【動画】飼い主にかわいがられ、ヤギの「メー子」は元気そう=比留間陽介撮影
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 ヤギは首輪をつけたまま、福岡県の山間部をさまよっていた。警察署に「落とし物」として届けられたが持ち主は現れない。寂しげな様子に署員も気をもんだが、救いの手が差し伸べられた。ヤギは新たな飼い主を癒やし、恩返しとばかりに空き地の「草刈り」に励んでいる。

 メエエエエ――。福岡市早良区の空き地に鳴き声が響く。近くに住む自営業石津和幸さん(67)を見つけると、1頭のヤギが近づいて寄り添ってきた。「よしよし」となでる。「愛嬌(あいきょう)があって、毎日癒やされています」と笑顔を見せた。

 名前はメー子。体長約1メートルのメスだ。出会いは2カ月ほど前にさかのぼる。

 昨年10月上旬、福岡県篠栗町の山間部の道路でうろついているところを近くの住民が見つけ、近くの粕屋署に「落とし物」として届けた。署の敷地内に生える草や、署員が持ち寄るキャベツやニンジンを食べた。だが、「どことなく寂しげだった」と同署の大寺康裕副署長。首輪がついており、署はペットとして飼われていたが捨てられた可能性が高いとみている。

 11月初旬、ヤギが拾われたというニュースをテレビで見た石津さん。「動物がなぜ捨てられるのか。かわいそうだ」。すぐに署に電話し、引き取りたいと告げた。県警によると、動物が届けられた場合、3カ月以内に落とし主が見つからなければ、警察は拾った人に飼えないか尋ねる。だが、他に希望者がいれば譲り渡すこともあるという。