとの差分の小さい、すなわち編集履歴データと類似する編集データを選別するための基準値であり、第1の設定値と同様、文書保存装置300に格納する文書データの種類や文書編集システムの利用状況等に応じて任意に定められる。
【0047】
受信した編集データと編集履歴データとの差分が、第2の設定値を下回っている場合、更新処理手段220は、制御データベース330から該当文書データに対応するカウンタ値331を読み出し(ステップA11)、読み出したカウンタ値331に「1」を加算し(ステップA12)、そのカウンタ値331を制御データベース330に書き戻す(ステップA13)。
【0048】
このカウンタ値331は、編集履歴データとの差分が第2の設定値以下である内容が類似する編集データの出現頻度を示している。
【0049】
次いで、更新処理手段220は、書き戻したカウンタ値331が予め設定した閾値を上回っているかどうかを判定する(ステップA14)。
【0050】
カウンタ値331が閾値を上回っている場合、更新処理手段220は、制御データベース330の該当文書データに対するロックフラグ332をオンに書き換えると共に、ロックフラグ332をオンにした時刻(ロック時刻333)を書き込む(ステップA15)。さらに、ユーザ端末装置100から受信した編集データを隔離データベース340に該当する文書データに対応させて隔離編集データとして格納する(ステップA16)。
【0051】
ステップA14でカウンタ値331が閾値を下回っている場合、更新処理手段220は、ユーザ端末装置100から受信した編集データによってメインデータベース310の該当する文書データを更新する(ステップA17)。
【0052】
ステップA10で差分が第2の設定値を上回っている場合、更新処理手段220は、まだ処理していない編集履歴データが履歴データベース320に存在するかどうかを判定し(ステップA18)、存在する場合、ステップA8からの処理を繰り返し、存在しなければステップA17の処理に進む。
【0053】
ステップA7で受信した編集データと現状の文書データとの差分が第1の設定値を下回っている場合、更新処理手段220は、制御データベース330から該当文書データに対するロックフラグ332を取得し(ステップA19)、文書データのロックフラグ332がオンであるかどうかを判定する(ステップA20)。
【0054】
ロックフラグ332がオフである場合は、ステップA17でユーザ端末装置100から受信した編集データをメインデータベース310に格納して文書データを更新する処理を行なう。
【0055】
ロックフラグ332がオンである場合は、更新処理手段220は、制御データベース330から該当文書データに対するロック時刻333を取得し(ステップA21)、取得したロック時刻333と現在時刻を比較しロック時刻333で示される時刻から所定期間が経過しているかを判定する(ステップA22)。所定期間経過していない場合は、ステップA17の更新処理を行なう。この所定期間については、任意の期間を設定することが可能ある。例えば、数日から数週間といった期間が設定される。
【0056】
ロック時刻333から所定期間経過している場合は、更新処理手段220は、制御データベース330中の該当文書データに対するロックフラグ332をオフに書き換え(ステップA23)、その後、ステップA17の更新処理を行なう。
【0057】
ステップA16による受信した編集データの隔離データベース340への書き込み処理、あるいは、ステップA17による受信した編集データのメインデータベース310への書き込み処理が終了すると、文書更新要求の処理が完了した事を示すメッセージを含むレスポンスを、文書データの送信元であるユーザ端末装置100に対して送信する(ステップA24)。
【0058】
ユーザ端末装置100は、文書編集装置200からレスポンスを受信し、画面に表示する(ステップA25)。
【0059】
次に、ユーザ端末装置100による文書閲覧における動作について図8のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
ユーザからユーザ端末装置100に文書閲覧要求が入力されると(ステップB1)、その文書閲覧要求が文書管理装置200に送信される(ステップB2)。
【0061】
文書管理装置200の閲覧処理手段230は、ユーザ端末装置100からの文書閲覧要求を受信すると(ステップB3)、文書閲覧要求で指定される文書データを、メインデータベース310から読み出す(ステップB4)。
【0062】
次に、閲覧処理手段230は、制御データベース330から該当文書データのロック状態を示すロックフラグ332を読み出し(ステップB5)、ロックフラグ332がオンであるかどうかを判定する(ステップB6)。
【0063】
ステップB6でロックフラグ332がオンである場合、隔離データベース340に格納されている該当文書データに対する隔離編集データを読み込み(ステップB7)、その隔離編集データをメインデータベース310から読み出した文書データの末尾にマージして追加し、レスポンス文書とする(ステップB8)。そして、そのレスポンス文書を文書閲覧要求元のユーザ端末装置100に対して送信する(ステップB10)。
【0064】
ステップB6でロックフラグ332がオフである場合、メインデータベース310から読み出した文書データをレスポンス文書とし(ステップB9)、そのレスポンス文書を文書閲覧要求元のユーザ端末装置100に対して送信する(ステップB10)。
【0065】
ユーザ端末装置100は文書編集装置200から受信したレスポンス文書を受信し、画面に表示する(ステップB11)。
【0066】
メインデータベース310から読み出した文書データの末尾に隔離編集データをマージして追加したレスポンス文書が送信された場合のユーザ端末装置100における表示例を図9に示す。
図9に示すように、ユーザ端末装置100の表示画面には、メインデータベース310から読み出した文書データの下に、隔離データベース340から読み出した隔離編集データが併せて表示されている。
【0067】
(実施の形態による効果)
本実施の形態による文書編集システムでは、ユーザから送られる文書データに対する編集データのうち、文書データとの差分が大きな編集データであって、出現頻度の高い類似内容の編集データについては、文書データをその編集データで更新することなく、隔離データベース340に一定期間隔離編集データとして格納し、ユーザ端末装置100からの当該文書データの閲覧要求に対しては、メインデータベース310の文書データの末尾に隔離データベース340の隔離編集データをマージしたレスポンス文書を提示するようにしたので、ユーザにより文書データ内容が頻繁にかつ大きく書き換えられる状況下でも、他のユーザは安定的な文書データの内容を参照することができるようになる。
【0068】
すなわち、同一の文書データについて編集合戦が発生した場合に、編集合戦の対象となっている文書データに対する編集データを特定し、その編集データによって現状の文書データを更新せずに、その編集データを現状の文書データの末尾にマージしてユーザ端末装置100に提示することで、文書データの内容が短時間で頻繁に切り替わっても、他のユーザが当該文書データを閲覧する際に混乱を招くことが解消されるものである。
【0069】
以上好ましい実施の形態と実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態及び実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0070】
例えば、上記実施の形態の説明では、メインデータベース310の文書データとの差分が所定値以上の編集データを対象として、編集履歴データとの比較を行うようにしているが、文書データとの比較を行わず、全ての編集データについて編集履歴データとの比較を行うようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態の説明では、文書保存装置300を、文書編集装置200と別装置とした場合を示したが、文書保存装置300を文書編集装置200に組み込んだ構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態による文書編集システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書保存装置のメインデータベースの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書保存装置の履歴データベースの構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書保存装置の制御データベースの構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書保存装置の隔離データベースの構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態による文書編集装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書データの更新処理の内容を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書データの閲覧処理の内容を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態による文書編集システムにおける文書データの閲覧表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
100:ユーザ端末装置
200:文書管理装置
210:通信手段
220:更新処理手段
230:閲覧処理手段
240:データ入出力手段
300:文書保存装置
310:メインデータベース
320:履歴データベース
330:制御データベース
331:カウンタ値
332:ロックフラグ
333:ロック時刻
340:隔離データベース
600:ネットワーク

【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソフト株式会社
【出願日】 平成19年11月12日(2007.11.12)
【代理人】 【識別番号】100093595
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 正夫
【公開番号】 特開2009−122755(P2009−122755A)
【公開日】 平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願番号】 特願2007−293312(P2007−293312)