学校の「組体操事故」、4年連続で8000件超え

脳挫傷など命に危険のある事故も80件に

全国の小中高校で組み体操による事故が、日本スポーツ振興センター(JSC)に統計がある2011年度以降、4年連続で8000件を超えたことがわかった。

JSCのデータを基に、千葉県の松戸市立病院の庄古(しょうこ)知久・救命救急センター長が分析した。命に危険が及ぶけがが年80件以上あることも初めて明らかとなり、庄古氏は「組み体操は中止すべきだ」と警鐘を鳴らしている。

分析によると、組み体操が原因で医療費などの災害共済給付制度を適用した事故は14年度に8592件あり、骨折が約2割を占めた。脊椎や骨盤などの骨折は72件で、脳挫傷や内臓損傷などと合わせると、毎年80人以上が重いけがを負っている。

巨大化も背景にあるとみられ、14年に熊本県菊陽町で、15年には大阪府八尾市で、いずれも高さ約6メートルの10段ピラミッドが崩れて中学生が骨折した。そのため高さを制限する動きが相次ぎ、大阪市は昨秋、市立学校に対し、ピラミッドは5段、肩の上に立つタワーは3段を上限とした。東京都、愛知県、松戸市なども今年度内に安全指針を作る方針だ。

ただ庄古氏は、段数制限では事故は防ぎきれないと指摘。12~15年に松戸市立病院を受診した28件を調べた結果、タワーでは8割以上が3段での事故で、頭を強く打ち難聴の恐れが残ったケースもあったという。庄古氏は「1メートルの高さからでも、医学的に頭蓋内損傷をきたす」と話す。

だが、難易度の高い組み体操は運動会の「花形」として人気があり、規制していない地域もある。文部科学省は、学習指導要領に組み体操の記述はないため、「実施は各学校長の判断」(スポーツ庁学校体育室)としている。

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