Pew Researchが1月18日〜27日に3760人の成人(18歳以上)を対象に実施した調査によると、91%もの米国民が過去1週間に米大統領選の情報をメディアから得ていた。その米大統領選の情報を収集していた人に、最も役立つニュースソースを答えさせた結果が、図1のようになった。11種のニュースタイプから一つを選ばせた結果であるが、Fox、CNN、MSNBCのケーブルTVが24%と他をかなり引き離してトップになっていた。ローカルTVなど他のTV系メディアも中上位を占め、激しい討論会を動画で伝えるTVメディアの人気は根強い。一方で、若年層を中心にソーシャルメディアやニュースサイト/アプリのオンライン系メディアの人気が高まっている。紙媒体の新聞を最も役立つとニュースソースと答えた人は、少なくなっている。
(ソース:Pew Research Center)
図1 大統領選ニュースで最も役立つソースはどこか。
最も役立つとニュースソースのランキングを年齢層別に見ると、図2に示すようにかなり異なっている。ソーシャルメディアは、18〜29歳の若年層では35%と高い支持を得ているが、50歳以上の高齢者からはあまり期待されていない。逆にケーブルTVは65歳以上の高齢者から43%と圧倒的な人気を得ており、30歳以上の中年層でも一番人気となっている。悲惨なのが新聞メディアで、若年層にはほとんど無視されており、50歳以上の高齢者の間でも10%前後と優先度はあまり高くはない。
(ソース:Pew Research Center)
図2 年齢層別の役立つニュースソース・ランキング
実際にはほとんどの人は、単独のニュースソースだけではなくて、複数のニュースソースをチェックしている。今回の調査でも回答者の約半数に相当する45%の人は、5タイプ以上のニュースソースに接触していた。3あるいは4タイプのニュースソースを見た人も35%と多い。単独のニュースソースしか見ていない人はわずか9%であった。
そこで、過去1週間に接触したすべてのニュースソースを答えさせた結果では、タイプ別ソースの利用比率が図3のようになった。ここではTV系、デジタル(オンライン)系、ラジオ、新聞紙のそれぞれの利用比率も示されている。回答者の78%は、TV系のどれかのメディアを接触していた。全年齢層で見れば、TV系メディアがデジタル系メディアよりもまだ人気が高いことになっている。新聞紙読者の特徴は、新聞メディアしか接触しない割合が約半分と高く、他のメディアにあまり関心を寄せない人が多いことである。
ソーシャルメディアから情報を収集した人が回答者の44%となっていたが、新聞紙(地方紙や全国紙)に接触した人は36%とソーシャルメディアよりも下回っていた。新聞紙メディアの影響力が低下しているのは確かだが、ニュースサイトやソーシャルメディア内で新聞コンテンツと接触する機会は増えている。
(ソース:Pew Research Center)
図3 TV系、デジタル(オンライン)系、ラジオ、新聞紙の利用比率
ソーシャルメディアから大統領選関連の情報を収集する人は増えてきているのだが、どのソーシャルメディア(SNS)と接触したかの調査結果を、次の図4に掲げる。フェイスブックの利用者が多いのは当然だが、複数のSNSと接触している人も多い。
(ソース:Pew Research Center)
図4 情報収集のために過去1週間で接触したSNS
◇参考
・The 2016 Presidential Campaign – a News Event That’s Hard to Miss(PewResearchCenter)
・Around half of newspaper readers rely only on print edition(PewResearchCenter)