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【精神科女医のつぶやき】片田珠美(173)オボちゃん手記に唖然 空想か、それとも…

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【精神科女医のつぶやき】
片田珠美(173)オボちゃん手記に唖然 空想か、それとも…

店頭に並べられた小保方晴子氏の著書。売れているという=大阪市内の書店 店頭に並べられた小保方晴子氏の著書。売れているという=大阪市内の書店

 あの小保方晴子氏が手記を出版し、「私がES細胞を混入させたというストーリーに収束するように仕組まれている」と主張している。

 本当にそう思っているのなら、小保方氏が「空想虚言症」である可能性を繰り返し指摘してきた私としては、唖然とするばかりだ。ここまでくると、空想の域を出ているのではないかと疑わざるを得ない。

 空想だったら、誰でも多少はするだろう。もちろん、私だってする。「沢尻エリカみたいにキレイだったら、楽しいだろうなあ」というふうに。

 しかし、たとえば、私が、本当は沢尻エリカみたいにキレイなはずなのに、鏡に映った姿が不細工なのは、誰かが鏡に細工しているからに違いないと確信しているような場合はこれを妄想と呼ぶ。客観的には荒唐無稽と思われる内容であっても、本人が真実だと確信しており、しかも周囲が「そんなことはない」と訂正しても、一切耳を傾けなければ、妄想ということになる。

 自分の妄想を延々と書きつづった『回想録』を20世紀初頭に出版したパラノイア患者がいる。そのころまでヨーロッパにあったザクセン王国で裁判官を務めていたダニエル・パウル・シュレーバーである。

 彼は最初のうちは「女になって性交されたらどんなにすばらしいだろう」と空想していたのだが、やがて女性への転換と救済の使命を主題にした妄想を抱くようになる。「脱男性化」されて「神の女」になったシュレーバーが、神によって懐胎させられて新しい人類を生み出し、崩れ去った世界を救済するというストーリーである。しかも、主治医を「霊魂の殺害者」と呼んで、罵倒している。

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